厚生労働省は、令和5年11月20日に開催された「第109回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公開しております。
今回、 特別加入制度の対象範囲の拡大についての資料が掲載されておりますので、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
◆論点1(加入対象業務と保険料率の設定)について
新たな対象業務とそれに係る保険料率は、以下のようにしてはどうか。
(1)新たな対象業務(以下「特定受託業務」という。)として、以下を追加する。 ・フリーランス法に規定する特定受託事業者が、業務委託事業者から業務委託を受けて行う業務(特定受託事業者が、業務委託事業者以外の者から同種の業務について物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供の委託を受けて行う業務を含む。)
(2)特定受託業務には、既存の特別加入の業務は含まないこととする。
(3)労災保険料率については、特定受託業務に類似する既存の事業の料率はおおむね3/1000となっていること、制度を簡明なものとすることによる利便性の確保等を勘案し、一律3/1000とする。なお、施行後、特定受託業務に係る災害発生状況を踏まえ、必要に応じて一 部の業務を切り出して別の保険料率を設定すること等も検討する。
◆論点2(特別加入団体の在り方)について
特定受託業務に係る特別加入団体の要件は以下のようにしてはどうか。
1.特別加入団体の要件については、既存の特別加入団体の要件に加えて、以下の要件を追加する。
① 特別加入団体になろうとする者(その母体となる団体を含む。)が、特定の業種に関わらないフリーランス全般の支援のための活動の実績を有していること。
② 全国を単位として特別加入事業を実施すること。その際には、都道府県ごとに加入希望者が訪問可能な事務所を設けること。
③ 加入者等に対し、加入、脱退、災害発生時の労災給付請求等の各種支援を行うこと。
④ 加入者に、適切に災害防止のための教育を行い、その結果を厚生労働省に報告すること。
◆論点3(災害防止措置の内容)について
災害防止措置の内容は、以下のようにしてはどうか。
1.フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通する災害防止教育についてパッケージ化し、加入者教育を実施する。
なお、上記のようなパッケージのカリキュラムの内容や教材については、当面の間、厚生労働省が関与して作成し、それを活用して特別加入団体が加入者に向けて災害防止教育を実施することとする。
その他、詳細は以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年10月13日に「令和5年版 過労死等防止対策白書」を公表しております。
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。8回目となる今回の白書の主な内容は以下のとおりです。
「令和5年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月30日閣議決定)」に基づく調査分析として、睡眠の不足感が大きいと疲労の持ちこし頻度が高くなり、うつ傾向・不安を悪化させ、主観的幸福感も低くなる傾向があること、芸術・芸能分野における働き方の実態、メディア業界や教職員の労災事案の分析結果等について報告。
2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和4年度の取組を中心とした労働行政機関等の施策の状況について詳細に報告。
3.企業や自治体における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策、産業医の視点による過重労働防止の課題など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
白書の中から一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
1.労働時間等の状況
・一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、令和4年の一般労働者の総実労働時間は 4年連続で2,000時間を下回って1,948時間となり、またパートタイム労働者の総実労働時間は4年連続で1,000時間を下回って955時間となった。
・主要産業別にみると、「運輸業,郵便業」、「建設業」、「製造業」及び「情報通信業」の労働時間が全産業平均よりも長くなっている。
・「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において数値目標の対象とされている、月末1週間の就業時間が40時間以上である雇用者のうち、その就業時間が60時間以上である雇用者の割合をみると、平成15年をピークとして、長期的には緩やかな減少傾向を示しており、令和4年は8.9%と3年連続で10%を下回った。なお、大綱において、令和7年までに、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としている。
・月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合を業種別にみると、令和4年は、「運 輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「建設業」の順にその割合が高く、「複合サービス事業」、「医療,福祉」、「電気・ガス・熱供給・水道業」の順にその割合が低い(ただし「鉱業,採石業,砂利採取業」を除く。)。
・年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合をみると、平成31年から令和2年にかけ て大きく増加し、令和4年は調査産業全体で43.1%と前年より3.1ポイントの減少となった。 また、企業規模別にみると、おおむね規模が大きいほど年次有給休暇の計画的付与制度があ る企業の割合が高い傾向で推移している。
・勤務間インターバル制度について、制度を導入している企業(就業規則又は労使協定等で定めているもの)の割合は、令和4年で5.8%と前年の4.6%から1.2 ポイントの増加となった。一方、「制度を知らない」 と回答した企業は全体で 17.1%であった。
制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の産業別割合をみると、「建設業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「運輸業,郵便業」の順に高く、「金融業,保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「学術研究,専門・技術サ ービス業」の順に低い。
2.職場におけるメンタルヘルス対策の状況
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和4年は 63.4%となっている。 また、事業所の規模別にみると、50人以上の事業所はおおむね90%を超える割合となってい る一方、10人~29人の事業所は 55.7%となっている。
・メンタルヘルス対策の取組内容をみると、「ストレスチェックの実施」(63.1%)が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)となっている。
・職場のハラスメントの問題については、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじ め・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で11年連続最多となるなど、社会問題として顕在化 している。
具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を令和4 年度に延べ316,815件受け付けており、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する 相談件数は、69,932件(22.1%)を占めている。
3.自殺の状況
・我が国の自殺者数は、平成10年以降14年間連続して3万人を超えていたが、平成22年以降は減少傾向にある。しかしながら、令和4年は21,881人と前年より874人の増加となった。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を原因・動機の詳細別にみると、令和4年は、「職場の人間関係」(26.5%)、「仕事疲れ」(24.4%)、「職場環境の変化」(19.8%)、「仕事の失敗」(11.8%)の順となっている。なお、「職場の人間関係」のうち219人(全体の7.4%)は「職場の人間関係(上司とのトラブル)」、また、「仕事疲れ」のうち144人(全体の4.9%)は「仕事疲れ(長時間労働)」である。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を年齢層別にみると、令和4年は、「40 ~49歳」(27.5%)、「50~59歳」(25.1%)、「30~39歳」(18.2%)、「20~29 歳」(17.4%)の順となっている。
第2章 過労死等の現状
1.過労死等に係る労災補償の状況
(1)脳・心臓疾患の労災補償状況
・業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症したとする労災請求件数は、平成 14 年度に800件を超えて以降、700件台から900件台前半の間で推移しており、令和4年度は 803件で、前年度より50件の増加となった。労災支給決定(認定)件数は、平成14年度に300件を超えて、平成19年度に392件に至ったが、近年は減少傾向にあったところ、令和4年度は194件で、前年度より22件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「運輸業,郵便業」172件(21.4%)、「卸売業,小売業」116件(14.4%)、「サービス業(他に分類されないもの)」111 件(13.8%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「運輸業,郵便業」56 件(28.9%)、「建設業」30件(15.5%)、「卸売業,小売業」26件(13.4%)の順に多くなっており、前年度に引き続き、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多となっている。
・時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数をみると、まず評価期間が1か月の場合、 「100 時間以上~120 時間未満」25 件(12.9%)、「80 時間以上~100 時間未満」15 件(7.7%)、「120 時間以上~140 時間未満」9件(4.6%)の順に多くなっている。
次に評価期間が2~6か月における1か月平均の場合、「60時間以上~80時間未満」45 件(23.2%)、「80時間以上~100時間未満」34 件(17.5%)、「100時間以上~120時間未満」18 件(9.3%)の順に多 くなっている。
(2)精神障害の労災補償状況
・業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、増加傾向にあり、令和4年度は2,683件で、前年度より337件の増加となっている。労災支給決定(認定)件数は、平成24年度以降500件前後で推移していたところ、令和2年度に600件を超え、令和4年度は710件となり、前年度より81件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「医療,福祉」624件(23.3%)、「製造業」392件(14.6%)、「卸売業,小売業」383件(14.3%)の順で多く、労災支給決定(認定)件 数は「医療,福祉」164件(23.1%)、「製造業」104件(14.6%)、「卸売業,小売業」100件(14.1%)の順に多くなっており、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「医療,福祉」が最多となっている。
・時間外労働時間別(1か月平均)の労災支給決定(認定)件数では、「その他」を除くと「20時間未満」が87件(12.3%)で最も多く、次に「100時間以上~120時間未満」が45件(6.3%) であった。
・出来事別の労災支給決定(認定)件数では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパ ワーハラスメントを受けた」147 件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89 件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78 件の順に多くなっている。
その他、第3章では、過労死等をめぐる調査・分析結果として、今回、(3)メディア業界の労災支給決定(認定)事案の分析、(4)教育・学習支援業の労災支給決定(認定)事案の分析が掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。
本件についての概要が掲載されております。
実施期間 令和5年11月1日(水)から11月30日(木)までの1か月間
◆主な実施事項
(1)労使の主体的な取組を促す
(2)労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換を実施
(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施
(4)過重労働相談受付集中期間に、「過重労働解消相談ダイヤル」を実施
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施
(6)過重労働解消のためのセミナーを開催
上記の中から「(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施」についての内容をご紹介します。
ア 監督の対象とする事業場等
以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。
i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
ii 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等
イ 重点的に確認する事項
i 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
ii 賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。
iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導します。
ウ 厳正な対応
監督指導の結果、 重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検し、公表します。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
厚生労働省は、第108回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会の資料を公開しております。
今回、「特別加入制度の対象範囲の拡大について」の資料をご紹介します。
フリーランスについては、フリーランス法案の国会審議における附帯決議や、その後の閣議決定において、特別加入の対象拡大に向けて取り組むことが求められています。
検討課題として以下のような内容があげられております。
〇加入対象業務と保険料率の設定
1. フリーランス法における特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託業務」という。)を労災保険の特別加入の対象とすることについてどう考えるか。
・「フリーランス実態調査結果」によれば、フリーランスとして営業や講師、調査・研究等に従事する者が一定数見込まれ、当該者は労働者と同様の業務を行っていること、また当該業務に係る労働者との危険性に差がないことが想定される。
・また、特定受託業務について、業務の内容は広範にわたるものの、その業務の内容はフリーランス法の規定に基づき、特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供に限られ、また当該業務委託に係る業務の内容等については、フリーランス法に基づき書面等により明示されることが義務付けられることとなる。
2. 仮に、特定受託業務を新たに特別加入の対象とする場合、ITフリーランスなど既に特別加入の対象となっている業務との関係をどのように考えるか。
・今回の業務の追加により、既存の特別加入に係る業務と特定受託業務のいずれにも該当する場合も想定されるが、その場合、同一の業務について異なる料率が設定され、災害率や就業形態ごとに料率を設定する趣旨に反することも想定されるほか、いずれに加入するかを就業者が選択できることとすると、料率の低い業務に特別加入者が流れてしまうことも考えられる。
3. 併せて、特定受託業務の保険料率をどのように設定するか。
・フリーランスは広範な業務が想定されるが、「フリーランス実態調査結果」によれば、既存の特別加入に含まれる可能性が高いと思われる事業又は作業を除くと、営業、講師・インストラクター、その他(専門業務関連)、デザイン制作・コンテンツ制作、調査・研究・コンサルティング、その他(生活関連サービス)、データ入力・文書入力等、ライティング・記事等執筆業務が主に想定される。
・今回の特定受託業務に該当することが想定される業務に類似する既存の事業の種類は、その多くが「94その他の各種事業」に該当し、その料率は3/1000となっている。
〇災害防止措置の内容
これまで特別加入の対象となってきた業務とは異なり、業務の態様が多岐にわたる様々なフリーランスを特別加入の対象とする場合、特別加入団体が実施すべき災害防止措置の内容をどのように考えるか。
・これまでの既存業種の特別加入とは異なり、作業の態様が様々なフリーランスの特別加入者への災害防止措置の内容をどのようなものとするかが課題となる。
・フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通的な災害防止教育の内容をパッケージ化して、加入者教育を実施すること等が考えられる。
今後の動向に注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。
1.健康診断及び事後措置の実施の徹底
健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置の実施は、全て労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
特に小規模事業場での実施率が低くなっています。事業場の規模にかかわらず、労働者の健康管理を適切に講ずるため、事後措置の実施まで徹底してください。
2.医療保険者との連携
医療保険者から健康診断の結果を求められた際の提供にご協力ください。
制度間の健診の重複を避け、これらの取組が着実に進められるよう、保険者から労働者の健 康診断結果を求められた場合は、その写しを提供することが事業者に義務づけられていますので、健康診断結果の提供への協力をよろしくお願いします。
※法律に基づく提供の場合は、第三者提供に係る本人同意は不要です。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「心理的負荷による精神障害の認定基準案」に関して、パブリックコメントによる意見募集を行っております。
心理的負荷による精神障害の認定基準案の概要は以下の通りです。
第2 内容
1 業務による心理的負荷の評価
(1)業務による心理的負荷評価表について、社会情勢の変化を反映して項目を追加しつつ細分化された項目を一定程度統合する、総合評価の視点及び強度ごとの具体例を拡充する等の観点から、別紙のとおり改める。
(2)複数の出来事の評価に当たっての考慮要素等について、報告書に沿って、明確化・具体化を図る。
2 精神障害の悪化の業務起因性
既存の精神障害が悪化した場合について、報告書に沿って、「特別な出来事がなくとも、悪化の前に業務による強い心理的負荷が認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の 症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認める」ことを示す。
3 医学意見の収集方法
報告書に沿って、次のとおり医学意見の収集方法の効率化を図る。
(1)業務による心理的負荷が「強」に該当することが明らかな事案であって、業務以外の心理的負荷や個体側要因が顕著なものでない事案については、専門医意見を求めることなく主治医意見により判断できることとする。
(2)出来事の心理的負荷の強度が明らかではない事案や精神障害の受診歴 のない自殺事案等について、専門部会意見による判断を求めることなく専門医意見により判断できることとする。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」は、精神障害の労災認定の基準に関する報告書を取りまとめ公表しております。
この報告書は、近年の社会情勢の変化等を踏まえ、認定基準全般について検討を行い、取りまとめたものです。
この報告書を受け、速やかに精神障害の労災認定基準が改正される予定です。
〇報告書のポイント
◆業務による心理的負荷評価表の見直し
・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
◆精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
◆医学意見の収集方法を効率化
・専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるよう変更
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和4年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ令和5年6月30日に公表しております。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
〇ポイント
・過労死等に関する請求件数
3,486件(前年度比387件の増加)
・支給決定件数
904件(前年度比103件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 121件(前年度比15件の減少)
調査結果の中から、「精神障害に関する事案の労災補償状況」について、一部抜粋してご紹介します。
(1)請求件数は2,683件で前年度比337件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の183 件。
(2)支給決定件数は710件で前年度比81件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件減の67件。
(3)業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「医療,福祉」624件、「製造業」392件、「卸売業,小売業」383件の順で多い。
支給決定件数は「医療,福祉」164件、「製造業」104件、「卸売業,小売業」100件の順に多い。
・業種別(中分類)
請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「医療,福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」327件、85件が最多
(4)職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「専門的・技術的職業従事者」699件、「事務従事者」566件、「サービス職業従事者」373件の順で多い。
支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」175件、「事務従事者」109件、「サービス職業従事者」105件の順に多い。
・職種別(中分類)
請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」442件、74件が最多。
(5)年齢別の傾向
請求件数は「40~49歳」779件、「30~39歳」600件、「50~59歳」584件の順で多い。
支給決定件数は「40~49歳」213件、「20~29歳」183件、「30~39歳」169件の順に多い。
(7)出来事別の傾向
支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」147件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78件の順に多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、令和4年の労働災害発生状況を取りまとめ公表しております。
【令和4年労働災害発生状況の概要】
1死亡者数
・死亡者数は774人と、過去最少。
・第13次労働災害防止計画(平成30年度~令和4年度)の重点業種は、建設業が281人(前年比3人・1.1%増、29年比42人・13.0%減)、製造業が140人(同9人・6.9%増、同20人・12.5%減)、林業が28人(同2人・6.7%減、同12人・30.0%減)となった。
2死傷者数
・死傷者数は132,355人となり、過去20年で最多。
(13次防の重点業種)
陸上貨物運送事業が16,580人(前年比225人・1.4%増、29年比1,874人・12.7%増)、小売業が16,414人(同11人・0.067%減、同2,533人・18.2%増)、社会福祉施設が12,780人(同17人・0.13%減、同4,042人・46.3%増)、飲食店が5,304人(同559人・11.8%増、同583人・12.3%増)となった。
(事故の型別)
特に死傷者数が最多の「転倒」が35,295人(前年比1,623人・4.8%増、29年比6,985人・24.7%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が20,879人(同103人・0.50%増、同4,702人・29.1%増)を合わせて全体の4割を超え、さらに増加。
(年齢別)
60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、37,988人(前年比1,618人・4.4%増、29年比7,961人・26.5%増)となった。
3業種別の労働災害発生状況
●製造業
死亡者数は、前年比で9人(6.9%)増加。
(事故の型別)
機械等による「はさまれ・巻き込まれ」と「墜落・転落」が多くを占めている。
●建設業
死亡者数は、令和2年以降増加に転じており、前年比で3人(1.1%)増加。
(事故の型別)
「墜落・転落」(前年比6人・5.5%増、29年比19人・14.1%減)が最も多く、「激突され」(同8人・42.1%増、同4人・17.4%増)、「飛来・落下」(同6人・60.0%増、同3人・15.8%減)が前年比で大きく増加。
●林業
(事故の型別)
最多である「激突され」(前年比1人・6.7%増、29年比5人・23.8%減)等が前年比で増加したが、「飛来・落下」(同2人・50.0%減、同2人・50.0%減)が前年比で減少した。
●陸上貨物運送事業
(事故の型別)
「墜落・転落」が4,294人(前年比202人・4.5%減、29年比102人・2.4%増)と最多で、「動作の反動・無理な動作」(同44人・1.5%減、同737人・33.5%増)は前年比で減少したが、「転倒」(同104人・3.7%増、同677人・30.2%増)は増加。
●小売業、社会福祉施設及び飲食店
(事故の型別)
「転倒」が全数の3割以上を占め、多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」を公開しております。
本ガイドは誰にでも視覚で理解できるよう、文字を減らし、わかりやすい内容としされております。
以下のような特徴があり、職場の状況に応じ、必要な箇所を印刷して掲示するなどしてご活用ください。
また、雇入れ時や作業内容を変更したときに行う安全衛生教育にもご活用ください。
(1)必要な分だけダウンロードできる
それぞれ項目別に情報をまとめており、必要な分の関係する箇所だけダウンロードして使うことができます。
(2)状況に応じた熱中症予防対策を確認できる
熱中症予防のために「いつ」、「誰が」、「どの状況」でどのような対策を講ずべきか確認することができます。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133_00001.html
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト(2023年改正版)労働者用・家族用」の「チェックリスト」、「活用ガイド・調査研究報告書」を掲載しております。
労働安全衛生法第66条の8第1項において規定している医師による面接指導については、労働安全衛生規則第52条の2第1項において、「休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月あたり80時間を超え、 かつ、疲労の蓄積が認められる者であること」と要件を規定しています。
この疲労の蓄積の状況を確認するため、「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」及び「家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト」が中央労働災害防止協会により作成され、広く活用されています。
今般、最新の知見等を踏まえ、中央労働災害防止協会において、労働者チェックリスト等について新たに項目の追加等の見直しを行い、食欲、睡眠、勤務間インターバルに関する項目を追加する等の改正が行われました。
以下よりご確認ください。
〇チェックリスト
〇活用ガイド・調査研究報告書
令和5年4月より、船員の健康確保のための新たな制度として、船員向け産業医制 度が開始され、常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に対し産業医の選任等が 義務付けられます(当該船舶所有者以外の船舶所有者は努力義務)。
船舶所有者は、選任した産業医に、少なくとも年1回、船内巡視の実施により、船 内の作業環境や衛生状態を把握させ、その結果を踏まえ必要に応じて船員の健康障害 を防止するための措置を講じさせなければならないとされています。
国土交通省では、令和5年4月からの船員向け産業医制度の開始に当たり、この度、産業医による船内巡視が適切かつ円滑に実施されるよう、船内巡視の進め方の一例や巡視時のチェックポイント・留意点等を示した「産業医による船内巡視等の実施手順書」を作成・公表しました。
本手順書では、主に次の内容について掲載しています。
・訪船による船内巡視の実施方法
・WEB を利用した船内巡視の実施方法
・船員に対する面接指導の実施方法
詳細は、以下よりご確認ください。
「労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令(政令第9号)」が公布されました。(施行は、令和5年4月1日)
労働安全衛生法に基づく免許試験を受けようとする者が、試験を実施する指定試験機関に対して納付する試験手数料の額が見直されました。
◆改正内容
労働安全衛生法に基づく免許試験の手数料
〇学科試験:6,800円⇒ 8,800円
〇実技試験
・クレーン・デリック運転士:11,100円⇒14,000円
・移動式クレーン運転士 :11,100円⇒14,000円
・揚貨装置運転士 :11,100円⇒14,000円
・普通ボイラー溶接士 :18,900円⇒24,000円
・特別ボイラー溶接士 :21,800円⇒28,000円
改正の概要は以下よりご確認ください。
・第151回安全衛生分科会資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001024198.pdf
厚生労働省は、「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会」の報告書を令和4年12月13日に公表しております。
この検討会は、労災保険給付を生活の基盤とする被災労働者等の法的地位の安定性についての十分な配慮を前提として、メリット制の適用を受ける事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応を検討するためのものです。
まず、本件についての前提として現状がどうなっているかを以下にご紹介します。
(現状)
各事業での労災保険給付の実績は、各事業主が支払う2~4年後の労働保険料に反映される。(メリット制。徴収法第12条第3項)
現在、国は、労働者等の法的地位の安定性を重視して、①事業主に対して労災保険給付支給決定の不服申立適格等を認めておらず、また、②労働保険料認定決定の不服申立等において事業主が労災保険給付の支給要件非該当の主張をすることも認めていないが、こうした国の主張を否定する下級審の判決が出ている。
今回の報告書では、以下のように取扱うことが適当であることが取りまとめられました。
(1)労災保険給付支給決定に関して、事業主には不服申立適格等を認めるべきではない。
(2)事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応として、当該決定の不服申立等に関して、以下の措置を講じることが適当。
ア)労災保険給付の支給要件非該当性に関する主張を認める。
イ)労災保険給付の支給要件非該当性が認められた場合には、その労災保険給付が労働保険料に影響しないよう、労働保険料を再決定するなど必要な対応を行う。
ウ)労災保険給付の支給要件非該当性が認められたとしても、そのことを理由に労災保険給付を取り消すことはしない。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「令和4年版 過労死等防止対策白書」を令和4年10月21日に公表しております。
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。
7回目となる今回の白書の主な内容は以下のとおりです。
「令和4年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づき、新型コロナウイルス感染症やテレワークの影響に関する調査分析等について報告。
2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。
3.企業における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策等、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
詳細は、以下よりご確認ください。
令和4年7月1日から、以下の方について新たに特別加入制度の対象となりました。
・ 歯科技工士
これに伴い、リーフレットを公開しております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚労省から最近出された通達をご紹介します。
通達とは、行政機関が下部機関である他の行政機関に向けて出す命令や指示です。法令ではないため、法的拘束力はありませんが、法令の解釈など実務での取扱い等について記載されている、とても重要なものとなります。
〇労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(令和4年4月28日基発0428第1号)
・改正の内容
(1) 有害な業務に従事する労働者に対して歯科健康診断を実施する義務のある事業者について、その使用する労働者の人数にかかわらず、安衛則第48条の歯科健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、歯科健康診断の結果の報告を所轄労働基準監督署長に行わなければならないこととしたこと。
(2)現行の定期健康診断結果報告書(様式第6号)から、歯科健康診断に係る記載欄を削除することとし、歯科健康診断に係る報告書として、「有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(様式第6号の2)」を新たに作成したこと。
当該報告書について、様式第6号により報告を求めていた事項に加え、法定の歯科健康診断の対象労働者が従事する有害な業務の具体的内容を把握するため、様式第6号には記載欄がなかった歯科健康診断に係る有害な業務の内容等の記載欄を追加したこと。
・施行期日等
施行期日
改正省令は、令和4年10月1日より施行することとしたこと。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220428K0010.pdf
厚生労働省は、12月13日に開催された第142回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)を公開しております。
今回、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱についてが諮問が行われております。
この改正省令案は、長時間労働が見込まれる医師についての労働基準法施行規則に基づく面接指導を労働安全衛生法に基づく面接指導と位置づけ、重複を除くとともに、長時間労働が見込まれる医師に対し、確実に面接指導が行われ、健康確保が図られるようにすることが目的とされております。
改正の内容は以下の通りです。
(1)安衛則附則第19条(新設)関係
○安衛法に基づく面接指導の対象となる労働者として、当分の間、安衛則第52条の2に規定するもののほか、時間外労働が月100時間以上となることが見込まれる医師のうち、労基則に基づく面接指導を受け、かつ安衛法第66条の8第2項ただし書に規定する事業者の指定した医師以外からの面接指導を受けた結果を証明する書面の提出があった者以外の者を加えることとする。
○面接指導対象医師に該当するかどうかの判断は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならないこととする。
○面接指導対象医師について、事業者が病院等の管理者に労基則に定める面接指導を行わせる場合には、安衛則第52条の2第3項、第52条の3及び第52条の4の規定は適用しないこととする。
(2)安衛則附則第19条の2(新設)関係
○面接指導対象医師に対する面接指導に係る安衛法第66条の8第2項ただし書の書面は、安衛則第52条の5各号に掲げるもののほか、当該面接指導対象医師の睡眠の状況を記載したものでなければならないこととする。
(3)安衛則附則第19条の3(新設)関係
○面接指導対象医師に対する面接指導に係る安衛則第52条の6第1項の結果の記録について、前頁(2)の改正を踏まえ、当該面接指導対象医師の睡眠の状況を追加することとする。
公布日:令和4年1月中旬(予定)
施行期日:令和6年4月1日
その他、詳細は、以下をご確認ください。
厚生労働省は、第102回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料を公開しております。
今回、労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案の要綱等について、諮問が行われております。
改正内容は以下の通りです。
〇特別加入の対象となる事業として、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づくあん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業を新たに規定すること。
〇第一の事業に係る第二種特別加入保険料率を千分の三とすること。
※「9431 医療業」が含まれる「94 その他の各種事業」における料率と同じ
〇この省令は、令和四年四月一日から施行すること。
その他、詳細は、以下をご確認ください。
令和3年12月1日に「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布され、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。事務所における照明の基準のほか、 事務所その他の作業場における清潔、休養などに関する労働衛生基準が見直されております。
○作業面の照度【事務所則第10条】※令和4年12月1日施行
現在の知見に基づいて事務作業の区分が変更され、基準が引き上げられまし た。
○便所の設備【事務所則第17条、安衛則第628条】
新たに「独立個室型の便所」が法令で位置付けられました。
便所を男性用と女性用に区別して設置するという原則は維持されますが、独立個室型の便所を付加する場合の取扱い、少人数の作業場における例外と留意事項が示されました。
○救急用具の内容【安衛則第634条】
作業場に備えなければならない負傷者の手当に必要な救急用具・材料について、具体的な品目の規定がなくなりました。
この見直しに関するリーフレットが公開されれております。
詳細は、以下をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf
厚生労働省は、「脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました」との案内ページを公開しております。
脳・心臓疾患の労災認定基準が改正され、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」として、9月14日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知されました。
脳・心臓疾患の労災認定基準については、改正から約20年が経過する中で、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的知見を踏まえて、厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」において検証などが行われ、令和3年7月16日に報告書が取りまとめられました。
厚生労働省は、この報告書を踏まえて、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正したものであり、今後、この基準に基づいて、労災補償が行われます。
【認定基準改正のポイント】
■長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
■長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
■短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
■対象疾病に「重篤な心不全」を追加
詳細は、以下をご確認ください。