厚生労働省は、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第8回)」の資料を公開しております。
今回、資料1として、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会中間とりまとめ(案)」が掲載されております。
資料の中から一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
Ⅱ 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討
2 女性特有の健康課題に関する項目について
(2)検討結果
① 一般健康診断問診票への女性特有の健康課題に関する質問の追加
・一般健康診断の機会を活用し、女性労働者本人 への気づきを促し、必要な場合には、産婦人科医等専門医(以下「専門医」 という。)への早期受診、また、女性特有の健康課題に対する配慮について 申し出を行いやすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害等)に係る 質問を追加することが適当である。
・健康診断を実施する機関(以下「健診機関」という。)で健康診断を担当する医師(産業医が健康診断を実施する場合も含む。以下、「健診担当医」と いう。)は、この質問に「①はい」と回答した労働者に対して、必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すことが適当である。
② 事業者への情報提供
・質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととする。
・労働者が、女性特有の健康課題で職場において困っている場合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること(既に、専門医の診断を受けている場合も同様に可能であること)を健診機関向けガイドラインにおいて明示する。
・また、女性特有の健康課題で職場において困っている労働者を対象に、自らが事業者に女性特有の健康課題に関する相談を行うことは現時点であっ ても可能であるとともに、その場合には、専門医による診断書等を示すこ とが望ましいことを事業者向けガイドラインにも明示する。なお、これらの取扱いについては、あらかじめ、衛生委員会等にて労使間で十分に話し合うことが考えられる。
③ 男性の更年期障害について
・男性の更年期障害についても一般健康診断に含めるべきではないか、問診項目で特に男女を区別してきく必要はないのではないかという意見もあったが、業務起因性等に係る知見が乏しい項目を労働安全衛生法のスキーム に追加することは極めて抑制的であるべきとの意見や、現時点では、男性の更年期障害という疾患概念自体に曖昧さがあることに加え、労働者個人の精神的な状態が前面に出やすく、鑑別の課題もあり、健康診断における問診でのスクリーニングが困難であるとの意見があった。
・男性の更年期障害については、自分の抱えている不調が更年期の症状であるという理解促進を促すことについて、問診とは別に検討を進めて欲しい との意見があった。今後、厚生労働省は、更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくこととする。
3 歯科に関する項目について
(2)検討結果
② 今後の方向性等
・労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であることから、事業者が行う健康保持増進措置において、口腔保健指導をより一層推進していくことは重要であるものの、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことを踏まえると、問診を含め、労働安全衛生法に基づく一般健康診断に歯科健診を追加することは困難である。
・一方で、歯周病と全身疾患との関連が示唆されていることから、口腔内の健康を保つことの意義があると考えられる。現在、事業場における労働者の健康保持増進のための指針に「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」が盛り込まれているが、現状では十分に実施されているとは言えないことから、今後、好事例を展開する等普及啓発を強化することにより、歯科受診に繋げる方策を検討することとしてはどうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
政府は、令和6年10月11日、過労死等防止対策推進法に基づき、「令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和6年版 過労死等防止対策白書)を閣議決定しました。
◆「令和6年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1. 本年8月2日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」という。)の変更経緯やその内容について報告。
2. 大綱に基づく調査分析として、医療従事者(医師・看護師)の精神障害の労災認定事案の分析結果、DX(デジタル・トランスフォーメーション)等先端技術担当者及び芸術・芸能従事者(スタッフ)の働き方の実態等について報告。
3. 長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和5年度の取組を中心とした労働行政機関等の施策の状況について詳細に報告。
4. 本年4月1日から時間外労働の上限規制が適用された業種等に係る企業等における長時間労働削減等の働き方改革事例やメンタルヘルス対策、ハラスメント防止対策など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会の第7回資料を公開しております。
資料の中から、「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 中間とりまとめ案」について、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
Ⅱ ストレスチェック制度等メンタルヘルス対策の強化に向けた検討
2 50人未満の事業場におけるストレスチェック
(2)今後の方向性
・ストレスチェックの実施については、平成26年の制度創設当時、労働者のプライバシー保護等の懸念により、50人未満の事業場において当分の間努力義務とされているが、現時点において、ストレスチェックを実施する場合の労働者のプライバシー保護については、外部機関の活用等により、対応可能な環境は一定程度整備されていると考えられることから、ストレス チェックの実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大することが適当である。
・ただし、50人未満の事業場においては、産業医がおらず適切な情報管理等が困難な場合もあるので、原則として、ストレスチェックの実施は労働者のプライバシー保護の観点から外部委託することが推奨される。
・また、50人未満の事業場には、現在の50人以上の事業場における実施内容を一律に求めることは困難なことから、50人未満の事業場に即した現実的で実効性のある実施内容を求めていく必要がある。
・衛生委員会等の設置義務がない50人未満の事業場においては、労働者が安心してストレスチェックを受検できるように、関係労働者の意見を聴く機会を活用することが適当である。
・ストレスチェックの実施結果の監督署への報告義務は、一般健診と同様に、50人未満の事業場については、負担軽減の観点から課さないことが適当である。
・このほか、50人未満の事業場に即した、労働者のプライバシーが保護され、現実的で実効性のある実施体制・実施方法についてマニュアルを作成し、周知を徹底することを前提とする。
・地産保においては、50人未満の事業場に対して、登録産業医・保健師等による産業保健支援サービスを無料で提供しており、高ストレス者の面接指導について、登録産業医により対応している。ストレスチェックの義務対象を50人未満の事業場に拡大する場合、面接指導の対象者が大幅に増えることが予想される。円滑な施行に資するよう、登録産業医等の充実など、地産保で高ストレス者の面接指導に対応するための体制強化を図ることが不可欠である。
・また、面接指導以外の相談を選択する高ストレス者等への対応についても、地産保の体制強化や「こころの耳」の相談窓口の充実を図っていく必要がある。
・これらの支援体制の整備、支援を含めた制度の周知、その上での50人未満の事業場における実施体制の整備に要する期間を確保するため、十分な準備期間の設定を行うことが適当である。
3 集団分析・職場環境改善
(2)今後の方向性
・ストレスチェックの集団分析結果を活用した職場環境改善を義務化することの是非については、現時点では、何を、どの水準まで実施したことをもって、履行されたと判断することは難 しく、事業場規模に関わらず義務化することは時期尚早であり、義務化については引き続きの検討課題としつつ、まずは適切な取組の普及を図るべ きである。
・なお、集団分析だけ義務化することは可能かという点については、現時点では、集団分析だけ義務化するという判断はできない。
・また、集団分析については、労働者のプライバシー保護等の観点から、個人を特定できない方法での実施を努力義務とすることが適当である。
・また、ストレスチェック制度が、メンタルヘルス不調の未然防止だけではなく、労働者のストレス状況の改善及び働きやすい職場環境の実現を通じて生産性向上にもつながるものであることに留意し、事業経営の一環として、積極的に制度活用を進めるよう、事業者に働きかけていくべきである。
ストレス チェックの実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大する方針が示されました。
詳細は、以下よりご確認ください。
過労死等の労災支給決定件数は近年増加傾向にあり、また、本年4月1日から工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師等についても時間外労働の上限規制が適用されたこと等を踏まえ、その遵守徹底とともに、労使を始め、取引先等の関係者に対して広く周知・啓発を行うこと等を通じ、引き続き、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた機運の醸成を行う必要があります。
このため、厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。
●実施期間
令和6年11月1日(金)から11月30日(土)までの1か月間
●主な実施事項
(1)労使の主体的な取組を促します
(2)労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換を実施します
(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施します
(4)過重労働相談受付集中期間に、「過重労働解消相談ダイヤル」等を実施します
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施します
(6)過重労働解消のためのセミナーを開催します
上記の内、(3)についてその内容を記載します。
ア 監督の対象とする事業場等
以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。
i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報か
ら時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
ii 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなどの問
題があると考えられる事業場等
イ 重点的に確認する事項
i 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内
であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
ii 賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導し
ます。
iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。
iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよ
う指導します。
ウ 厳正な対応
監督指導の結果、 重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検し、公表します。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施されています。
以下のような取組が行われます。
【取組概要】
1 国民への周知・啓発
・「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施
47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムを開催し、過労死遺族の方の体験談やメ
ンタルヘルスの専門家等による講演などを行います(無料でどなたでも参加できます。)。
また、インターネット視聴用の講演などの動画配信も行います。
・ポスターの掲示などによる国民に向けた周知・啓発の実施
ポスターの掲示やパンフレット・リーフレットの配布、インターネット広告な
ど多様な媒体を活用した周知・啓発を行います。
2 過重労働解消キャンペーン
過労死等につながる過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解
消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話・SNS相談などを行います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第7回資料を公開しております。
労働者の健康確保に必要な健診項目についての資料等が掲載されております。
資料の中で、労働者の健康確保に必要な健診項目として学会等から寄せられた要望が掲載されております。本日は、こちらをご紹介します。
以下の要望が上げられております。
◆新規健診項目について
・C型肝炎検査を含むウイルス肝炎検査の追加
⼀般社団法⼈⽇本肝臓学会、公益社団法⼈⽇本⼈間ドック・予防医療学会
・血清クレアチニン値の追加
一般社団法人日本腎臓学会
・⻭科健診の追加
公益社団法⼈⽇本⻭科医師会
・眼底検査の追加
公益社団法人日本眼科医会
◆既存健診項目について
・胸部X線検査の維持
⼀般社団法⼈⽇本呼吸器学会、特定⾮営利活動法⼈⽇本肺癌学会
・心電図検査の維持
⼀般社団法⼈⽇本循環器学会、⼀般社団法⼈⽇本循環器協会、⼀般社団法⼈⽇本不整脈⼼電学会、⼀般社団法⼈⽇本⼼不全学会、⼀般社団法⼈⽇本循環器病予防学会、⼀般社団法⼈⽇本⼼臓病学
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、8月21日に開催された「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第6回)」の資料を公表しております。
今回も前回に引き続き、一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について議論が行われました。
資料の中から、「一般健康診断問診票」改訂案について」ご紹介させていただきます。
第5回検討会までの意見等を踏まえ、「一般健康診断問診票」における女性特有の健康課題に関する質問の目的、具体的プロセスについて、どのように考えるか(以下に事務局案を提示)
(1) 目的(案)
ア 労働者:月経困難症、月経前症候群、更年期障害等への気づきと、必要に応じての早期受診を促す。
イ 事業者:女性特有の健康課題を抱える職場環境整備への気づきを促す。
(2) 具体的プロセス(案)
(出典:労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第6回)」資料1)
①健診機関(健診担当医・健診を実施する産業医を含む。)は、委託契約等に基づき健診を実施する。
②健診機関は、上記①に基づき、労働者に問診票を配布する。
③労働者は、配布された問診票に回答し、その回答結果を健診機関に提出する。
④健診担当医は、必要に応じて、労働者個人に女性特有の健康課題に関する情報提供、婦人科等の医師の受診勧奨等を行う。
⑤労働者は、健診担当医からの受診勧奨等を踏まえ、婦人科等の医師を受診する。
⑥婦人科等の医師は、上記⑤により受診した労働者に対して、診断の結果、就業上の助言等を行う。
⑦健診機関は、上記①に基づき、事業者に女性特有の健康課題に関する質問の結果を提供する。
⇒ 以下の論点に ついて、議論が必要ではないか。
⑧事業者は、必要に応じて、産業医等(産業保健総合支援センターの活用を含む)に相談する。
※<論点>(上記⑦に係る論点)
上記(1)の目的(案)を達成するため、健診担当医(健診を実施する産業医を含む)から事業者に情報提供される内容(集計結果、労働者個人の情報・要望、情報なし等)、方法(事業者が決定、労働者が決定、両者で協議 して事業者ごとの決定等)について、どのようにあるべきなのか。加えて、この情報提供が行われる場合には、労働者個人のプライバシーの保護や健診担当医の負担増の可能性について、どのように配慮すべきであるのか。
その他
<論点>
男性更年期障害については、医学的知見や産業保健の課題等を踏まえ、どのように考えるのか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。
本件に関するリーフレットを作成し公表しております。
以下の内容が掲載されております。
1.健康診断及び事後措置の実施の徹底
健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置の実施は、全て労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
特に小規模事業場での実施率が低くなっています。事業場の規模にかかわらず、労働者の健康管理を適切に講ずるため、事後措置の実施まで徹底してください。
2.医療保険者との連携
医療保険者から健康診断の結果を求められた際の提供にご協力ください。
詳細は、以下よりご確認ください。
労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)。
厚生労働省は、本件に関するリーフレットを作成し、公表しております。
〇主な改正内容
これまで自由記載であった①、②、③、⑤について該当するコードから選択できるようになり、 ④については留意事項別に記入できるように記入欄が5分割されました。
①事業の種類 日本標準産業分類から該当する細分類項目を選択してください。
②被災者の職種 日本標準職業分類から該当する小分類項目を選択してください。
③傷病名及び傷病部位 該当する傷病名及び傷病部位を選択してください。
④災害発生状況及び原因 5つの記入欄にそれぞれ記入してください。
⑤国籍・地域及び在留資格 該当する国籍・地域及び在留資格を選択してください。
※電子申請義務化に伴う略図の取扱いについて
従前の手書きでの作成とは異なり、イラスト等の 「略図」のデータを添付してください。「略図」 を手書き等で作成後、携帯電話等で写真を撮って そのデータを添付していただいても構いません。
リーフレットの裏面では、電子申請に便利な入力支援サービスのご案内が掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、昨年11月から今年6月にかけて4回にわたり「過労死等防止対策推進協議会」を開催し、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直し案をまとめました。
令和6年8月2日、大綱の変更が、閣議決定されその内容を公表しております。
【過労死等防止のための対策に関する大綱」の変更案のポイント】
1.大綱策定10年を振り返り、更なる取組を推進
令和7年に大綱策定から10年の節目を迎えるため、この間の調査研究や取組の成果を振り返り、それらも踏まえ今後の対策を更に検討し推進
2.上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導、フリーランス等対策を強化
令和6年4月から全面適用された時間外労働の上限規制の遵守を徹底、過労死等を繰り返し発生させた企業に改善計画を策定させるなど再発防止の指導を強化
フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行後の履行確保、個人事業者等の安全衛生対策・健康管理の強化、労災保険の特別加入制度の対象拡大等の取組を推進
3.業種やハラスメントに着目した調査・分析 を充実
芸術・芸能分野を重点業種等に追加
事業主に義務付けられているハラスメント防止措置の状況についても過労死等事案から収集・分析を実施
※重点業種等:自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界
4.国以外も含めた関係者による取組を推進
業種別のカスタマーハラスメント対策の取組を支援
事業主は、管理職や上司、若年労働者に対し、労働関係法令の研修等を実施
労働組合は、職場で労働関係法令が適切に運用されているか定期的に確認
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」結果を公表しております。
労働安全衛生調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料として、労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として実施されています。
(出典:厚生労働省 令和5年 労働安全衛生調査 事業所調査結果の概要)
【調査結果のポイント】
◆メンタルヘルス対策に関する状況(事業所調査)
・過去1年間にメンタルヘルス不調により、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は、10.4%(令和4年調査10.6%)、退職した労働者がいた事業所の割合は、6.4%(同5.9%)。
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、63.8%(同63.4%)
(事業所規模別)
労働者数50人以上:91.3%(同91.1%)
労働者数30~49人:71.8%(同73.1%)
労働者数10~29人:56.6%(同55.7%)
◆仕事や職業生活に関する強いストレス(個人調査)
現在の仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者のうち、その内容は、仕事の失敗、責任の発生等:39.7%(同35.9%)と最も多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、職場における熱中症の予防対策を推進するため、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。5~9月をキャンペーン期間とし、7月は重点取組期間に位置づけられています。キャンペーン期間中は、労働災害防止団体等と連携して事業場への周知・啓発やセミナーの実施、教育用ツールの提供などが行われます。
また、熱中症を予防するための情報がまとめられた「熱中症予防のための情報・資料サイト」を公開しております。
本サイトでは、以下のような情報が掲載されております。
・熱中症を防ぎましょう
熱中症を防ぐためのそれぞれの場所に応じた適切な対策が紹介されております。
・熱中症が疑われる人を見かけたら
熱中症の応急処置が紹介されております。
・障害のある方へ
障害のある方に向けて、それぞれの障害に応じた熱中症対策をわかりやすくまとめたリーフレットが掲載されております。
・普及啓発用資材(リーフレット・ガイドライン等)
熱中症の予防についての各種リーフレットが掲載されております。(外国語版のリーフレットも一部掲載されております。)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、2024年6月21日に開催された「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第4回)の資料を公開しております。
今回、論点案の資料が掲載されております。今後の一般健康診断検査項⽬等の改正の方向性を把握するのに役立つと思いますので、資料より一部抜粋してご紹介します。
〇論点案
○⼥性の健康に関する事項
・更年期、月経困難症に係る問診について
・他、⼥性の就業率向上に着⽬した検査項⽬について
○現⾏の健診項⽬等について
○その他労働者の健康確保に必要な健診項目について
※他の法令に基づく健診・検診の項目については検討対象外
今回は、上記の論点の中で、「女性の健康に関する事項に関する論点について」別に資料が作成されています。(下線は筆者が加筆)
1.骨粗鬆症に関する課題
・健診として実施すべきとの意⾒もあったが、業務との関連等について、更なる議論が必要。
・一方、健康局が中心になり、骨粗鬆症の検診を新たに考えるというこ とで、研究班が⽴ち上がっている。
⇒健康局における骨粗鬆症検診の検討状況を確認後、あらためて 本検討会にてご議論いただくのはいかがか。
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題①
・健診項⽬への追加について、要否両論があった。
・業務起因性・業務増悪性については夜勤やセデンタリーワークは可能性があるとされた。
・⽉経困難症や更年期への職場での対応については、⼥性の就労状況の変化に伴い、⼥性活躍の観点から社会的な要請が強くなってきている。
・健診項目に追加する場合、どのように組み込み、事後措置をどのように実施するか議論が必要。
※筆者注
セデンタリーワークとは、デスクワークが中心で、座っている時間が長い仕事のことを言います。
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題②
⼀般定期健康診断において、⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康課題について検討する際には以下の論点があるのではないか。
一般定期健康診断において、対象とすべき健康事象の範囲は何か。
1.対象となる健康事象の健診を⾏う意義について
業務起因・業務増悪があるのか。
健診を⾏う場合、
2.健診方法について
健診⽅法として問診が適切か。
3.事業者が⾏うべきことについて
事業者が健診後に⾏うべきことは何か。
4.健診費用について
費⽤増⼤が⾒込まれるか。
5.健康情報の把握について
労働者の知られたくない権利をどう考えるか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表しております。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
〇ポイント
・過労死等に関する請求件数
4,598件(前年度比1,112件の増加)
・支給決定件数
1,097件(前年度比193件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 135件(前年度比14件の増加)
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。
うち死亡件数は前年度比29件増の247件。
(2)支給決定件数は214件で前年度比20件の増加。
うち死亡件数は前年度比2件増の56件。
(3)業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「運輸業、郵便業」244件、「卸売業、小売業」135件、「建設業」123件の順で多い。
支給決定件数は「運輸業、郵便業」75件、「卸売業、小売業」29件、「宿泊業、飲食サービス業」25件の順に多い。
(4)職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「輸送・機械運転従事者」200件、「専門的・技術的職業従事者」156件、「サービス職業従事者」135件の順で多い。
支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」67件、「サービス職業従事者」29件、「専門的・技術的職業従事者」22件の順に多い。
(5)年齢別の傾向
請求件数は「50~59歳」404件、「60歳以上」363件、「40~49歳」203件の順で多い。
支給決定件数は「50~59歳」96件、「60歳以上」53件、「40~49歳」52件の順に多い。
(6)時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多い。
また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」53件が最も多い。
2 精神障害に関する事案の労災補償状況
(出典:厚生労働省「別添資料2 精神障害に関する事案の労災補償状況」)
(1)請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。
(2)支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。
(3)業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「医療、福祉」888件、「製造業」499件、「卸売業、小売業」491件の順で多い。
支給決定件数は「医療、福祉」219件、「製造業」121件、「卸売業、小売業」103件の順に多い。
(4)職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「専門的・技術的職業従事者」990件、「事務従事者」782件、「サービス職業従事者」579件の順で多い。
支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」259件、「事務従事者」154件、「サービス職業従事者」126件の順に多い。
(5)年齢別の傾向
請求件数は「40~49歳」953件、「30~39歳」848件、「50~59歳」795件の順で多い。
支給決定件数は「40~49歳」239件、「20~29歳」206件、「30~39歳」203件の順に多い。P22 表2-4
(6)時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
支給決定件数は「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件。
(7)出来事別の傾向
支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」157件、「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」111件、「セクシュアルハラスメントを受けた」103件の順に多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
精神障害に関する事案の労災補償の請求が増加しています。
出来事別の傾向として、パワーハラスメントを受けたり、セクシュアルハラスメントを受けたが依然多い状況が続いています。
ハラスメント防止対策には、社員研修が効果的であると言われておりますし、実際に、こうしたハラスメントが原因で、労災認定がおり、事業主の民事的責任を問われた場合、ハラスメント防止対策を行っていたかどうかがその結果に大きく影響します。
ハラスメント対策をされていない会社については、自社でできることから始めることをお勧め致します。
労働安全衛生法に基づく省令改正により、2025年4月から作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。
〇法令改正等の主な内容
1. 危険箇所等において事業者が行う退避や立入禁止等の措置の対象範囲を、作業場で何らかの作業に従事する全ての者に拡大
2. 危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する周知の義務化
厚生労働省は、本改正に関して解説したリーフレットを作成し公開しております。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001811421.pdf
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 の第3回資料(令和6年5月10日開催)を公表しております。
資料4「論点案について」の中から一般健康診断の検査項目等の論点案について、抜粋してご紹介します。
○女性の健康に関する事項
・更年期、月経困難症に係る問診について
・他、女性の就業率向上に着目した検査項目について
○現行の健診項目等について
○その他労働者の健康確保に必要な健診項目について
※他の法令に基づく健診・検診の項目については検討対象
一般健康診断の検査項目についてどのような見直しが行われるのか今後の動向に注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では7月1日から1週間、「全国安全週間」を実施します。
令和6年度の「全国安全週間」スローガンは、「危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全」です。
全国安全週間は、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的としています。
厚生労働省では、7月1日(月)から7日(日)までを「全国安全週間」、6月1日(土)から30日(日)までを準備期間として、各職場における巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、さまざまな取組を実施します。
詳細は、以下よりご確認ください。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、「ストレスチェック制度について」に「ストレスチェック実施後の案内リーフレット」を追加しました。
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」に記載されている具体例・様式例を参考に、ストレスチェック個人結果を返却する際等に併せて配布するなど事業者が活用できるリーフレットです。
以下2種類のリーフレットが掲載されております。
●セルフケアのポイント
・セルフケアとは
・セルフケアの基本
・セルフケアの目標
・うつ病のサイン~自分で気づく変化
●相談窓口のご案内
・高ストレスと判定された方へ
・ストレスチェックを受検したすべての方へ
PNG画像データをWordやPPTに貼り付けて、社内窓口等追記の上、活用できるようになっております。
詳細は、以下よりご確認ください。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」と「地域産業保健センター(地さんぽ)」の案内動画を公開しております。
この度、案内動画が新しいものに更新されました。
〇産業保健総合支援センター(さんぽセンター)
全国47都道府県の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)では、経験豊富な専門スタッフが、産業医、衛生管理者、産業看護職、人事労務担当者等の産業保健関係者の皆様へ、メンタルヘルス対策をはじめとする産業保健に関する相談、研修、情報提供等の支援を原則として無料で行っています。
詳細は、以下よりご確認ください。
〇地域産業保健センター(地さんぽ)
おおむね監督署管轄区域に設置されている、地域産業保健センター(地さんぽ)では、労働者数50人未満の小規模事業者やそこで働く方を対象として、労働安全衛生法で定められた保健指導などの産業保健サービスを無料で提供しています。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和6年度の労災保険率について(令和6年度から変更されます)の案内を掲載しております。
令和6年度の労災保険率、特別加入保険料率及び労務費率は以下のとおり変更されます。
・労災保険料率表(令和6年度~)
https://www.mhlw.go.jp/content/rousaihokenritu_r05.pdf
・特別加入保険料率表(令和6年4月1日~)
https://www.mhlw.go.jp/content/tokubetsukanyuuhokenryouritsu_R0504.pdf
労務費率表(令和6年度~)
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年12月26日に開催された「第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公開しております。
資料の中から、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」をご紹介させていただきます。
以下の改正について記載されております。
1. 労災保険率(船舶所有者の事業に係るものを除く。)を別添1のとおり改正すること。
2. 船舶所有者の事業に係る労災保険率を、1000分の42とすること。
3. 第二種特別加入保険料率を別添2のとおり改正すること。
4. 労務費率(請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり請負金額に乗ずる率をいう。)別添3のとおり改正すること。
施行期日は、令和6年4月1日です。
上記の内、労災保険料率等の改定について、以下3つの改定案について概要をご紹介します。
(1)労災保険率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
◆激変緩和措置について
令和6年度労災保険率の改定に当たっては、次のとおりの激 変緩和措置を講じる。
①労災保険率の引上幅の上限は、1/1,000とする。
※ 労災保険率が10/1,000未満の場合は最小設定単位である0.5/1,000とする。
②労災保険率の算定結果(激変緩和措置前)が、現行の労災保険率より高い場合であっても、業務災害の発生度合いが下がっている場合は据え置きとする。
③従来の②の対象とならない場合であっても、業務災害が下がっているにもかかわらず賃金が大きく減少することによって労災保険率の算定結果(激変緩和措置前)が現行料率より高くなった場合は新型コロナウイルス感染症による影響を考慮して据え置きとする。
◆激変緩和措置を講じる業種
令和6年度労災保険率改定で、激変緩和措置を講じるのは18業種(うち、②により13業種、③により4業種の労災保険率が据え置き)。
(2)特別加入保険料率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
(3)労務比率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年11月20日に開催された「第109回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公開しております。
今回、 特別加入制度の対象範囲の拡大についての資料が掲載されておりますので、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
◆論点1(加入対象業務と保険料率の設定)について
新たな対象業務とそれに係る保険料率は、以下のようにしてはどうか。
(1)新たな対象業務(以下「特定受託業務」という。)として、以下を追加する。 ・フリーランス法に規定する特定受託事業者が、業務委託事業者から業務委託を受けて行う業務(特定受託事業者が、業務委託事業者以外の者から同種の業務について物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供の委託を受けて行う業務を含む。)
(2)特定受託業務には、既存の特別加入の業務は含まないこととする。
(3)労災保険料率については、特定受託業務に類似する既存の事業の料率はおおむね3/1000となっていること、制度を簡明なものとすることによる利便性の確保等を勘案し、一律3/1000とする。なお、施行後、特定受託業務に係る災害発生状況を踏まえ、必要に応じて一 部の業務を切り出して別の保険料率を設定すること等も検討する。
◆論点2(特別加入団体の在り方)について
特定受託業務に係る特別加入団体の要件は以下のようにしてはどうか。
1.特別加入団体の要件については、既存の特別加入団体の要件に加えて、以下の要件を追加する。
① 特別加入団体になろうとする者(その母体となる団体を含む。)が、特定の業種に関わらないフリーランス全般の支援のための活動の実績を有していること。
② 全国を単位として特別加入事業を実施すること。その際には、都道府県ごとに加入希望者が訪問可能な事務所を設けること。
③ 加入者等に対し、加入、脱退、災害発生時の労災給付請求等の各種支援を行うこと。
④ 加入者に、適切に災害防止のための教育を行い、その結果を厚生労働省に報告すること。
◆論点3(災害防止措置の内容)について
災害防止措置の内容は、以下のようにしてはどうか。
1.フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通する災害防止教育についてパッケージ化し、加入者教育を実施する。
なお、上記のようなパッケージのカリキュラムの内容や教材については、当面の間、厚生労働省が関与して作成し、それを活用して特別加入団体が加入者に向けて災害防止教育を実施することとする。
その他、詳細は以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年10月13日に「令和5年版 過労死等防止対策白書」を公表しております。
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。8回目となる今回の白書の主な内容は以下のとおりです。
「令和5年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月30日閣議決定)」に基づく調査分析として、睡眠の不足感が大きいと疲労の持ちこし頻度が高くなり、うつ傾向・不安を悪化させ、主観的幸福感も低くなる傾向があること、芸術・芸能分野における働き方の実態、メディア業界や教職員の労災事案の分析結果等について報告。
2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和4年度の取組を中心とした労働行政機関等の施策の状況について詳細に報告。
3.企業や自治体における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策、産業医の視点による過重労働防止の課題など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
白書の中から一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
1.労働時間等の状況
・一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、令和4年の一般労働者の総実労働時間は 4年連続で2,000時間を下回って1,948時間となり、またパートタイム労働者の総実労働時間は4年連続で1,000時間を下回って955時間となった。
・主要産業別にみると、「運輸業,郵便業」、「建設業」、「製造業」及び「情報通信業」の労働時間が全産業平均よりも長くなっている。
・「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において数値目標の対象とされている、月末1週間の就業時間が40時間以上である雇用者のうち、その就業時間が60時間以上である雇用者の割合をみると、平成15年をピークとして、長期的には緩やかな減少傾向を示しており、令和4年は8.9%と3年連続で10%を下回った。なお、大綱において、令和7年までに、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としている。
・月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合を業種別にみると、令和4年は、「運 輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「建設業」の順にその割合が高く、「複合サービス事業」、「医療,福祉」、「電気・ガス・熱供給・水道業」の順にその割合が低い(ただし「鉱業,採石業,砂利採取業」を除く。)。
・年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合をみると、平成31年から令和2年にかけ て大きく増加し、令和4年は調査産業全体で43.1%と前年より3.1ポイントの減少となった。 また、企業規模別にみると、おおむね規模が大きいほど年次有給休暇の計画的付与制度があ る企業の割合が高い傾向で推移している。
・勤務間インターバル制度について、制度を導入している企業(就業規則又は労使協定等で定めているもの)の割合は、令和4年で5.8%と前年の4.6%から1.2 ポイントの増加となった。一方、「制度を知らない」 と回答した企業は全体で 17.1%であった。
制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の産業別割合をみると、「建設業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「運輸業,郵便業」の順に高く、「金融業,保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「学術研究,専門・技術サ ービス業」の順に低い。
2.職場におけるメンタルヘルス対策の状況
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和4年は 63.4%となっている。 また、事業所の規模別にみると、50人以上の事業所はおおむね90%を超える割合となってい る一方、10人~29人の事業所は 55.7%となっている。
・メンタルヘルス対策の取組内容をみると、「ストレスチェックの実施」(63.1%)が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)となっている。
・職場のハラスメントの問題については、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじ め・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で11年連続最多となるなど、社会問題として顕在化 している。
具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を令和4 年度に延べ316,815件受け付けており、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する 相談件数は、69,932件(22.1%)を占めている。
3.自殺の状況
・我が国の自殺者数は、平成10年以降14年間連続して3万人を超えていたが、平成22年以降は減少傾向にある。しかしながら、令和4年は21,881人と前年より874人の増加となった。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を原因・動機の詳細別にみると、令和4年は、「職場の人間関係」(26.5%)、「仕事疲れ」(24.4%)、「職場環境の変化」(19.8%)、「仕事の失敗」(11.8%)の順となっている。なお、「職場の人間関係」のうち219人(全体の7.4%)は「職場の人間関係(上司とのトラブル)」、また、「仕事疲れ」のうち144人(全体の4.9%)は「仕事疲れ(長時間労働)」である。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を年齢層別にみると、令和4年は、「40 ~49歳」(27.5%)、「50~59歳」(25.1%)、「30~39歳」(18.2%)、「20~29 歳」(17.4%)の順となっている。
第2章 過労死等の現状
1.過労死等に係る労災補償の状況
(1)脳・心臓疾患の労災補償状況
・業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症したとする労災請求件数は、平成 14 年度に800件を超えて以降、700件台から900件台前半の間で推移しており、令和4年度は 803件で、前年度より50件の増加となった。労災支給決定(認定)件数は、平成14年度に300件を超えて、平成19年度に392件に至ったが、近年は減少傾向にあったところ、令和4年度は194件で、前年度より22件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「運輸業,郵便業」172件(21.4%)、「卸売業,小売業」116件(14.4%)、「サービス業(他に分類されないもの)」111 件(13.8%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「運輸業,郵便業」56 件(28.9%)、「建設業」30件(15.5%)、「卸売業,小売業」26件(13.4%)の順に多くなっており、前年度に引き続き、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多となっている。
・時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数をみると、まず評価期間が1か月の場合、 「100 時間以上~120 時間未満」25 件(12.9%)、「80 時間以上~100 時間未満」15 件(7.7%)、「120 時間以上~140 時間未満」9件(4.6%)の順に多くなっている。
次に評価期間が2~6か月における1か月平均の場合、「60時間以上~80時間未満」45 件(23.2%)、「80時間以上~100時間未満」34 件(17.5%)、「100時間以上~120時間未満」18 件(9.3%)の順に多 くなっている。
(2)精神障害の労災補償状況
・業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、増加傾向にあり、令和4年度は2,683件で、前年度より337件の増加となっている。労災支給決定(認定)件数は、平成24年度以降500件前後で推移していたところ、令和2年度に600件を超え、令和4年度は710件となり、前年度より81件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「医療,福祉」624件(23.3%)、「製造業」392件(14.6%)、「卸売業,小売業」383件(14.3%)の順で多く、労災支給決定(認定)件 数は「医療,福祉」164件(23.1%)、「製造業」104件(14.6%)、「卸売業,小売業」100件(14.1%)の順に多くなっており、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「医療,福祉」が最多となっている。
・時間外労働時間別(1か月平均)の労災支給決定(認定)件数では、「その他」を除くと「20時間未満」が87件(12.3%)で最も多く、次に「100時間以上~120時間未満」が45件(6.3%) であった。
・出来事別の労災支給決定(認定)件数では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパ ワーハラスメントを受けた」147 件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89 件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78 件の順に多くなっている。
その他、第3章では、過労死等をめぐる調査・分析結果として、今回、(3)メディア業界の労災支給決定(認定)事案の分析、(4)教育・学習支援業の労災支給決定(認定)事案の分析が掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。
本件についての概要が掲載されております。
実施期間 令和5年11月1日(水)から11月30日(木)までの1か月間
◆主な実施事項
(1)労使の主体的な取組を促す
(2)労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換を実施
(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施
(4)過重労働相談受付集中期間に、「過重労働解消相談ダイヤル」を実施
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施
(6)過重労働解消のためのセミナーを開催
上記の中から「(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施」についての内容をご紹介します。
ア 監督の対象とする事業場等
以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。
i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
ii 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等
イ 重点的に確認する事項
i 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
ii 賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。
iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導します。
ウ 厳正な対応
監督指導の結果、 重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検し、公表します。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
厚生労働省は、第108回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会の資料を公開しております。
今回、「特別加入制度の対象範囲の拡大について」の資料をご紹介します。
フリーランスについては、フリーランス法案の国会審議における附帯決議や、その後の閣議決定において、特別加入の対象拡大に向けて取り組むことが求められています。
検討課題として以下のような内容があげられております。
〇加入対象業務と保険料率の設定
1. フリーランス法における特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託業務」という。)を労災保険の特別加入の対象とすることについてどう考えるか。
・「フリーランス実態調査結果」によれば、フリーランスとして営業や講師、調査・研究等に従事する者が一定数見込まれ、当該者は労働者と同様の業務を行っていること、また当該業務に係る労働者との危険性に差がないことが想定される。
・また、特定受託業務について、業務の内容は広範にわたるものの、その業務の内容はフリーランス法の規定に基づき、特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供に限られ、また当該業務委託に係る業務の内容等については、フリーランス法に基づき書面等により明示されることが義務付けられることとなる。
2. 仮に、特定受託業務を新たに特別加入の対象とする場合、ITフリーランスなど既に特別加入の対象となっている業務との関係をどのように考えるか。
・今回の業務の追加により、既存の特別加入に係る業務と特定受託業務のいずれにも該当する場合も想定されるが、その場合、同一の業務について異なる料率が設定され、災害率や就業形態ごとに料率を設定する趣旨に反することも想定されるほか、いずれに加入するかを就業者が選択できることとすると、料率の低い業務に特別加入者が流れてしまうことも考えられる。
3. 併せて、特定受託業務の保険料率をどのように設定するか。
・フリーランスは広範な業務が想定されるが、「フリーランス実態調査結果」によれば、既存の特別加入に含まれる可能性が高いと思われる事業又は作業を除くと、営業、講師・インストラクター、その他(専門業務関連)、デザイン制作・コンテンツ制作、調査・研究・コンサルティング、その他(生活関連サービス)、データ入力・文書入力等、ライティング・記事等執筆業務が主に想定される。
・今回の特定受託業務に該当することが想定される業務に類似する既存の事業の種類は、その多くが「94その他の各種事業」に該当し、その料率は3/1000となっている。
〇災害防止措置の内容
これまで特別加入の対象となってきた業務とは異なり、業務の態様が多岐にわたる様々なフリーランスを特別加入の対象とする場合、特別加入団体が実施すべき災害防止措置の内容をどのように考えるか。
・これまでの既存業種の特別加入とは異なり、作業の態様が様々なフリーランスの特別加入者への災害防止措置の内容をどのようなものとするかが課題となる。
・フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通的な災害防止教育の内容をパッケージ化して、加入者教育を実施すること等が考えられる。
今後の動向に注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。
1.健康診断及び事後措置の実施の徹底
健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置の実施は、全て労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
特に小規模事業場での実施率が低くなっています。事業場の規模にかかわらず、労働者の健康管理を適切に講ずるため、事後措置の実施まで徹底してください。
2.医療保険者との連携
医療保険者から健康診断の結果を求められた際の提供にご協力ください。
制度間の健診の重複を避け、これらの取組が着実に進められるよう、保険者から労働者の健 康診断結果を求められた場合は、その写しを提供することが事業者に義務づけられていますので、健康診断結果の提供への協力をよろしくお願いします。
※法律に基づく提供の場合は、第三者提供に係る本人同意は不要です。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「心理的負荷による精神障害の認定基準案」に関して、パブリックコメントによる意見募集を行っております。
心理的負荷による精神障害の認定基準案の概要は以下の通りです。
第2 内容
1 業務による心理的負荷の評価
(1)業務による心理的負荷評価表について、社会情勢の変化を反映して項目を追加しつつ細分化された項目を一定程度統合する、総合評価の視点及び強度ごとの具体例を拡充する等の観点から、別紙のとおり改める。
(2)複数の出来事の評価に当たっての考慮要素等について、報告書に沿って、明確化・具体化を図る。
2 精神障害の悪化の業務起因性
既存の精神障害が悪化した場合について、報告書に沿って、「特別な出来事がなくとも、悪化の前に業務による強い心理的負荷が認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の 症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認める」ことを示す。
3 医学意見の収集方法
報告書に沿って、次のとおり医学意見の収集方法の効率化を図る。
(1)業務による心理的負荷が「強」に該当することが明らかな事案であって、業務以外の心理的負荷や個体側要因が顕著なものでない事案については、専門医意見を求めることなく主治医意見により判断できることとする。
(2)出来事の心理的負荷の強度が明らかではない事案や精神障害の受診歴 のない自殺事案等について、専門部会意見による判断を求めることなく専門医意見により判断できることとする。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」は、精神障害の労災認定の基準に関する報告書を取りまとめ公表しております。
この報告書は、近年の社会情勢の変化等を踏まえ、認定基準全般について検討を行い、取りまとめたものです。
この報告書を受け、速やかに精神障害の労災認定基準が改正される予定です。
〇報告書のポイント
◆業務による心理的負荷評価表の見直し
・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
◆精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
◆医学意見の収集方法を効率化
・専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるよう変更
詳細は、以下よりご確認ください。