治療と就業の両立支援指針が公表されました(2026年2月10日)(2026/2/17更新)

 2026年2月10日、厚生労働省より「治療と就業の両立支援指針」が公表されました。本指針は、令和8年4月1日から適用され、疾病を抱えながら働く労働者が安心して治療と仕事を両立できるよう、事業主が講ずべき措置や体制整備の方向性を示したものです。 

 

 

■ なぜ今「治療と就業の両立支援」なのか

 少子高齢化が進む中、働きながら治療を続ける労働者は年々増えています。 かつては離職を余儀なくされた病気でも、医療技術の進歩により「働きながら治療を続ける」ことが可能になってきました。

しかし現実には、

・職場の理解不足

・相談しづらい雰囲気

・適切な配慮制度が整っていない

といった理由で、治療を優先せざるを得ず離職に至るケースも少なくありません。

 今回の指針は、こうした状況を改善し、企業・医療機関・労働者が連携して治療と就業を両立できる社会をつくることを目的としています。

 

■ 指針のポイント(実務で押さえるべき点)

1. 労働者本人の申出が起点

 治療と就業の両立支援は、私傷病に関する取り組みであるため、 労働者本人からの申出がスタートラインとなります。

そのため企業には、

・相談窓口の明確化

・申出しやすい職場風土づくり

・管理職・従業員への研修

が求められます。

 

2. 主治医・産業医との連携が必須

 事業主は、労働者が提出した主治医の情報をもとに、産業医等の意見を聴取し、 就業継続の可否や必要な措置を判断します。

 主治医と産業医の意見が一致しない場合もあり得るため、 情報共有のための様式整備や連携体制が重要になります。

 

3. 就業上の措置の具体例

指針では、以下のような措置が例示されています。

・就業場所の変更

・作業内容の転換

・労働時間の短縮

・時差出勤

・在宅勤務

・試し出勤制度

・通院時間の確保 など

これらは、事業場の実情に応じて柔軟に検討することが求められます。

 

4. 治療と就業の両立支援プランの作成

就業継続が可能と判断された場合、 具体的な配慮内容やスケジュールをまとめたプランの作成が望ましいとされています。

プランには、

① 治療、投薬等の状況及び今後の治療、通院の予定 

② 就業上の措置及び治療に対する配慮の具体的内容並びに実施時期・期間 

・就業上の措置の内容(就業場所の変更、作業の転換(業務内容の変更)、労働時間の短縮等) 

・治療に対する配慮の内容(通院時間の確保)

③ フォローアップの方法及びスケジュール(産業保健スタッフや人事労務担当者等による面談等)

などを盛り込みます。

 

5. 長期休業が必要な場合の対応

休業開始前の説明、休業中のフォロー、職場復帰の判断、復帰支援プランの作成など、 休業から復帰までのプロセスが詳細に整理されています。

特に、復帰可否の判断では、

・主治医の意見

・産業医の意見

・労働者本人の意向

・復帰予定部署の意見

を総合的に勘案し、配置転換も含めた職場復帰の可否を判断することが求められます。

 

■ まとめ

 治療と就業の両立支援は、これからの企業にとって避けて通れないテーマです。 今回の指針公表を機に、各事業場でのルール整備や研修、相談体制の見直しを進めていくことが求められます。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H260210K0040.pdf

 

「治療と仕事の両立支援指針案」について(パブコメ)(2025/12/16更新)

厚生労働省は、病気を抱えながら働く人が安心して治療と仕事を両立できるようにするため、「治療と仕事の両立支援指針案」を公表し、現在パブリックコメントを募集しています。

 

 

 背景には、がんや糖尿病など長期的な治療を必要とする労働者の増加があります。高齢化が進む社会では、病気を理由に離職する人が増えることは人材不足をさらに深刻化させる要因となり、労働者本人にとっても生活基盤を失う大きなリスクとなります。こうした課題を解決するため、事業主に「両立支援のための措置を講じる努力義務」が新設されました。

 

 指針案の内容について一部抜粋してご紹介します。

(2)対象

 ・対象者:雇用形態に関わらず、すべての労働者。正社員だけでなく、パート・契約社員も含まれる。

 

(3)治療と就業の両立支援を行うにあたっての留意事項

① 安全と健康の確保

・就業によって疾病が悪化・再発しないよう、就業場所の変更、作業転換、労働時間短縮、深夜業削減などの措置を講じる。

・業務繁忙を理由に必要な措置を怠ってはならない。

 

③ 労働者本人の申出 

 私傷病に関わるため、支援は労働者本人からの申出を端緒とする。 

 

④ 措置等の検討と実施 

 事業主が一方的に判断せず、労働者と協議しながら進める。 

 

⑤ 治療と就業の両立支援の特徴を踏まえた対応

 治療の副作用や後遺症で業務遂行能力が一時的に低下する場合があるため、柔軟な対応が必要。

 

⑥ 個別事例の特性に応じた配慮 

 症状や治療方法は個人差が大きいため、個別事例の特性に応じた配慮が必要。 

 

⑦ 対象者、対応方法等の明確化 

 事業場内ルールを労使の理解を得て作成し、対象者や対応方法を明確化。

 

⑧ 個人情報の保護 

 労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、原則とし て、事業主が労働者本人の同意なく取得してはならない。また、事業主が把握した健康情報については、情報管理体制を整備し、漏洩防止を徹底。

 

⑨ 治療と就業の両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性 

 事業場、医療機関、地域支援機関が連携することが重要。特に主治医と産業医、人事労務担当者との情報連携が不可欠。

 

(4)治療と就業の両立支援を行うための環境整備

① 事業主による基本方針の表明等と労働者への周知 

 事業主が両立支援への基本方針を示し、全労働者に周知。 

 

② 研修等による意識啓発 

 管理職や労働者に研修を行い、理解を深める。

 

③ 相談窓口等の明確化 

 労働者からの申出を受け付ける相談窓口を設置し、情報の取扱いを明確化。

 

④ 治療と就業の両立支援に関する制度、体制等の整備

・休暇制度や勤務制度を整備し、申出時の対応手順や関係者の役割を整理。

・情報共有の仕組みを構築。

 

⑤ 事業場内外の連携 

 産業医や主治医と連携し、必要に応じて医療ソーシャルワーカー、保健師、社労士などの支援を受ける。

 

(5)治療と就業の両立支援の進め方

申出と情報収集

 労働者が申出を行い、主治医から必要情報を収集して事業主に提出

 

産業医等の意見聴取

 事業主は主治医の情報を産業医等に提供し、就業継続の可否や措置について意見を聴取

 

就業継続の判断

 主治医・産業医等の意見を勘案し、事業主が判断

 

措置の検討・実施

 継続可能な場合は、就業上の措置内容や実施時期を決定し実施

 

休業が必要な場合

 休業開始前の対応や休業中のフォローアップを行い、回復後は職場復帰の可否を判断。復帰後の措置も検討・実施

 

経過が悪い場合

 主治医や産業医等の意見を求め、就業継続の可否について慎重に判断

 

業務遂行に影響がある場合

 作業転換などの措置を検討し、労働者本人の了解を得て実施。 

 

再発時の対応

 再発した際には状況に合わせて改めて検討することが重要である。

 

 

 以上になります。

 両立支援のための措置を講じることにより、労働者は治療を受けながら安心して働き続けることが可能となり、企業にとっては人材確保や離職防止につながります。

 施行は2026年4月1日予定です。

 

 

 治療と仕事の両立は、個人の安心だけでなく社会全体の持続可能性を支える大きなテーマです。病気を抱える人が働き続けられる環境は、労働者の生活を守るだけでなく、企業の競争力を維持し、社会保障制度の安定にも寄与します。今後の労働環境を左右するこの取り組みは、働き方改革の一環としても注目されるべきものです。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

 

 

「治療と仕事の両立支援ナビ」 ガイドライン・連携マニュアル・その他参考資料を更新(2025/4/6更新)

 治療しながら働く人を応援する情報ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」では、ガイドライン・連携マニュアル・その他参考資料を更新しました。

 

●治療と仕事の両立支援ガイドライン

目次

1 治療と仕事の両立支援を巡る状況

2 治療と仕事の両立支援の位置づけと意義

3 治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項

4 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)

5 両立支援の進め方

6 特殊な場合の対応

参考資料

(様式例集)

(支援制度・機関)

(留意事項)

 

●企業・医療機関連携マニュアル

 本参考資料は、治療と仕事の両立支援のため、企業と医療機関が情報のやりとりを行う際の参考となるよう、ガ イドライン掲載の様式例(ガイドライン「様式例集」)に沿って、各様式例の作成のポイントを示すものです。

・解説編 

・治療と仕事の両立支援カード編 

・事例編:がん 

・事例編:脳卒中 

・事例編:肝疾患 

・事例編:難病 

・事例編:心疾患 

・事例編:糖尿病 

 

 その他、詳細は、以下よりご確認ください。

 

 

不妊治療と仕事との両立について、2つのパンフレットを作成し公開(2024/4/19更新)

厚生労働省は、不妊治療と仕事との両立について、2つのパンフレットを作成し公開しております。

 

「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」

 

 本マニュアルは、令和4年度に作成したものについて最新の情報に更新した改訂版です。

主な変更点として、第1章では、不妊治療の平均的な治療期間や不妊治療前後の注意点をが追加されました。また、第2章では、令和5年度に実施したアンケート調査結果に基づきデータを更新しています。そして、第4章では、不妊治療と仕事との両立に取り組んでいる企業の事例として、新たに5社追加されました。 

 

・「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」  

 このハンドブックでは、職場内で不妊治療への理解を深めていただくために、不妊治療の内容や職場での配慮のポイントなどが紹介されています。

 

 詳細は、以下よりご確認ください。

 

 

治療と仕事の両立支援ガイド 研修資料のご紹介(2024/2/11更新)

治療しながら働く人を応援する情報ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」では、治療と仕事の両立支援を行うにあたり、経営者・人事労務担当者や管理職が知っておくべき事柄を解説する研修資料を作成し公表しております。

 

 

 高年齢労働者の増加を背景に病気になる労働者の増加が見込まれるなかで、企業は持続的な経営の観点から、全ての労働者が適切な治療を受けながら生き生きと働き続けられる環境を整備していく必要があります。

 企業での集合研修や個人での学習などにご活用されてみてはいかがでしょうか。

 

以下のような内容が掲載されております。(目次を資料より抜粋)

 

(経営者・人事労務担当者版)

 

(管理者版)

 

 詳細は、以下よりご確認ください。