通勤手当の非課税限度額が改正 ― 国税庁Q&Aを実務目線で整理(2026/4/22更新)

令和8年度税制改正により、自動車通勤者の通勤手当の非課税限度額が大きく見直されました

国税庁はこの改正内容をまとめたQ&Aを公表しており、企業の給与計算・通勤手当規程の見直しに直結する内容が多数含まれています。

この記事では、社労士の実務視点から、押さえるべきポイントを整理します。

 

 

1. 改正のポイントは大きく2つ

 国税庁Q&Aによると、今回の改正は次の2点が柱です。

 

① 片道65km以上の自動車通勤者の非課税限度額が引き上げ

 従来は「55km以上は一律38,700円」でしたが、65km以上の区分が新設され、最大66,400円まで非課税となります。

 

② 駐車場等の料金相当額(上限5,000円)が非課税枠に加算

 一定の要件を満たす駐車場等を利用している場合、通勤距離に応じた非課税限度額に加えて、駐車場料金相当額(上限5,000円)を加算できます。

これにより、地方の自動車通勤者にとっては実質的な非課税枠の拡大となります。

 

2. 適用開始は「令和8年4月1日以後に支払われる通勤手当」

 適用時期はシンプルで、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されます。

ただし、

 ・遡及改定に伴う差額支給

 ・本来は4月以前に支払われるべきだった通勤手当の追加支給 

などは改正後の非課税枠の対象外となる点に注意が必要です。

 

3. 「一定の要件を満たす駐車場等」とは何か

 今回の改正のキモとなるのがこの定義です。

● 非課税の対象となる駐車場等の条件

 ・勤務先の周辺

 ・通勤に利用する駅・停留所・フェリー乗り場・空港などの周辺

 つまり、 自宅付近の駐車場は対象外です

 

● 自転車・バイクの駐輪場も対象

 駐輪場も「駐車場等」に含まれます。

 

● 複数の駐車場を利用している場合

 合計額(上限5,000円)を非課税枠に加算できます。

 

4. 駐車場料金の「1か月当たりの額」の計算方法

 Q&Aでは、駐車場料金の算出方法が非常に丁寧に整理されています。

 

主な計算方法

 ・月額契約:そのままの金額

 ・3か月・6か月契約:月割り

 ・年契約:12で割る

 ・都度払い(コインパーキング等)

  実際の1か月合計

  回数券 × 出勤日数

  合理的な計算方法(例:1時間200円×平均勤務時間×出勤日数

 

★注意点

 ・消費税を含めた金額で計算

 ・上限は 5,000円

 ・片道2km未満の人は駐車場加算の対象外

 

5. 非課税限度額の計算例(実務で使える)

 Q&Aには複数のケースが掲載されていますが、特に実務で使いやすい例を紹介します。

 

● ケース:片道50km、駐車場8,000円

 ・距離区分の非課税限度額:32,300円

 ・駐車場:上限5,000円

 ・非課税限度額:37,300円 → 支給額がこれを超えると課税

 

● ケース:会社が駐車場を代わりに契約している場合

 会社負担であっても、 実質的に通勤手当を支給しているとみなされるため、 非課税限度額の計算に含める必要があります。

 

6. 実務担当者が今すぐ対応すべきこと

① 通勤手当規程の見直し

 ・駐車場料金の扱い

 ・非課税限度額の変更

 ・申請書式の見直し

 

② 従業員からの「駐車場料金の確認」

 法令上の義務はないものの、非課税限度額の計算には金額確認が必須です。領収書・契約書の提示を受ける運用が現実的です。

 

③ 給与システムの改修

 ・新しい距離区分の反映

 ・駐車場加算のロジック追加

 ・上限5,000円の判定

 

まとめ

 今回の改正は、地方の自動車通勤者にとっては実質的な負担軽減となる一方、企業側には 「駐車場料金の確認」という新たな実務が発生します。

 国税庁Q&Aは非常に詳細で、実務に直結する内容が多いため、 給与計算担当者は早めの対応が求められます。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

 

 

令和8年度(2026年度)雇用保険料率が公表されました(2026/3/16更新)

厚生労働省より、令和8(2026)年4月1日から令和9(2027)年3月31日までの雇用保険料率が公表されました。今年度は、失業等給付の保険料率が引き下げとなり、事業主・労働者双方にとって負担が軽減される内容となっています。

 

🔍 令和8年度の雇用保険料率(2026年4月〜2027年3月)

■ 一般の事業

労働者負担:5.5/1,000→5/1,000

事業主負担:9/1,000→8.5/1,000

合計料率:14.5/1,000→13.5/1,000

 

■ 農林水産業・清酒製造業

労働者負担:6.5/1,000→6/1,000

事業主負担:10/1,000→9.5/1,000

合計料率:16.5/1,000→15.5/1,000

 

■ 建設業

労働者負担:6.5/1,000→6/1,000

事業主負担:11/1,000→10.5/1,000

合計料率:17.5/1,000→16.5/1,000

 

📌 今年度の主な変更点(ポイントだけ知りたい方向け)

失業等給付の保険料率が引き下げ

・一般の事業:5.5‰ → 5‰

・農林水産・清酒製造、建設:6.5‰ → 6‰

 

・雇用保険二事業(事業主負担)は据え置き

・一般:3.5‰

・建設:4.5‰

 

・結果として、全体の雇用保険料率が 1‰ 引き下げ

 

💼 実務担当者が注意すべきポイント

1. 給与計算ソフトの料率更新を忘れずに

 4月分給与から新料率を適用します。

 

2. 労働者負担分の控除額が変わる

 

3. 労働保険年度更新にも影響

 令和8年度の概算保険料は新料率で計算します。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

https://www.mhlw.go.jp/content/001672589.pdf

 

食事の現物支給の非課税限度額が大幅引上げ(2026年4月1日~)(2026/3/3更新)

令和8年度税制改正により、企業が従業員へ提供する 食事補助(現物支給) の非課税限度額が、約40年ぶりに見直されます。

 

 

■改正のポイント(まず押さえるべき3点)

 

1. 非課税限度額が 3,500円 → 7,500円 に倍増

 従業員が食事の現物支給を受ける際、次の2つの要件を満たすと非課税になります。

・従業員が食事代の 50%以上を負担

・会社負担額(=食事価額-従業員負担)が 月額7,500円以下(現行3,500円)

 今回の改正で、会社が負担できる非課税枠が大幅に拡大します。

 

2. 深夜勤務者の「夜食代」も 300円 → 650円 に引上げ

 深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて金銭を支給する場合、非課税となる上限額が 1回300円 → 650円 に引き上げられます。

 夜勤の多い業種(介護・医療・物流など)では、実務上の影響が大きい改正です。

 

3. 適用開始は 令和8年(2026年)4月1日以後の支給分から

 企業は、4月以降の食事補助制度の見直しが必要になります。

 

■企業が検討すべき実務ポイント

● 食事補助制度の見直し

・現行3,500円で運用している企業は、7,500円まで拡大可能

 

● 従業員負担割合(50%以上)の維持

 非課税のためには、従業員が食事代の半分以上を負担する必要があります。負担割合が崩れると補助額全額が課税 となるため注意。

 

● 夜勤の多い職場の夜食代の見直し

 介護・医療・警備・物流など、夜勤が多い業種では650円まで非課税で支給可能となり、福利厚生の改善につながります。

 

● 社内規程(福利厚生規程)の改訂

・食事補助の上限額

・従業員負担割合

・夜食代の支給基準 など、規程に記載している場合、改訂が必要です。

 

まとめ

 今回の改正は、企業・従業員双方にとってメリットが大きい内容です。 特に、食事補助を導入している企業は制度の見直しが必須となります。

4月1日以降の運用に向けて、

・規程の改訂

・従業員負担割合の確認

・食事補助の金額設定 を早めに進めることが重要です。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

 

 

子ども・子育て支援金制度の創設に伴う事務取扱いQ&Aが公表されました(2026/2/20更新)

厚生労働省・こども家庭庁が公表した 「子ども・子育て支援金に関するQ&A」(令和8年2月12日)が公開されました。 

 制度の基本から給与計算・端数処理・二以上勤務の扱いまで、実務で必ず問われるポイントが整理されています。

 

 

1. 子ども・子育て支援金とは?拠出金との違い

 Q&Aではまず制度の位置づけが明確にされています。

・支援金 → 全世代・企業から拠出し、児童手当拡充などの子育て施策に充当する仕組み

・拠出金 → 事業主のみが負担し、仕事と子育ての両立支援を目的とする制度

 つまり、制度趣旨が異なる点が重要です。 支援金は「社会全体で子育てを支える」ための新しい財源という位置づけです。

 

3. 子どもがいない従業員からも控除するのか

結論は「控除する必要がある」です。

説明のポイントは以下のとおり。

・支援金は「独身・子育て終了世帯・高齢者を含む全世代」が拠出

・子どもは将来の社会保障の担い手となるため、社会全体にメリットがある

・企業も含めた「社会全体で支える仕組み」

 従業員説明の際は、「社会全体で支え合う制度」という趣旨を押さえるとスムーズです。

 

5. 支援金額の計算方法と給与明細の内訳記載

● 支援金率(令和8年度)

 0.23%(=0.0023) 標準報酬月額 × 0.0023 が月額支援金となります。賞与も同様に標準賞与額 × 0.0023。

 

● 給与明細への内訳記載

法令上の義務はありませんが、制度趣旨を踏まえ、内訳記載への協力が求められています。

 

6. 端数処理はどうする?

健康保険料と支援金を合算した率を標準報酬に乗じ、その額を折半したうえで端数処理を行います。

・50銭以下 → 切り捨て

・50銭超 → 切り上げて1円

健康保険料と支援金を別々に端数処理するわけではない点が重要です。

 

7. 二以上勤務被保険者の扱い

健康保険料と同様に、標準報酬月額・標準賞与額に支援金率を乗じ、按分率を乗じて算出します。

 

制度開始に向けて、給与計算・従業員説明の準備を進めておくと安心です。

詳細は、以下よりご確認願います。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260216S0101.pdf

 

子ども・子育て支援金制度のリーフレット等のご紹介(こども家庭庁)(2026/2/13更新)

こども家庭庁は、2026年4月からスタートする子ども・子育て支援金制度について、企業や加入者向けのポスター・リーフレットを公表しております。制度開始を前に、事業主や従業員への周知を目的とした広報資材がまとめられています。

 

 

■子ども・子育て支援金制度とは

 この制度は、「全世代・全経済主体で子育て世帯を支える」という理念のもと創設された新しい仕組みです。民間企業に勤める方の場合、支援金は健康保険料と合わせて徴収され、労使折半で負担します。

 徴収開始は 2026(令和8)年4月から(給与天引きは翌月から)とされています。

 

公表された広報資材

こども家庭庁は、制度の理解促進のため、以下の広報物を公開しています。

・被用者保険加入者向けリーフレット

・国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者向けリーフレット

・事業主向けリーフレット

・制度の概要を伝える ポスター

 企業としては、これらを活用し、掲示・回覧・配布などを行うことで、従業員への周知を進めることができます。

 

事業主向けリーフレットのQ&Aがポイント

 事業主向けリーフレットには、実務上気になる次のようなQ&Aが掲載されています。

Q:給与明細で分けて記載しないといけないの? 

A:法令上の義務ではありませんが、本制度が社会全体でこどもや子育て世帯を応援する趣旨であることを踏まえて、給与明細にその内訳を記載する取組についてご理解・ご協力をお願いします

 

Q:給与だけでなく賞与にも支援金がかかるの? 

A:賞与からも支援金を拠出いただきます

 

Q:育休期間中や産休期間中は支援金が免除されるの? 

A:企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます。

 

■まとめ

 制度開始が近づく中、企業としては従業員への丁寧な説明が求められます。 

 今回公表されたポスターやリーフレットは、制度の理解を深めるうえで非常に有用です。広報資材を活用し、スムーズな制度導入に向けて準備を進めていきたいところです。

 

 詳細は、以下よりご確認願います。

 参考資材集-広報資材のコーナーに掲載されています。

 

 

付加退職金の支給の在り方について ― 上限撤廃の方向性が示される(2026/2/7更新)

厚生労働省は「第91回 労働政策審議会 勤労者生活分科会 中小企業退職金共済部会」の資料を公開しました。 

 今回の部会では、付加退職金の支給の在り方が主要テーマのひとつとして取り上げられ、特に付加退職金に充てる額の上限撤廃という方向性が示された点が注目されます。 

 

 

1. 付加退職金とは

 中退共制度では、基本退職金に加えて、財政状況が良好な場合に「付加退職金」が支給されます。 これは、いわば 運用益の加入者への還元 であり、制度の魅力を高める重要な仕組みです。

 しかし現行制度では、付加退職金に充てられる額に上限 が設けられており、財政が良好でも柔軟な還元ができないという課題が指摘されてきました。

 

2. 現在の運用状況等について

・累積剰余金は目標額である5,400億円を既に確保

・国債利回りが予定運用利回りを上回る状況となる等、金融環境が大きく変化。物価上昇率も1%を大きく超過。 

・退職金制度の魅力の維持を図る必要

 

3. 今後の見直しの考え方及び方向性

・付加退職金について改めて検討を行う次期財政検証(令和9年度を予定)までの間、支給ルールについて、累積剰余金が目標額(=5,400億円)を達成している場合は、付加退職金に充てる額の上限を撤廃してはどうか。 

・次期財政検証において、予定運用利回りの見直しについても検討することとしてはどうか。

 

(出典:第91回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 資料1)

 

詳細は、以下よりご確認願います。

 

 

令和7年分 年末調整のしかたの動画を公開(国税庁)(2025/10/20更新)

 国税庁は、令和7年分年末調整に関する解説動画(YouTube)を公表しております。

以下の動画が掲載されております。

 

 

1. 令和7年の改正事項(基礎控除の見直し等)(7:12)

2. 年末調整の手続 ~概要~(3:40)

3. 「扶養控除等申告書」の記載のしかた(7:56)

4. 「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記載のしかた(9:56)

5. 「保険料控除申告書」の記載のしかた(5:54)

6. 「住宅借入金等特別控除申告書」の記載のしかた(3:46)

7. 年末調整の手続~①各種控除額の確認~(5:43)

8. 年末調整の手続~②年税額の計算・③過不足額の精算~(8:06)

9. 令和8年分の給与の源泉徴収事務(改正事項)(1:41)

10. 「年末調整がよくわかるページ」の利用方法(5:02)

11. 年末調整手続の電子化・年調ソフト(1:58)

12. 年末調整を受ける従業員の方向けの情報(3:25)

 

 その他、年調ソフトの使い方や法定調書の作成と提出に関する動画も掲載されております。

詳細は、以下よりご確認ください。

 

 

令和7年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行についてのお知らせを更新(日本年金機構)(2025/10/12更新)

日本年金機構は、令和7年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行についてのお知らせを更新しております。

 

 国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象です。
 年末調整や確定申告で社会保険料控除を申告する場合は、送付される控除証明書をお使いください。

 

 

〇控除証明書の送付日

次の送付予定日に、日本年金機構から対象の方に控除証明書が送付されます。
なお、電子データの送付対象の方には書面の郵送は行われません。

 

 

(出典:日本年金機構ホームページ)

 

 控除証明書の見方も掲載されております。

詳細は、以下よりご確認ください。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/koujo/R7koujo/soufu.html

 

「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」を作成し公表(国税庁)(2024/6/18更新)

国税庁は「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」を作成し公表しております。(令和6年6月10日)

 

 

 源泉徴収手続の簡素化を図り納税者利便を向上させる観点から、給与等の支払者へ提出する扶養控除等申告書及び「従たる給与についての扶養控除等申告書」に記載すべき事項がその年の前年にその支払者に提出した扶養控除等申告書等に記載した事項から異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができることとされました。

 

 このFAQは、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する扶養控除等申告書から提出できることとなる「簡易な扶養控除等申告書」の取扱いについて、一般的な質問 を取りまとめたものです。

 

 以下のような項目が掲載されております。

1. 改正の概要

 

2. 簡易な申告書を提出できる場合等

 

3. 簡易な申告書の記載方法等

 

4. 年の途中の異動

 

5. 給与等の支払者の源泉徴収事務に関する事項

 

 詳細は、以下よりご確認ください。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024005-130_01.pdf

 

賃金のデジタル払いについて、周知用のリーフレットのご紹介(2023/3/8更新)

厚生労働省は、資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について、周知用のリーフレットを作成し公開しております。

 

 

 賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。
 キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)が可能となります。

 

 リーフレットでは、デジタル払いを導入する場合の注意点、デジタル払いを希望するにあたり知っておいてほしいことなどが記載されております。

 

 詳細は、以下よりご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001065931.pdf