日本商工会議所・東京商工会議所は、2025年度の最低賃金引上げが中小企業に与えた影響について、 全国 3,780 社を対象に実施した調査結果を公表しました。今年度は過去最高の引上げ幅となったことに加え、地域によって最大 6 か月の発効日の差が生じたこともあり、企業の負担感や対応状況がより鮮明に示されています。
■ 調査概要
・調査地域:全国47都道府県
・回答企業数:3,780社
・調査期間:2026年2月2日~2月27日
・調査方法:商工会議所職員による依頼を通じたWeb回答
・分析区分:都市部(東京23区・政令指定都市)605社
地方(それ以外)3,175社 ※うち小規模企業(従業員20人以下)1,630社
【ポイント①】最低賃金引上げの「影響」や「負担感」は地方で深刻
● 賃金引上げを実施した企業は 45.1%
最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を引き上げた企業は 45.1%。
地方では 46.6% と都市部(37.0%)より 9.6ポイント高い 結果となりました。
都市部でも昨年より増加しており、最低賃金の影響が広がっていることが分かります。
● 負担感は「大いに負担」「多少は負担」で 76.6%
現在の最低賃金について、 負担感を感じている企業は 8 割近く(76.6%) に達しています。
・都市部:69.8%
・地方:77.9%
・地方・小規模企業:75.9%
地方ほど負担感が強い傾向が明確です。
● 正社員への影響も拡大
最低賃金を下回ったため賃金を引き上げた従業員の雇用形態は:
・パートタイム労働者:79.6%
・正社員:32.4%(前年より +5.2pt)
正社員の割合が増加しており、最低賃金の引上げが非正規だけでなく正社員層にも波及していることが読み取れます。
【ポイント②】発効日が1月以降の地域では「後ろ倒し」を望む声が強い
2025年度は、地域によって最低賃金の発効日が10〜12月と1〜3月に分かれました。
● 発効日が1月以降の6県では「準備期間を確保できた」が 34.7%
・41都道府県(10〜12月発効):12.2%
・6県(1〜3月発効):34.7%
発効日が遅い地域ほど、賃金改定や価格転嫁の準備期間を確保できたと回答しています。
● 望ましい発効日は「1月以降」が多数
・41都道府県:49.3%
・6県:66.0%
発効日の地域差が企業の実務に大きく影響していることがうかがえます。
■ 人件費増への対応:3割超が「具体的な対応が取れず収益を圧迫」
最低賃金引上げに伴う人件費増への対応として最も多かったのは:
・具体的な対応が取れず、収益を圧迫:35.0%
次いで、
・人件費増加分の価格転嫁:31.0%
・原材料費増加分の価格転嫁:24.8%
・残業時間・シフト削減:23.3%
地方・小規模企業では「具体的な対応が取れず、収益を圧迫」が 42.9% とさらに高く、価格転嫁の難しさが浮き彫りになっています。
■ 来年度以降も同水準の引上げが続いた場合の懸念
想定される影響として多かったのは:
・残業時間・シフト削減:30.1%
・他従業員の賃上げ抑制・一時金削減:25.2%
・設備投資の抑制・新規事業の取りやめ:21.7%
・従業員数の削減・採用抑制:21.0%
さらに、
・既存事業の縮小:11.1%
・事業継続を諦める(休業・廃業):4.9%
といった深刻な回答も見られました。
■ まとめ:最低賃金引上げは「地方・小規模企業」により強い影響
今回の調査からは、最低賃金引上げが 地方・小規模企業ほど深刻な負担となっている現状が明確に示されました。
また、発効日の地域差が企業の準備期間や価格転嫁のタイミングに影響し、実務上の混乱を招いている点も重要な論点です。
最低賃金の議論は「賃上げの必要性」と「中小企業の持続可能性」の両立が不可欠であり、今後の政策検討においても、今回の調査結果は大きな示唆を与えるものと言えます。
詳細は、以下よりご確認願います。
㈱東京商工リサーチは、最低賃金「25年度引き上げ」「1,500円以上」に関するアンケート調査結果を公表しております。
本調査は、2025年10月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施、有効回答6,280社を集計し、分析したものです。
(出典:東京商工リサーチ『最低賃金「25年度引き上げ」「1,500円以上」に関するアンケート調査結果』)
Q1. 2025年度の最低賃金(時給)引き上げ額の目安は66円(全国加重平均)となりました。貴社では給与設定を変更しますか?(択一回答)
⇒今回の改定で「給与を引き上げる」企業は約6割
内訳:「引き上げ後の最低賃金より低い時給での雇用はないが、給与を引き上げる」は29.5%(1,814社、前回21.1%)、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金額を下回っており、最低賃金額と同額まで給与を引き上げる」が15.2%(933社、同11.7%)、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金を下回っており、最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる」が11.9%(735社、同7.5%)
Q2. 貴社で許容できる来年度(2026年度)の最低賃金(時給)の上昇額は最大でいくらですか?
⇒許容額の中央値は60円、平均値は100.7円
最多は「許容できない」の18.8%(505社)で前回調査の17.1%より1.7ポイント上昇。
Q3. 最低賃金の上昇に対して、貴社はどのような対策を実施、検討していますか?(複数回答)
⇒「価格転嫁」が最多の39.1%
Q4. 政府は、最低賃金を2020年代に全国平均1,500円に引き上げる目標を掲げています。貴社は、あと5年以内に時給1,500円に引き上げることは可能ですか?(択一回答)
⇒「不可能」がほぼ半数
Q5. (「不可能だ」と回答した方へ)どのようにすれば可能になると思われますか?(複数回答)
⇒「促進税制の拡充」が最多
内訳:最多は「賃上げ促進税制の拡充」の46.7%(2,277社中、1,065社)で約半数を占めた。次いで、「生産性向上に向けた投資への助成、税制優遇」の44.2%(1,007社)、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」の27.8%(634社)と続く。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の「必ずチェック最低賃金」のページが更新されました。
主に以下の内容が掲載されております。
・ポイント!最低賃金
最低賃金とは?、対象となる賃金とは?など最低賃金に関する説明が簡潔にされています。
また、ケーススディも掲載されています。
・地方最低賃金一覧
全国の最低賃金の時間額と発行日が一覧で掲載されています。
・特定最低賃金一覧
各都道府県の特定(産業別)最低賃金が掲載されております。
・中小企業支援事業
業務改善助成金、賃金引き上げに向けた取り組み事例などが掲載されています。
・よくあるご質問
労働者と最低賃金制度について、よくある質問がQ&A形式で掲載されています。
その他、最低賃金広報ツールなども掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
9月5日に、今年の最低賃金について、すべての都道府県の地方最低賃金審議会で取りまとめられました。全国加重平均については、過去にない高水準である、1,121円(引き上げ率:6.3%)となりました。
経済産業省、中小企業庁は、過去最大となった今般の最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者を後押しするべく、これまでの取組に加え、新たな対応策も含めた支援策を公表しております。
◎経済産業省の中小・小規模企業への支援策
(1)賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化
① 改正下請法(取適法)・振興法の着実な執行
② 発注側企業等における取引慣行の改善
③ 幅広い業界での取引適正化の要請・働きかけの継続
(2)賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援
① 地域の社会機能を担う小規模事業者の販路開拓等を支援する持続化補助金等
・小規模事業者に対して、商工会・商工会議所の伴走支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援。一定以上 の賃金引上げに取り組む場合は手厚く支援し、稼ぐ力を強化。
・よろず支援拠点等を通じ、企業のさらなる生産性向上を後押しする伴走支援を実施。
◆持続化補助金の概要
・要件:経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者
・補助上限:50万円(賃上げ特例活用の場合は、左記補助上限に150万円上乗せ)
・補助率:2/3
② 賃上げ促進税制による赤字企業も含めた賃上げ支援
・中小企業向け賃上げ促進税制における5年間の繰越控除措置の活用などを通じて、赤字の状況でも賃上げに挑戦できるよう、後押しを行う。
③ 100億企業等に対する成長加速化支援 ④ 健全な新陳代謝や経営資源の有効活用を進める事業承継、M&A、再生支援等
(3)中小・小規模企業の生産性向上における賃上げ支援機能の強化
① ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の要件緩和
◆改正内容
「最低賃金引上げ特例」について、今般の最賃引上げ額を踏まえ、以下の通り、対象企業を拡大する要件緩和を行う。
・指定する一定期間において、3か月以上改定後の地域別最賃未満で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者
② ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の審査での優遇
・①で示した改正内容に該当する事業者に対し、補助率引上げに加え、採択審査において加点措置も実施。
・さらに、厳しい経営状況においても、全国的な最低賃金の引上げ幅以上に賃上げの努力を行った企業を応援するため、以下の要件を満たす場合に、採択審査において加点措置を実施。
▶一定期間において、事業場内最賃を「全国目安で示された最低賃金の引上げ額(63円)」以上の賃上げをする事業者
③ 周知・相談時の厚生労働省との連携強化
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html
厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和7年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめ公表しております。
答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に順次発効される予定です。
◎令和7年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント
・47都道府県で、63円~82円の引上げ(引上げ額が82円は1県、81円は1県、80円は1県、79円は1県、78円は3県、77円は2県、76円は1県、74円は1県、73円は2県、71円は4県、70円は1県、69円は2県、66円は2県、65円は8道県、64円は9府県、63円は8都府県)
・改定額の全国加重平均額は1,121円(昨年度1,055円)
・全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
・最高額(1,226円)に対する最低額(1,023円)の比率は83.4%(昨年度は81.8%。なお、この比率は11年連続の改善)
詳細は、以下よりご確認ください。
東京地方最低賃金審議会は、東京労働局長に対し、東京都最低賃金を63円引き上げて、時間額1,226円に改正するのが適当であるとの答申を行いました。
(出典:東京労働局ホームページ)
この「63円」の引上げ金額は、中央最低賃金審議会の「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」において示された目安どおりの金額です。
東京労働局は、この答申を踏まえ、本年度の東京都最低賃金の改正に係る所定の手続きを経て官報公示を行います。なお、早ければ10月3日に東京都最低賃金が改正発効されることになります。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、8月4日に開催された第 71 回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめ公表しております。
【答申のポイント】
(ランクごとの目安) 各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64 円
(出典:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」)
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。
仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は 1,118 円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は63円(昨年度は51円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると6.0%(昨年度 は5.1%)となります。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京労働局では、最低賃金に関する特集ページを公開しております。
本ページに新たに「マンガで確認 東京都最低賃金」が掲載されました。
最低賃金に関して、マンガで5ページに渡り解説されております。
主に以下のような内容が記載されております。
・東京都の最低賃金は、都心だけでなく、多摩地域や島しょ部も同じであること
・最低賃金は各都道府県ごとに定められていること
・学生アルバイトでも最低賃金は適用されること
マンガの後に、最低賃金の対象となる賃金、最低賃金に関する相談先が掲載されております。
文章になっているリーフレットに比べ、読みやすいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
独立行政法人労働政策研究・研修機構は、「最低賃金の引上げと企業行動に関する調査」結果
―2021・2022年度の連続パネル調査を通じて―を公表しております。
本調査結果は、厚生労働省労働基準局賃金課からの要請に基づき、地域別最低賃金の引上げが中小企業・小規模事業者に及ぼす影響や対応状況についての調査を2021年度・2022年度と連続で実施されたものをまとめたものです。
主な事実発見の中から、一部抜粋してご紹介します。
〇最低賃金の引上げに対処するために「取り組んだことがあった」企業の具体的な取組内容(複数回答)
「賃金の引上げ(正社員)」が53.1%、「製品・サービスの価格・料金の引上げ」(45.3%)、「人件費以外の諸経費のコスト削減」(43.7%)、「人員配置や作業方法の改善による業務効率化」(36.1%)、「賃金の引上げ(非正社員)」(34.9%)、「給与体系の見直し」(28.1%)、「労働時間の短縮」(24.4%)など
〇最低賃金の引上げに対処するために「取り組んだことがあった」企業で、取組の結果、労働者の1時間当たりの生産や売上がどのように変化したか
「変わらない」が45.7%、「はっきりと伸びた」(5.1%)と「はっきりしないが、伸びたと思う」(33.8%)を合わせて「伸びた」割合が計38.8%に対し、「はっきりしないが、低下したと思う」(3.8%)と「低下した」(2.3%)を合わせて「低下した」割合は計6.0%と、「伸びた」割合が大きく(32.8ポイント)上回った。
〇地域別最低賃金の改定や賃金の引上げに対応していくために期待する政策的支援(複数回答)
「賃金を引き上げた場合の税制優遇(所得拡大税制等)の拡大」が46.2%、「企業の生産性(収益力)を向上するための設備投資その他の取組に対する助成金の拡充」(40.0%)、「製品価格、サービス料金の引上げ(価格転嫁)に対する支援(取引適正化)」(23.9%)など。
詳細は、以下よりご確認ください。
既に、新聞等でも報道されておりますが、厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和6年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。
答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。
◆令和6年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント
・47都道府県で、50円~84円の引上げ(引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県)
・改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
・全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
・最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%(昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)
詳細は、以下よりご確認ください。
