厚生労働省は、裁量労働制の運用実態を把握するため、新たな調査の実施を検討しています。
これは単なるデータ収集ではなく、制度の前提と現場運用の乖離に対する強い問題意識の表れといえます。
働き方改革が進む中でも、裁量労働制をめぐるトラブルは依然として発生しています。
いま何が問題視されているのか、実務的観点から整理します。
なお、裁量労働制の概要については、こちらをご確認ください。
1.「みなし労働時間」と実労働時間の乖離
裁量労働制の本質は、「労働時間ではなく成果や業務遂行に着目する」点にあります。
しかし実務上は、
・みなし:8時間
・実労働:12〜14時間
・追加の割増賃金なし
といった運用が問題視されています。
もっとも重要なのは、「みなし時間=実労働時間であること」を予定している制度ではない点です。
乖離自体が直ちに違法となるわけではありませんが、
・業務量の過大設定
・納期・指示による実質的拘束
・長時間労働の常態化
が認められる場合には、制度の適用自体の適法性が問われます。
2.「裁量のない裁量労働」という構造問題
制度の適用要件として最も重要なのは、
業務遂行の手段・時間配分について労働者に裁量があることです。
しかし現場では、
・業務手順が詳細に指示されている
・納期・工程が厳格に管理されている
・会議・打合せが固定されている
・業務量が会社主導で決定されている
といったケースが少なくありません。
このような場合、実態としては通常の労働時間管理下にあると評価され、
裁量労働制の適用自体が否定されるリスクがあります。
3.健康・福祉確保措置と「健康管理時間」の重要性
裁量労働制においても、企業には安全配慮義務があります。
その前提として、
・労働時間の状況把握(客観的把握)
・長時間労働者への医師による面接指導
・休息時間の確保(勤務間インターバル)
といった健康・福祉確保措置が求められます。
ここで参考になるのが、高度プロフェッショナル制度における「健康管理時間」の考え方です。
制度自体は異なりますが、
「実際にどれだけ働いているか」を把握しなければ健康管理はできない
という点は共通しています。
今回の実態調査の背景には、
裁量労働制における健康管理の実効性不足という課題があります。
4.対象業務の範囲と現代的な働き方とのズレ
裁量労働制には、
・専門業務型
・企画業務型
の2類型がありますが、対象業務は限定列挙されています。
問題は、
・デジタル領域の業務高度化
・プロジェクト型業務の増加
・職務範囲の曖昧化
といった現代の働き方に対し、制度設計が十分に追いついていない点です。
その結果、
・本来対象外の業務に適用される
・解釈を拡張して運用される
といった“制度の歪み”が生じています。
5.「労務管理の簡略化」としての誤用
本来の趣旨は、労働者の裁量を尊重することにあります。
しかし一部では、
・労働時間管理の簡略化
・割増賃金支払の回避
・管理コストの削減
といった企業側のメリットが先行している実態があります。
このような運用は、結果として
・違法リスクの増大
・労使紛争の顕在化
・採用・定着への悪影響
につながり、経営上も合理的とはいえません。
6.労働者側の問題提起の顕在化
近年は、
・長時間労働の常態化
・裁量の欠如
・健康被害
に関する労働者側の声が強まっています。
労働政策審議会においても、
「まず実態を把握すべき」との意見が継続的に示されており、
今回の調査方針はその流れに位置づけられます。
7.まとめ:制度見直しに向けた実務対応のポイント
今回の実態調査は、単なる検証ではなく、
裁量労働制の再設計に向けた前提整理といえます。
企業としては、今の段階から以下の点を再点検すべきです。
・裁量の実態が担保されているか
・業務量とみなし時間のバランスは適正か
・労働時間の客観的把握ができているか
・健康・福祉確保措置が機能しているか
・対象業務の適用範囲は妥当か
制度の適正運用は、コンプライアンス対応にとどまらず、
持続可能な組織運営の基盤でもあります。
今後の制度見直しの動向を踏まえつつ、
早期に実務運用の精緻化を図ることが重要です。
厚生労働省は卸売業・小売業に特化した勤務間インターバル制度の導入・運用マニュアルを公表しました。
勤務間インターバル制度は、終業から次の始業までに一定の休息時間(インターバル)を確保する仕組みで、従業員の健康維持・離職防止・生産性向上に直結する制度です。
卸売業・小売業では、制度の認知度・導入率ともに全国平均より低いという課題があり、今回のマニュアルはまさに「現場で使える実務書」と言える内容になっています。 (※制度を知らない企業割合:19.4%、導入企業割合:5.0% )
1. なぜ今、卸売業・小売業で勤務間インターバル制度が重要なのか
● 人手不足・採用難・定着率低下が深刻
卸売業・小売業では、繁忙期の長時間労働や不規則勤務が発生しやすく、「疲労が蓄積 → 退職 → さらに人手不足」という悪循環が起きやすい構造があります。
● 過労死等の労災認定でも上位業種
脳・心臓疾患、精神障害の労災認定件数でも、卸売業・小売業は上位に位置しています 。長時間拘束・深夜勤務・不規則勤務が要因として挙げられており、インターバル制度の必要性が明確です。
● 睡眠不足は翌日のパフォーマンスを大きく低下させる
研究データでは、 インターバルが12時間を下回ると疲労感が残り、11時間未満が続くと病気休暇が増える という結果が示されています 。
2. 勤務間インターバル制度の導入で得られる3つの効果
マニュアルでは、導入企業の調査結果として次の3点が強調されています。
① 従業員の健康維持・向上
・疲労蓄積の防止
・睡眠時間の確保
・病気休暇の減少
② 人材の確保・定着
・「休める会社」という安心感
・採用時のアピールポイントになる
・離職率の低下(実際に減少した企業事例あり)
③ 生産性の向上
・業務の効率化
・属人化の解消
・職場の雰囲気改善
特に小売業では、制度導入が採用活動での強力な武器になっているという声が紹介されています 。
3. マニュアルが示す「導入・運用の全体像」
マニュアルでは、導入プロセスを4つのフェーズに整理しています。
● フェーズ1:制度導入を検討する
・現状の労働時間・通勤時間・繁忙期の実態把握
・導入目的の明確化(健康管理、長時間労働是正 等)
・経営層のコミットメント
● フェーズ2:制度を設計する
・適用対象
・インターバル時間数(例:11時間)
・例外ケースの設定
・勤怠管理方法の見直し
・就業規則の整備
● フェーズ3:制度を導入・運用する
・社内周知
・取引先・顧客への説明
・インターバルを確保しやすい環境づくり
● フェーズ4:制度内容・運用方法を見直す
・効果検証
・課題の洗い出し
・制度の改善
PDCAを回しながら、現場の声を反映して制度を育てていくことが強調されています。
4. 導入を成功させるための3つのポイント
マニュアルでは、成功の鍵として次の3点を挙げています。
① 本格導入前に「試行運用」を行う
・制度の妥当性を検証
・現場の声を反映
・運用トラブルを事前に把握
② インターバル確保の職場風土をつくる
・無駄な作業の洗い出し
・業務配分の見直し
・経営層からのメッセージ発信
③ インターバル時間を正確に把握できる仕組み
・勤怠システムの改修
・ログイン/ログアウトの客観的記録
・インターバル不足時の自動通知
クラウド勤怠システムを導入し、制度の実効性を高めた事例も紹介されています 。
5. 参考になる企業事例(卸売業・小売業)
マニュアルでは、実際に制度を導入した企業の声が多数掲載されています。
・インターバル確保で離職率が低下
・「会社が自分たちを大切にしている」という安心感が醸成
・採用時のアピールポイントとして効果大
・相談なく退職するケースが減少
・属人化を解消し、残業20%削減
・取引先からも高評価
・残業60~80時間 → 10時間未満へ
・業界平均を大きく下回る残業時間を採用活動に活用
どの事例も、「健康」「定着」「生産性」の3点が共通して改善しています。
6. 社労士としての視点:卸売・小売の現場にこそ“効く”制度
卸売業・小売業は、
・繁忙期の偏り
・不規則勤務
・顧客対応による拘束時間の長さ
など、インターバルが不足しやすい構造的課題があります。
勤務間インターバル制度は、
「働き方改革の象徴」ではなく、「離職防止と健康確保のための現実的な仕組み」です。
特に小規模事業場では、
1人の離職が経営に直結するため、制度導入のメリットは非常に大きいと感じます。
7. まとめ:まずは“現状把握”から始めましょう
今回のマニュアルは、
「制度をどう作るか」だけでなく「どう運用し、どう改善するか」まで踏み込んだ実務書です。
最初のステップは、
・現状の労働時間
・繁忙期の勤務実態
・インターバル不足の発生状況
を正確に把握すること。
そこから、御社に合った制度設計が見えてきます。
詳細は、以下よりご確認願います。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」で、特別休暇制度に関する4つの新しい資料が公開されました。
・特別休暇制度導入事例集2025
・特別休暇制度パンフレット2025
・病気休暇制度周知リーフレット
・犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度周知リーフレット
■ なぜ今、特別休暇制度が注目されているのか
働き方改革が進む中で、「年休だけではカバーしきれない事情」への対応が企業に求められるようになってきました。
・家族の看護
・自身の病気
・犯罪被害などの突発的な事案
・ボランティアや社会貢献活動
こうした“年休では対応しづらい休み”をどう制度化するかは、中小企業でも避けて通れないテーマになりつつあります。
今回の4資料は、まさにその実務に役立つ内容がまとまっています。
■ 公開された4つの資料のポイント
① 特別休暇制度導入事例集2025
実際に制度を導入している企業の事例が多数掲載されています。「どんな制度を作ればいいのか分からない」という企業にとって、非常に参考になります。
② 特別休暇制度パンフレット2025
経営層や現場への説明に使いやすい“概要資料”。 制度の全体像を短時間で共有したいときに便利です。
③ 病気休暇制度周知リーフレット
年休で代替させず、病気休暇を別建てで整備する重要性が分かりやすくまとめられています。中小企業でも導入しやすいポイントが整理されています。
④ 犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度リーフレット
ここ数年で注目度が高まっている分野です。従業員が被害に遭った場合、企業としてどう支援するかは“安全配慮義務”の観点からも重要になっています。
■ 社労士として感じる、企業が今やるべきこと
今回の資料は、単なる「周知」ではなく、企業が制度整備を進めるための実務的なヒントが多く含まれています。
特に次の3点は、どの企業でも見直しの価値があります。
・就業規則の特別休暇の整理
・年休との関係性の明確化
・病気休暇・犯罪被害者休暇など“突発事案”への備え
制度が整っているだけで、従業員の安心感は大きく変わります。
■ まとめ
令和7年度版の特別休暇関連資料が一気に公開され、 企業の休暇制度整備を後押しする流れがさらに強まっています。
「うちの会社はどうすればいい?」 「どこから手をつければいい?」という場合は、今回の資料を参考にしながら、 自社に合った制度づくりを進めていくことをおすすめします。
必要であれば、制度設計や就業規則の整備についてもサポートできますので、 お気軽にご相談ください。
詳細は、以下よりご確認願います。
働き方改革が進む中、厚生労働省から労働時間の見直しや年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度などをまとめた最新リーフレットが公開されました。企業が取り組むべきポイントが網羅されており、実務に直結する内容です。
1. 労働時間等設定改善法とは
労働者が健康で能力を発揮できるよう、労働時間・休日・年休などの設定改善を事業主に促す法律です。特に以下の3点が重要です。
・業務量に応じた始業・終業時刻の設定
・終業から次の始業までの休息時間(勤務間インターバル)の確保
・年次有給休暇を取得しやすい環境整備
また、短納期発注の抑制や発注内容の頻繁な変更を避けることなど、取引慣行の見直しも求められています。
2. 労使で話し合う仕組みづくりが鍵
リーフレットでは、労使の話し合いの場として以下の委員会の活用が紹介されています。
・労働時間等設定改善委員会
・労働時間等設定改善企業委員会
これらの委員会で一定の要件を満たした決議を行うと、労使協定と同様の効果を持つ場合があり、手続きの簡素化にもつながります。
3. 労働時間等見直しガイドラインの主なポイント
ガイドラインでは、企業が取り組むべき方向性が7つの柱で示されています。
❶ 労使で話し合う機会の確保
労働者の抱える事情や企業経営の実態を踏まえ、企業内において労使間の十分な話合いの機会を設けることが重要です。
❷ 業務特性に応じた柔軟な働き方の導入
・変形労働時間制
・フレックスタイム制
・裁量労働制
など、業務に応じた制度活用が推奨されています。
❸ 時間外・休日労働の削減
上限規制(年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満)を踏まえた運用が必要です。
❹ 年次有給休暇の取得促進
・年5日の時季指定義務
・計画的付与制度の導入ステップ
・時間単位の年次有給休暇制度の導入ステップ
など、実務的なポイントが詳しく整理されています。
❺ 労働者の健康保持やワーク・ライフ・バランスに資する働き方の推奨
深夜業の回数制限、勤務間インターバル制度の導入など。
❻ 多様な働き方の選択肢
テレワーク、短時間正社員、ワークシェアリングなど。
❼ 特に配慮を必要とする労働者への対応
特に健康の保持に努める必要があると認められる者、育児・介護、教育訓練を受ける労働者など。
4. 勤務間インターバル制度の導入ポイント
終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する制度で、導入は努力義務です。
リーフレットでは、
・休息時間と始業時刻が重なる場合の扱い
・始業時刻の繰り下げ例
・適用除外の考え方 などが丁寧に説明されています。
また、睡眠不足がパフォーマンスに与える影響を示す研究結果も紹介されており、制度導入の意義を理解しやすい構成になっています。
5. 年次有給休暇の計画的付与・時間単位年休の導入ステップ
リーフレットでは、次のような導入ステップが明確に示されています。
・自社の実態把握
・制度内容の検討
・就業規則・労使協定の整備
・従業員への周知
また、
・一斉付与
・交替制付与
・個人別付与といった付与方式の違いも分かりやすく整理されています。
6. まとめ:働き方・休み方改善の実務に役立つ一冊
今回のリーフレットは、「何から手を付ければよいか」「制度導入の手順が分からない」という企業にとって非常に有用な内容です。
詳細は、以下よりご確認願います。
第27回規制改革推進会議が令和8年2月26日に開催されました。内閣府は、資料として「規制改革推進に関する中間答申(案)」を掲載しております。
資料の中から、「カ シフト制における適正な年次有給休暇の取得等」の実施事項についてご紹介します。
a シフト制労働契約で、契約締結時点には、具体的な労働日や労働時間が確定していない場合、年次有給休暇の日数の算定において参照される所定労働日数の判断が難しく、実務上の支障が生じている点について
→「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日厚生労働省労働基準局長通達)において、「予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出することとして差支えないこと。したがって、例えば、雇い入れの日から起算して6箇月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6箇月の労働日数の実績を2倍にしたものを「1年間の所定労働日数」とみなして判断することで差し支えないこと。」とされていることも参考に、シフト制労働者について基準日において所定労働日数を算出し難い場合における取扱いを都道府県労働局への通達や厚生労働省ウェブサイト等において明確化し、広く周知する。その際、取得可能な年次有給休暇の予見可能性の向上および使用者の実務上の負担軽減の観点も含め、検討する(令和7年度検討開始、結論を得次第速やかに措置)。
b 年次有給休暇の期間又は時間に支払われる賃金について、使用者は就業規則その他これに準ずるものを定めた上で、以下①~③のいずれかのものを支払わなければならないとされているところ、シフト制労働者の場合等において、①や③の手法がとられたとき、②のときと比べて、計算式上賃金が大きく減額されることがある
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額
→労働基準法制研究会の報告書において原則として②の手法をとるようにしていくべきではないかとされていることを踏まえつつ、労働者が年次有給休暇を取得する際の賃金の算定方法の在り方について、労働政策審議会において検討し、結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずる。
c シフト制では、労働条件通知書において、労働時間として一定の時間が示されたとしても、勤務割や勤務シフトなどにより異なる労働時間が定められることがあるが、この場合に、年次有給休暇の期間又は時間に支払われる賃金の額の算定を行うに当って、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」が選択され、「時間によって定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額」が適用されると、いずれの時間を参照して賃金を支払うべきか判断に迷うとの声があることについて
→賃金額の算定に当っては後者の時間が参照されることを、都道府県労働局への通達や厚生労働省ウェブサイト等において明確化し、広く周知する。
d シフト制労働者の年次有給休暇の適正な取得及び取得率を向上させる措置
→労働者や使用者などからの意見聴取により、シフト制労働者が年次有給休暇を取得できない要因等を把握する。
→その結果を踏まえ、都道府県労働局への通達の発出や厚生労働省ウェブサイト等による周知など、シフト制労働者が年次有給休暇を適正かつ円滑に取得できるよう必要な措置を講ずる。
→通達やウェブサイト等において周知を行うに当っては、任意の取組として、その雇入れの日から6か月間継続勤務した労働者に対し、全労働日の8割以上出勤したか否かにかかわらず、継続し、または分割した10労働日の年次有給休暇を与えることは妨げられないことも併せて示すことを検討する。
(令和8年度措置)
〇まとめ
シフト制における年次有給休暇の取得は、制度上は通常の労働者と同じ権利であるにもかかわらず、現場では「付与日数の把握が難しい」「取得の申し出がしづらい」「代替要員の確保が困難」といった理由から、取得率が伸び悩む状況が続いてきました。今回の規制改革推進会議の中間答申(案)は、こうした構造的な課題に踏み込み、企業側の管理方法の明確化と労働者が取得しやすい環境づくりの両面から改善を促す内容となっています。
年次有給休暇の取得率向上は、単なる法令遵守にとどまらず、離職防止や採用力の向上、職場の持続可能性にも直結します。今回の答申内容を機に、自社のシフト作成方法や年休管理の運用を一度見直し、改善できる点がないか検討してみることが重要です。
詳細は、以下よりご確認ください。
働き方・休み方改善ポータルサイトにて、 「働き方・休み方改革取組事例集(令和7年度)」と 「働きがいのある職場づくりのための支援マニュアル」 が新たに掲載されました。
働き方改革関連法の施行から数年が経ち、企業の取り組み状況には大きな差が生まれています。今回公開された2つの資料は、実際に成果を上げている企業の取り組みや、働きがい向上のための実践的な方法が整理されており、現場でそのまま活用できる内容となっています。
■働き方・休み方改革取組事例集(令和7年度)
今年度の事例集では、業種・規模の異なる企業が取り組んだ改善策が紹介されています。
本事例集の活用方法として以下の内容が紹介されています。
①自社における働き方・休み方の課題を把握
本事例集では、働き方・休み方改革を推進する目的を以下の3つのタイプに分け、各目的タイプに関連する取組について、企業事例を通じて具体的に紹介しています。
自社における働き方・休み方の実態や課題を把握し、参照する目的タイプと取組を選択します。
・目的タイプ1:全社的に、時間外労働削減による労働時間の適正化や一定の年次有給休暇の取得率を実現(主な取組:長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得率向上)
・目的タイプ2:業務のカバー体制や標準化などの取組を実施し、業務の繁閑に対応しながら連続休暇を取得するなど、メリハリある働き方をしつつ休暇の質の向上を実現(主な取組:業務の繁閑に応じた働き方・休み方、生産性を高める業務体制・仕事の進め方)
・目的タイプ3:勤務時間や勤務場所の柔軟化や、長時間働くことよりも生産性高く働くことを評価することで、仕事の特性やライフスタイルに応じた働き方を実現(主な取組:勤務時間の柔軟化、勤務日数の柔軟化、勤務場所の柔軟化、働き方に関わらず成果や取組を構成に評価)
②働き方・休み方改革の目的タイプと、企業事例で紹介する取組の対応
「働き方・休み方改革の目的タイプに応じた取組一覧」では、働き方・休み方改革の目的タイプと、各企業事例で紹介する取組を整理しています。
自社の働き方・休み方の課題に応じた目的タイプを踏まえ、該当する取組を紹介している企業事例を参照することが可能です。
■働きがいのある職場づくりのための支援マニュアル」
本マニュアルは、企業の皆様が働きがい向上の取組を成功に導くための「手順」を示したものです。経営層や管理職の「体制づくり」の段階から、「現状把握と課題特定」 のための具体的な調査・分析手法、そして取組を風土として根付かせるための「実践方法の解説」ま で、フェーズごとに詳細なステップを提供しています。
〇マニュアルの構成
大きく二部に分かれた構成となっています。
前半では、企業での働きがい向上への取り組み方を、企業における体制づくり、課題の特定、施策の展開、取組の効果検証のステップに分けて詳しく説明しています。
後半では、先進的に働きがい向上に取り組む企業の事例10 件を、取組の流れや体制なども含めて紹介しています。
〇企業事例の活用方法
①キャッチコピーを見て、取組の方向性から事例を探す
②業種や企業規模から、自社に似た事例を探す
③取組の内容から事例を探す
■まとめ
「働き方・休み方改革取組事例集(令和7年度)」と、「働きがいのある職場づくりのための支援マニュアル」は、どちらも現場でそのまま使える実践的な資料です。働き方改革を進めたい企業にとって、改善のヒントが数多く詰まっています。
詳細は、以下よりご確認願います。
年度末・年度初めは、36協定届の提出が集中する時期です。最近は電子申請を利用する企業も増えていますが、「e-Govの操作が難しい」「様式作成が不安」という声もよく聞きます。
そんな中で、厚生労働省が提供しているスタートアップ労働条件の『電子申請様式作成支援ツール』は、 中小企業でも使いやすい“やさしい電子申請”として非常に便利です。
■ 電子申請様式作成支援ツールとは
このツールは、入力フォームから必要項目を入力するだけで、労基署に提出可能な36協定届などの資料を自動作成してくれるサービスです。
● 対応している主な手続き
〇時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)
・様式第9号(一般条項)
・様式第9号の2(特別条項)
・様式第9号の3(研究・開発)
〇1年単位の変形労働時間制に関する協定届
〇就業規則(変更)届
36協定の一般条項から特別条項、研究開発型まで網羅されているのは大きなメリットです。
■ 利用に必要なもの
電子申請を行うには、以下のいずれかでログインします。
・GビズID
・スタートアップ労働条件のアカウント
GビズIDを持っていれば、他の行政手続きにも使えるため、この機会に取得しておいてもよいと思います。
■ 使い方は2通り
ツールの特徴は、企業の運用に合わせて2つの使い方が選べる点です。
①ツール上で届出に必要な資料を作成し、労使協定を締結(就業規則については労働者代表から意見聴取)した上で電子申請を行う。
②ツール外で作成した労使協定の内容を入力し(就業規則を除く)、ツール外で作成した届出に必要な資料を添付した上で電子申請を行う。
■ 実務で便利なポイント
・控えの取得が簡単
・次年度以降は複製して申請できる(毎年の入力負担が軽減)
・複数事業場の管理にも対応
・リマインドメール(※)
中小企業の担当者にとって、特に「複製申請」は大きな時短効果があります。
※新規会員登録画面で、リマインドメールのチ ェックボックスにチェックを入れた場合、申 請済みの様式(36 協定届、1 年単位の変形労働時間制に関する協定届)の有効期間の最終日から 30 日前に、登録されたメールアドレス 宛にリマインドメールが送信されます。
詳細は、以下よりご確認願います。
厚生労働省が運営する「働き方・休み方改善ポータルサイト」は、企業の働き方改革を支援するための総合情報サイトです。今回紹介するリーフレットでは、サイトの特徴や活用方法がコンパクトにまとめられており、企業の働き方・休み方の見直しを進める際の入口として非常に使いやすい内容になっています。
1. このサイトでできること
リーフレットでは、サイトの役割が次のように整理されています。
■ 働き方・休み方の改善に役立つ情報を提供
・長時間労働の把握
・年次有給休暇の取得促進
・勤務間インターバル制度
・特別な休暇制度
など、幅広いテーマを扱っています。
■ 企業の取組事例を検索できる
・業種別
・規模別
・キーワード検索 など、実際の企業の取り組みを探せる仕組みが用意されています。
2. 「働き方・休み方改善指標」で企業の自己診断が可能
リーフレットの中心に紹介されているのが、 「働き方・休み方改善指標」による企業向け自己診断です。
■自社の状況を可視化できる
・長時間労働の状況
・年休取得の実態
・働き方・休み方の課題 などを把握できます。
■ 診断結果から改善の方向性がわかる
診断後には
・判定結果
・取組の方向性
・おすすめの取組(取組のアイデア)
・類似企業の事例
などが提示され、次の一歩が明確になります。
■ 社員向け診断も可能
企業向けだけでなく、社員の視点からの診断も用意されており、両面から現状を把握できます。
3. 働き方改革の取組事例が豊富
サイトでは、働き方改革に取り組む企業の事例が多数掲載されています。
・年休取得率向上の工夫
・勤務間インターバル導入のプロセス
・特別休暇制度の整備
など、実務に直結する内容が多く、企業のヒントになります。
4. シンポジウムやイベント情報も掲載
リーフレットには、 働き方・休み方改善に関するシンポジウムの開催情報 が掲載されていることも紹介されています。
最新の動向を知りたい企業にとって、情報収集の場として活用できます。
まとめ
今回のリーフレットは、 「働き方・休み方改善ポータルサイトをどう使えばよいか」 を短時間で理解できる内容になっています。
・自社の働き方・休み方を見直したい
・年休取得率を改善したい
・特別休暇制度の導入を検討している
・他社の事例を参考にしたい
こうした企業にとって、非常に有用な資料です。
働き方改革の第一歩として、ぜひ一度サイトを確認してみてください。
詳細は、以下よりご確認願います。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」において、年次有給休暇取得促進特設サイトが更新されたとの新着情報が公表されました。
企業の働き方改革を支援するための情報が集約されている同サイトですが、今回の更新は、特に年次有給休暇の取得促進に関する取組を進めるうえで参考になる内容が追加されています。
■年次有給休暇の取得促進は、企業にとって避けて通れないテーマ
年次有給休暇の取得率は、法改正や社会的な意識の高まりにより改善傾向にありますが、依然として企業規模や業種によって差が見られます。特に中小企業では、業務の属人化や人員不足などを理由に、計画的な取得が進みにくい状況もあります。
年次有給休暇取得促進特設サイトでは、こうした課題に向き合う企業にとって役立つ情報が整理されており、以下のような情報が掲載されております。
・取得促進のための具体的な取組事例の紹介
・年次有給休暇の計画的付与制度の導入や時間単位の年次有給休暇の活用方法
・地域ごとの取組や支援情報
・パンフレット・リーフレット等の最新資料
企業が自社の状況に合わせて取り組みを検討する際、参考にしやすい構成になっています。
■働きやすい職場づくりのために
働き方改革の本質は、単に制度を整えることではなく、働く人が安心して休暇を取得できる職場環境をつくることにあります。年次有給休暇の取得促進は、その第一歩ともいえるテーマです。
今回の更新を機に、企業の皆さまが改めて自社の状況を見直し、働きやすい職場づくりに向けた一歩を踏み出すきっかけになればと思います。
詳細は、以下よりご確認願います。
働き方・休み方改善ポータルサイトに、特別休暇制度の導入をテーマにした新しい動画が掲載されました(動画視聴時間11:49)。
特別休暇制度は、年次有給休暇とは別に、企業が自主的に整備する休暇制度です。病気休暇やボランティア休暇、リフレッシュ休暇、裁判員休暇、ドナー休暇など、働く人の事情に応じて柔軟に対応できる点が特徴です。
最近では、更年期症状による体調不良への配慮としての休暇制度も注目されています。
今回の動画では、
・特別休暇制度の導入の意義
・特別休暇制度とは
・導入にあたっての留意点・ポイント
・導入事例
といった内容が、短時間で分かりやすく整理されています。
特別休暇制度は、従業員の健康確保やエンゲージメント向上につながるだけでなく、結果として企業の生産性向上にも寄与する可能性があります。
制度の導入を検討されている企業の方にとって、参考になる部分が多いと感じました。
興味のある方は、ぜひ動画をご覧ください。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、以下のアーカイブを公開しております。
・「働き方・休み方改革シンポジウム」
2025年10月28日(火) にオンライン配信で開催されたもので、セッション テーマは、以下の通りです。
①人手不足時代に立ち向かう中小企業の働き方改革
中小企業では、人手不足で働き方改革を進めるのが難しいとの声も聞かれます。しかし、人手不足であるからこそ働き方改革の推進が求められるのではないでしょうか。これからの時代に求められる働き方改革について、企業事例を踏まえて議論します。
②出社とテレワークの組み合わせ ~働きやすさと成果の追求~
コロナ禍において大きな広まりを見せたテレワークですが、出社とテレワークのバランスに悩む企業が増えています。働きやすさと成果をどのように追求していくべきでしょうか。これからの柔軟な働き方の方向性について、企業事例を踏まえて議論します。
以下よりご確認願います。
・「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」
2025年10月14日(火)にZoomウェビナー/YouTubeライブで開催されたものです。
プログラムは、以下の通りです。
・基調講演
「実はあまり知られていない?戦略的な休息と制度導入への壁の乗り越え方~優勝請負人と専門家が語る~」
以下よりご確認願います。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、「年次有給休暇取得促進特設サイト」を更新しました。
特設サイトでは、年次有給休暇についての制度の説明や企業の取組事例などが掲載されております。
また、企業向け自己診断も行うことが可能です。
どのようなものか試しにやってみました。
(※適当に回答しておりますので、ある特定の会社をイメージしたものではありません。)
業種、社員数、診断年などを入力すると以下のような質問が順番に表示されます。
・1ヵ月の平均所定外労働時間を入力してください。
・1ヵ月の法定時間外・休日労働時間数が36時間以上の社員の割合を入力してください。
・年次有給休暇の平均取得率を入力してください。
・年次有給休暇取得日数が年10日未満の社員の割合を入力してください。
・「社員は週2日以上、定時退社しているか」について、当てはまる項目を1つご選択ください。
・「社員は年に2回以上、連続5日以上の休暇を取得しているか」について、当てはまる項目を1つご選択ください。
・「社員は週に1回以上、テレワークを利用しているか」について、当てはまる項目を1つご選択ください。
・「社員は家庭やプライベート等の事情に応じて、出退勤時間を調整しているか」について、当てはまる項目を1つご選択ください。
・「様々な事情で社員に働く時間や場所に制約が生じた場合、働き続けながら能力を発揮することができるか」について、当てはまる項目を1つご選択ください。
上記質問に答え終わると確認画面が表示され、確認を行うと診断結果が表示されます。
取り組みのアイデアとして以下のような形で表示されます。
年次有給休暇の取得促進について見てみます。
その他、以下のような情報が表示されます。
〇課題別の対策
働き方・休み方に関する課題について、『意識』『マネジメント』『仕事特性』『実態把握』に分類しています。
自社の課題に近い課題がありましたら、提案された対策をご覧になり、対策検討の参考としてください。
〇貴社のデータと平均値との比較
〇あなたに合う事例
今回は、3社表示されました。
自社の現状を把握するのに一度診断をされてみてはいかがでしょうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、特別休暇制度導入事例集2024、特別休暇制度パンフレット2024、病気休暇制度周知ポスター・リーフレット、裁判員休暇制度周知ポスター・リーフレットを掲載しました。
・特別休暇制度導入事例集2024
特別休暇制度とは、労使による話し合いを通じて、休暇の目的や取得形態を任意に設定できる法定外休暇を指します。病気休暇やボ ランティア休暇などのほか、従前から多くの企業で導入の見られる慶弔休暇や夏季休暇も、企業により任意に設定された特別休暇です。
本リーフレットは、15の事例が紹介されております。
・特別休暇制度パンフレット2024
特別休暇制度の内、病気休暇制度、犯罪被害者等の 被害回復のための休暇制度、裁判員休暇制度、健康関連の休暇(ヘルス休暇)、ドナー休暇制度、献血休暇制度について取り上げられております。
・病気休暇制度周知リーフレット
病気休暇制度について、労働者の意識と病気休暇制度等の導入状況、病気休暇制度の導入例、病気休暇制度の導入・制度設計に関するQ&Aなどが掲載されております。
・裁判員休暇制度周知リーフレット
裁判員休暇について、裁判員休暇制度の導入状況(令和6年度)、裁判員休暇制度を設ける意義、就業規則記載例などが掲載されております。
特別休暇の導入を検討されている企業の方は、参考にされてみてはいかがでしょうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働時間・休日等に関するリーフレットを作成し公表しております。
令和6年9月に以下のリーフレットが掲載されました。
「労働時間を適正に把握し 正しく賃金を支払いましょう」
以下の内容が掲載されております。
●このような取り扱いは、労働基準法違反です!
・勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている
勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、1日の時間外労働時間のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て(丸め処理)、その分の残業代を支払っていない。
・一定時間以上でしか残業申請を認めない
残業申請は、30分単位で行うよう指示しており、30分に満たない時間外労働時間については、残業として申請することを認めておらず、切り捨てた分の残業代を支払っていない。
・始業前の作業を労働時間と認めていない
毎朝、タイムカード打刻前に作業(制服への着替え、清掃、朝礼など)を義務付けている が、当該作業を、労働時間として取り扱っていない(始業前の労働時間の切り捨て)。
●ワンポイントアドバイス
●労働時間とは
●労働時間の適正な把握
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001310369.pdf
昨日、事業場外労働のみなし労働時間制に関する最高裁判決が出されました。(最高裁 第三小法廷判決 令和6年4月16日)
まず、事案の概要からご紹介します。
上告人(仮に甲社とします)に雇用され、外国人技能実習生(以下、単に「実習生」という。)の指導員として勤務していた被上告人(乙さん)が、甲社に対し、時間外労働等に対する賃金の支払を求めるなどした事案です。
甲社は、乙さんの業務の一部については労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たり、所定労働時間労働したものとみなされるなどと主張して争いました。
【参考】労働基準法38条の2第1項
労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなすとした上で(本文)、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす(ただし書)旨規定する。次に、原審で確定した事実関係の概要から一部抜粋して記載します。(下線は筆者加筆)
・被上告人は、自らが担当する九州地方各地の実習実施者に対し月2回以上の訪問指導を行うほか、技能実習生のために、来日時等の送迎、日常の生活指導や急 なトラブルの際の通訳を行うなどの業務に従事していた。
・被上告人は、本件業務に関し、実習実施者等への訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理していた。また、被上告人は、上告人から携帯電話を 貸与されていたが、これを用いるなどして随時具体的に指示を受けたり報告をした りすることはなかった。
・被上告人が実際に休憩していた時間は就業日ごとに区々であった。また、被上告人は、タイムカードを用いた労働時間の管理を受けておらず、自らの判断により直行直帰することもできたが、月末には、就業日ごとの始業時刻、終業時刻及び休憩時間のほか、訪問先、訪問時刻及びおおよその業務内容等を記入した業務日報を上告人に提出し、その確認を受けていた。
上記の事実関係から、原審は次のとおり判断し、賃金請求を一部認容すべきものとしました。
被上告人の業務の性質、内容等からみると、上告人が被上告人の労働時間を把握することは容易でなかったものの、上告人は、被上告人が作成する業務日報を通じ、業務の遂行の状況等につき報告を受けており、その記載内容については、必要であれば上告人から実習実施者等に確認することもできたため、ある程度の正確性が担保されていたといえる。現に上告人自身、業務日報に基づき被上告人の時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったものであり、業務日報の正確性を前提としていたものといえる。以上を総合すると、本件業務については、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない。
これに対して、最高裁は、以下の理由から、本件本訴請求に関する上告人敗訴部分を破棄し、福岡高裁に差し戻ししました。
(下線等一部筆者加筆)
(1)このような事情(原審で確定した事実関係の概要)の下で、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮すれば、被上告人が担当する実習実施者や1か月当たりの訪問指導の頻度等が定まっていたとしても、上告人において、被上告人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったと直ちにはいい難い。
(2)しかるところ、原審は、被上告人が上告人に提出していた業務日報に関し、 ①その記載内容につき実習実施者等への確認が可能であること、②上告人自身が業務日報の正確性を前提に時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあっ たことを指摘した上で、その正確性が担保されていたなどと評価し、もって本件業務につき本件規定の適用を否定したものである。
しかしながら、上記①については、単に業務の相手方に対して問い合わせるなどの方法を採り得ることを一般的に指摘するものにすぎず、実習実施者等に確認するという方法の現実的な可能性や実効性等は、具体的には明らかでない。上記②についても、上告人は、本件規定を適用せず残業手当を支払ったのは、業務日報の記載のみによらずに被上告人の労働時間を把握し得た場合に限られる旨主張しており、 この主張の当否を検討しなければ上告人が業務日報の正確性を前提としていたともいえない上、上告人が一定の場合に残業手当を支払っていた事実のみをもって、業務日報の正確性が客観的に担保されていたなどと評価することができるものでもない。
(3)以上によれば、原審は、業務日報の正確性の担保に関する具体的な事情を十分に検討することなく、業務日報による報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとしたものであり、このような原審の判断には、本件規定の解釈適用を誤った違法があるというべきである。
最後に、林道晴裁判官の補足意見をご紹介します。
・多数意見は、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮している。これらの考慮要素は、本件規定についてのリーディング・ケースともいえる最高裁平成24年(受)第1475号同26年1月24日第二小法廷判決・裁判集民事246号1頁が列挙した考慮要素とおおむね共通しており、今後の同種事案の判断に際しても参考となると考えられる。
・事業場外労働については、外勤や出張等の局面のみならず、近時、通信手段の発達等も背景に活用が進んでいるとみられる在宅勤務やテレワークの局面も含め、その在り方が多様化していることがうかがわれ、被用者の勤務の状況を具体的に把握することが困難であると認められるか否かについて定型的に判断することは、一層難しくなってきているように思われる。 こうした中で、裁判所としては、上記の考慮要素を十分に踏まえつつも、飽くまで個々の事例ごとの具体的な事情に的確に着目した上で、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるか否かの判断を行っていく必要があるものと考える。
◎まとめ(私見)
判決文の本文および林道晴裁判官の補足意見から判断すると、事業場外労働のみなし労働時間制について、リーディングケースとされていた阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第2)事件(最判平成26.1.24 労判1088号5頁)の考慮要素を今回の事例も踏襲しています。さらに、補足意見では、多様化する労働環境の中で、定型的に判断することの難しさが指摘されており、個々の事例ごとの具体的な事情に的確に着目した上で、「労働時間を算定し難いとき」に当たるか否かの判断を行っていく必要があると述べられています。
本件については、業務日報の正確性等についての審理が不十分だとして高裁に差し戻しされていますが、「労働時間を算定し難いとき」の考慮要素が変わったわけではないので、今後も事業場外労働のみなし労働時間制の適用が厳しい状況はあまり変わらないかと個人的には思います。
実務対応としては、今まで通り、行政通達(昭和63年1月1日基発1号)や裁判例の傾向に合致するように体制を改める。それが難しい場合は、事業場外労働の適用はあきらめて、通常の労働時間管理を行い、残業代を支払うことをお勧めします。
判決文は、以下よりご確認ください。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/906/092906_hanrei.pdf
厚生労働省から、「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて(令和6年4月5日基発0405第6号)」という通達が出されました。
規制改革実施計画(令和5年6月16日閣議決定)において、「厚生労働省は、在宅勤務をする労働者に使用者から支給される、いわゆる在宅勤務手当について、割増賃金の算定基礎から除外することができる場合を明確化するため、在宅勤務手当のうちどのようなものであれば、合理的・客観的に計算された実費を弁償するもの等として、割増賃金の算定基礎から除外することが可能であるかについて検討し、必要な措置を講ずる。」とされていました。
今般、当該閣議決定に基づき、いわゆる在宅勤務手当が実費弁償と整理され、割増賃金の基礎となる賃金への算入を要しない場合の取扱いを下記のとおり示されました。(以下、通達より一部抜粋してご紹介します。下線は筆者加筆)
1 割増賃金の基礎となる賃金
在宅勤務をする労働者に使用者から支給されるいわゆる在宅勤務手当については、労働基準関係法令上の定めはなく、企業においては様々な実態がみられるが、 一般的には法第37条第5項及び則第21条に規定する賃金に該当しないと考えられるため、当該手当が法第11条に規定する賃金に該当する場合には、割増賃金の基礎となる賃金に算入されることとなること。
一方、各企業において支給される在宅勤務手当が、以下の2及び3に照らして、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当については法第11条に規定する賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないこと。
2 実費弁償の考え方
在宅勤務手当が、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理されるためには、当該在宅勤務手当は、労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、当該金額を精算するものであることが外形上明らかである必要があること。
このため、就業規則等で実費弁償分の計算方法が明示される必要があり、かつ、 当該計算方法は在宅勤務の実態(勤務時間等)を踏まえた合理的・客観的な計算方法である必要があること。
このことから、例えば、従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するもの)等は、実費弁償に該当せず、賃金に該当し、割増賃金の基礎に算入すべきものとなること。
3 実費弁償の計算方法
(1)別添の国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(以下「国税庁FAQ」という。)で示されている計算方法
(2)(1)の一部を簡略化した計算方法
通信費(電話料金、インターネット接続に係る通信料)及び電気料金については、在宅勤務手当の支給対象となる労働者ごとに、手当の支給月からみて直近の過去複数月の各料金の金額及び当該複数月の暦日数並びに在宅勤務をした日数を用いて、業務のために使用した1か月当たりの各料金の額を(1)の例により計算する方法。この場合は、在宅勤務手当の金額を毎月改定する必要はなく、当該金額を実費弁償として一定期間継続して支給することが考えられる。なお、「直近の過去複数月」については、例えば、3か月程度とすることが考えられる。また、「一定期間」については、最大で1年程度とし、「一定期間」経過後に改めて 同様の計算方法で在宅勤務手当の金額を改定することが考えられる・・・。
(3)実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方法
在宅勤務手当を実費の一部を補足するものとして支給することは、それが実費の額を上回らない限りにおいて、実費弁償になると考えられる。このため、実費の額を上回らないよう1日当たりの単価をあらかじめ合理的・客観的に定めた上で、当該単価に在宅勤務をした日数を乗じた額を在宅勤務手当として支給することは、実費弁償に該当するものとして差し支えない。通信費及び電気料金については、例えば、次のアからウまでの手順で定める方法が考えられる。
ア 当該企業の一定数の労働者について、国税庁FAQ問6から問8までの例により、1か月当たりの「業務のために使用した基本使用料や通信料等」「業務のために使用した基本料金や電気使用料」をそれぞれ計算する。
イ アの計算により得られた額を、当該労働者が当該1か月間に在宅勤務をした日数で除し、1日当たりの単価を計算する。
ウ 一定数の労働者についてそれぞれ得られた1日当たりの単価のうち、最も額が低いものを、当該企業における在宅勤務手当の1日当たりの単価として定める。
4 その他
既に割増賃金の基礎に算入している在宅勤務手当(実費弁償に該当するもの)を2及び3に照らして割増賃金の基礎に算入しないこととする場合、労働者に支払われる割増賃金額が減少することとなり、労働条件の不利益変更に当たると考えられるため、法令等で定められた手続等を遵守し、労使間で事前に十分な話合い等を行うことが必要であることに留意すること。
詳細は、以下よりご確認ください。
・「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて(令和6年4月5日基発0405第6号)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240409K0010.pdf
・別添
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240409K0011.pdf
事務の煩雑さを回避するのであれば、実費とはせずに一律手当で支給する、どうしても、実費で行いたいということであれば、(2)か(3)の方法というところでしょうか。ただし、(3)については、一定数の労働者を誰を選ぶかにより単価が変わる点と当該単価の額が高くなるよう恣意的に選んだ上で当該単価を定めたと指摘されるリスクを考えると、個人的には、(2)で行うのがよいかと考えます。
先日のブログで、1か月単位の変形労働時間制に関する協定届等について、本社一括届出が可能となる旨のご案内をさせていただきました。
本件について、厚生労働省は、令和6年2月16日付で、都道府県労働局長宛の通達を出しております。(基発0216第 8号)なお、本通達は令和6年2月23日から適用となります。
内容につきましては、リーフレットに掲載されている内容とほぼ変わりませんので、こちらでは詳細については触れませんが、以下に通達に記載されている項目のみ掲載させていただきます。(7 その他のみ内容も記載)
第1 趣旨
第2 要件
1 一箇月単位の変形労働時間制に関する協定(法第32条の2関係)
2 一週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定(法第32条の5関係)
3 事業場外労働に関するみなし労働時間制に関する協定(法第38条の2関係)
4 専門業務型裁量労働制に関する協定(法第38条の3関係)
5 企画業務型裁量労働制に関する決議(法第38条の4第1項関係)
6 企画業務型裁量労働制に関する定期報告(法第38条の4第4項関係)
7 その他
上記の「対象手続」の協定事項、決議事項及び報告事項のうち、上記1~6に掲げる事項以外のもの(同一であることを要しないもの)が記入された所定の電子ファイル(「一括届出事業場一覧作成ツール」で作成したCSVファイ ル)が添付されていること。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240220K0010.pdf
厚生労働省から、「医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について」の一部改正について(令和6年1月15日基監発0115第2号)が令和6年1月15日に出されました。
今回の改正は、解釈の明確化を図ったものであり、これまでの労働基準法の取扱いを変更するものではないとのことです。
以下の部分が新設されています。(下線は筆者加筆)
2 医師の研鑽に係る労働時間通達の運用における留意事項
カ 大学の附属病院等に勤務する医師の研鑽について大学の附属病院等に勤務し、教育・研究を本来業務に含む医師は、医師の研鑽に係る労働時間通達の記の2⑴アの「新しい治療法や新薬についての勉強」や記の2⑵アの「学会や外部の勉強会への参加・発表準備」、「論文執筆」をはじめ、同通達で「研鑽の具体的内容」として掲げられている行為等を、一般的に本来業務として行っている。
このため、当該医師に関しては、同通達中の「診療等その本来業務」及び「診療等の本来業務」の「等」 に、本来業務として行う教育・研究が含まれるものであること。
この場合の労働時間の考え方として、当該医師が本来業務及び本来業務に不可欠な準備・後処理として教育・研究を行う場合(例えば、大学の医学部等学生への講義、試験問題の作成・採点、学生等が行う論文の作成・発表に対する指導、大学の入学試験や国家試験に関する事務、これらに不可欠な準備・後処理など) については、所定労働時間内であるか所定労働時間外であるかにかかわらず、当然に労働時間となること。
また、現に本来業務として行っている教育・研究と直接の関連性がある研鑽を、所定労働時間内において、使用者に指示された勤務場所(院内等)において行う場合については、当該研鑽に係る時間は、当然に労働時間となり、所定労働時間外に上司の明示・黙示の指示により行う場合については、一般的に労働時間に該当すること。
上記のとおり、当該医師は、同通達で「研鑽の具体的内容」として掲げられている行為等を本来業務として行っているため、研鑽と本来業務の明確な区分が困難な場合が多いことが考えられる。したがって、研鑽の実施に当たっては、本来業務との関連性について、同通達の記の3⑴の「医師の研鑽の労働時間該当性を 明確化するための手続」として医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、双方の理解の一致のために十分な確認を行うことに特に留意する必要があること
詳細は、以下よりご確認ください。
・医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について」の一部改正について(令和6年1月15日基監発0115第2号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240117K0120.pdf
・新旧対照表
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240117K0121.pdf
・別添
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240117K0122.pdf
厚生労働省は、「生理」に関して 理解ある職場環境を考えてみませんか?というリーフレットを作成し、公表しております。
生理休暇は、労働基準法第68条において「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定められています。
リーフレットでは、労働基準法の「生理休暇」を利用するときの以下のチェックポイントが記載されております。
・従事している業務を問わず休暇を請求することができる。
・休暇の請求は、半日又は時間単位でも利用できる。
使用者は労働者が請求した範囲は、その労働者を就業させてはならない。
・生理期間や、生理による不快な症状の程度などは個人差があるものであり、就業規則その他により休暇の日数を限定することはできない。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001158713.pdf
裁量労働制については、「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」及び「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示」が令和6年4月1日から施行・適用されます。
この度、パンフレットやQ&Aが更新されました。
「専門業務型裁量労働制の解説」、「企画業務型裁量労働制の解説」では、労使協定例、労使委員会 運営規程例、決議例、就業規則の規定例、協定届の記入例、本人同意を得るに当たって労働者に明示する書面のイメージ、同意書面のイメージ等も掲載されております。チェックリストなども掲載されており、よくまとまった資料となっています。
◆パンフレット
・専門業務型裁量労働制について
・企画業務型裁量労働制について
・専門業務型裁量労働制の解説
・企画業務型裁量労働制の解説
また、Q&Aでは、令和5年8月2日に出された事務連絡に記載されたQ&Aに新たにQ&Aが追加される形で作成されております。
◆「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A」 の追加について
追加されたQ&Aについて一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者追記)
(Q)制度適用に当たっての同意取得は、書面であることが必要か。
(A)専門型・企画型の適用を受けることについての労働者の同意については、書面の交付を受ける方法のみならず、電子メールや企業内のイントラネット等を活用して電磁的記録の提供を受ける方法により取得することが可能である。(中略)
また、同意に関する労働者ごとの記録を労使協定又は決議の有効期間中及びその満了後3年間保存しなければならないため、書面や電磁的記録といった記録に残るもので同意を得た上、適切に保存する必要がある。
(Q)同意を取得するに当たっては、事業場における裁量労働制の制 度の概要等について、使用者が労働者に対し、「明示した上で説明」して、当該労働者の同意を得ることとすることを労使協定又は労使委員会決議で定めることが適当であるとされているが、この「明示した上で説明」については書面で行う必要があるか。
(A)専門型・企画型の同意取得に際しての制度概要等の明示について、必ずしも書面のみに限定しているものではないが、労働者の同意は自由な意思に基づくものであることが必要であり、労働者が自身に適用される制度内容等を十分に理解、納得した上で同意を行うことが必要である。そのため、書面の交付による方法や、電子メールや企業内のイントラネット等を活用して電磁的記録を交付する方法等を用いることで労働者が制度を確実に理解できるよう明示をすることが適切である。
なお、「明示」のみならず「明示した上で説明」することを求めた趣旨は、労働者が自身に適用される制度内容等を十分に理解、納得した上で同意を行うことを担保する点にある。したがって、書面等で制度概要等を明示するのみでは足らず、それに加えて労働者が制度概要等を理解できるような説明を行うことが必要であり、例えば、適用対象者向けの説明会の開催(質疑応答ができる形で行われるもの)や、説明動画による説明を行った上で質問の機会(メールやイントラネットでの質問受付等)を設けることなどが考えられる。
(Q)労使協定又は決議の有効期間満了後、改めて労使協定を締結又は決議し、同制度を適用する場合、労働者の同意も再度取得する必要があるか。
(A)労働者の同意については、労働者ごとに、かつ、協定又は決議の有効期間ごとに取得する必要がある。そのため、労使協定又は決議の有効期間の満了に当たって、再度労使協定を締結又は決議する場合には、改めて労働者の同意を取得する必要がある。その際には、改めて制度の概要等を明示した上で説明し、労働者の同意を取得することが適当である。
(Q)労使協定又は決議において同意の撤回の手続を定める際、同意 の撤回を申し出るタイミングを指定することは可能か。
(A)基本的に同意の撤回は労働者の任意の時期に申出を行うことを可能とし、その時点から適用が解除されるようにすることが適切であるが、労使協定や決議において、同意の撤回の手続について、例えば「適用解除予定日の○日前までに同意の撤回を申し出る必要がある」等の定めをすることは可能である。
(Q)裁量労働制適用労働者が同意の撤回をした場合に、裁量労働制非適用労働者の等級が適用労働者のものより低いために、同意の撤回後に基本給額や手当額が撤回前より下がる場合や、適用労働者のみ支給対象の手当が支給されなくなる場合、これらは同意の撤回を理由とした不利益な取扱いに当たるか。
(A)裁量労働制適用前に、あらかじめ労働契約(個別の労働契約や就業規則等)の内容として、適用労働者と非適用労働者の等級とそれに基づく賃金額や、適用労働者のみ支給対象の手当が定められている場合には、撤回後の労働条件は当該労働契約の 内容に基づき決定されるものであるから、その内容が明らかに合理性のないものでない限り、撤回を理由とする不利益取扱いには当たらない。
(Q)健康・福祉確保措置に基づき一定期間裁量労働制を適用しないこととしたのち、当該期間を経過した場合に再度裁量労働制を適用する旨、就業規則等に定めて労働者に周知することをもって、本人の同意を得たものとすることは可能か。
(A)できない。就業規則や労使協定、決議等による包括的な同意は認められず、裁量労働制の適用を受けることについて、個別の労働者の同意を再度得ることが必要である。その際には、改めて制度の概要等を明示した上で説明し、労働者の同意を取得することが適当である。
(Q)M&Aアドバイザリー業務に従事しつつ、それ以外の業務にも従事する場合、それが短時間であってもみなしの効果は発生しないのか。
(A)専門型の対象業務と非対象業務とを混在して行う場合は、たとえ非対象業務が短時間であっても、それが予定されている場合は、全体として専門型を適用することはできない。
(Q)労使協定及び労使委員会決議について自動更新の定めをすることは可能か。また、労使協定及び労使委員会決議の有効期間について決まりはあるか。
(A)労使協定及び決議の有効期間について、自動更新する旨の定めをすることは認められない。また、労使協定及び決議の有効期間については、3年以内とすることが望ましい。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、裁量労働制に関する特集ページを作成しております。
裁量労働制については、「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」及び「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示」が令和6年4月1日から施行・適用されます。
特集ページでは、リーフレット、通達、Q&Aなどが掲載されております。
今回、各種様式記載例が新たに掲載されました。
以下の記載例が掲載されております。
・様式第13号:専門業務型裁量労働制に関する協定届
・様式第13号の2:企画業務型裁量労働制に関する決議届
・様式第13号の4:企画業務型裁量労働制に関する報告
詳細は、以下よりご確認ください。
自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイトでは、以下の更新が行われました。
〇「運転者の労働時間削減に向けてあなたにできることやって欲しいこと」を公開しました(トラック、バス)
国民の皆さん宛に、トラック運転者、バス運転者の労働時間削減に向けてできること、やってほしいことが記載されております。
例)宅配便の受け取りについて、「再配達を減らそう」、「宅配便の回数を減らそう」
大型車の駐車スペースにマイカーを駐車しない
バス停や駅前ロータリー等の乗降場付近には駐車しないようにしましょう。
走り込みはやめて、バス停には時間的に余裕をもって到着しましょう。
〇「運転者の仕事をしってみよう」を公開しました(トラック、バス、ハイヤー・タクシー)
・統計からみる運転者の仕事
・動画・写真でみる運転者の仕事(トラック運転者のみ)
・運転者の「生の声」(トラック運転者のみ)
〇「改善事例」を公開しました(トラック、バス、ハイヤー・タクシー)
・時間外労働削減のための改善事例
・ITの活用による改善事例
・その他の改善事例
〇「情報いろいろ宝箱」を公開しました(トラック、バス、ハイヤー・タクシー)
動画、ハンドブック・ガイドライン等、労働時間短縮などに向けた行政の取組、各種法令・制度・助成について記載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
一年単位の変形労働時間制に関する協定届は、事業場単位でそれぞれの所在地を管轄する労働基準監督署に届け出る必要がありますが、令和5年2月27日から、次の条件を満たす場合には、36協定届や就業規則届と同様に、 本社において各事業場の協定届を一括して本社を管轄する労働基準監督署に 届け出ることが可能となりました。
1)電子申請による届出であること
2)以下の項目の記載内容が同一であること
・対象期間及び特定期間(起算日)
・対象期間中の各日及び各週の労働時間並びに所定休日
・対象期間中の1週間の平均労働時間数 ▪協定の有効期間
・労働時間が最も長い日の労働時間数(満18歳未満の者)
・労働時間が最も長い週の労働時間数(満18歳未満の者)
・対象期間中の総労働日数
・労働時間が48時間を超える週の最長連続週数
・対象期間中の最も長い連続労働日数
・対象期間中の労働時間が48時間を超える週数
・特定期間中の最も長い連続労働日数
・使用者の職名及び氏名
・旧協定の内容
3)事業場ごとに記載内容が異なる以下の項目については、厚生労働省HPまたはe-Govの申請ページからExcelファイル「一括届出事業場一覧作成ツール」をダウンロードし、内容を記入して添付すること
・事業の種類
・事業の名称
・事業の所在地
・常時使用する労働者数
・所轄労働基準監督署
・該当労働者数(満18歳未満の者)
・管轄労働局
・協定当事者、協定成立年月日
詳細は以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html
