厚生労働省は、令和7年5月30日(金)に開催された「第6回労災保険制度の在り方に関する研究会」の資料を公開しております。
今回、資料として、「労災保険制度の在り方について(給付・適用・徴収等の個別論点のうち議論を深めていただきたい点)」が掲載されています。
論点として、以下の6つの論点があげられています。
【論点1】遺族(補償)等年金の支給要件について
【論点2】遺族(補償)等年金の特別加算の在り方について
【論点3】労災保険給付、災害補償請求権の消滅時効について
【論点4】遅発性疾病等に係る給付基礎日額の算定方法について
【論点5】特別加入団体について
【論点6】メリット制について
上記の中から、【論点3】、【論点6】について、一部抜粋してご紹介します。
〇【論点3】労災保険給付、災害補償請求権の消滅時効について
(現行)
・労働基準法における災害補償請求権は、行使できるときから2年間で消滅する(労基法第115条)。
・労災保険法上の給付請求権は、行使できるときから、短期給付については2年間、長期給付については5年間で消滅する(労災保険法第42条第1項)。
(研究会における御意見の要旨)
・事故性の災害は発生したことが明らかであり、延ばす理由はさほどない。
・一律に消滅時効期間を延長するのではなく、手続自体が精神的負荷になるという事例について特例を設けることも考えられるのではないか。
・他の措置でも対応が可能に思われ、具体的なケースに即した広報や周知などが大事ではないか
(御議論を踏まえた新たな論点)
・時間の経過による証拠の散逸のおそれや被災者の早期の社会復帰等の要請について、時効の規定のみに「背負わせる」必要はないのではないか。
・一定の疾病等については、必ずしも労災事故として「当然に認知」できるものではないのではないか。また、労災給付を請求する権限行使が常に「容易」であると言えるのか。
・請求手続き自体が負荷になるケース等について、仮に何らかの手当を行う場合、具体的にどのような方法が考え得るのか。
・同様の消滅時効期間(2年)を定める他の労働保険・社会保険制度との関係をどう考えるのか。労災保険・災害補償に特有の理由がある場合には、異なる取り扱いをしてはならないのか。
〇【論点6】メリット制について
(現行)
・労災保険率は、業種間の負担の公平を期するため「事業の種類」ごとに災害率等に応じて決められているが、事業の種類が同一であっても、作業工程、機械設備あるいは作業環境の良否、災害防止努力の如何等によって個々の事業ごとの災害率には差が生じる。
・このため、事業主の負担の具体的公平を図るとともに、事業主の災害防止努力を促進するため、個別の事業場の災害の多寡に応じ、労災保険率又は保険料を増減するメリット制を適用している。
・具体的には、保険収支率の多寡に応じて、保険料率(非業務災害率を除く。)を+40%~-40%で設定する。
・適用される事業の範囲は一定規模以上の継続事業、一括有期事業及び単独有期事業となっており、継続事業及び 一括有期事業については連続する3保険年度の最後の年度の翌々保険年度の労災保険料に、単独有期事業については事業終了(建設工事などの終了)後、確定保険料に、それぞれメリット保険料率が適用される。
・なお、メリット制が適用される事業場は全適用事業場の4%、対象労働者は59%、となっている(令和5年度)。
(研究会における御意見の要旨)
【メリット制の効果について】
・メリット保険料率の変化が労災の抑止に一定効果があると分かったが、様々な側面があることに留意が必要。
・使用者の過失によって生じる災害については、メリット制による災害防止効果が出ているとしてメリット制を維持するのが良い。
・メリット増減率が前年+40%から翌年+40%の事業場が6割強あり、プラスでメリット制が適用されていても増減率が変わらない事業場もある。これらの事業場はどのような状況にあるのか、長期的には検証が必要ではないか。
・メリット制を無くしてしまうと、同種の事業で、災害防止できている企業から災害防止できていない企業への利益の再分配となり、それは労災保険に内在する論理からは正当化されないし、産業施策の観点からも要請されていない。
・プラスのメリットが適用されている事業場について一定効果が示されたが、メリット制が効果を持ちやすい業種や災害類型があること、事業主が努力しても避けられない労災があること、労災隠しを誘因している等の弊害はデータで示しにくいこと等に留意が必要。
・過去のメリット制には災害防止効果があったかもしれないが、今日のメリット制の役割は終わっているのではないか。
【特定の疾患に係る給付の取扱いについて】
・メリット制から、特定の疾病や特定の対象者を除くのは、事業主の災害防止行動から漏れることから慎重になるべき。
・災害補償に関する使用者の責任を基礎とした事業主の負担による保険給付を行っていると理解すると、個体要因や私生活の影響があるからといって脳心・精神疾患だけをメリット制の算定対象から除くことの理由にはならない。
・事業主が予防努力をしても、労災認定される疾病は生じうるし、必ずしも公平性や災害の予防促進に資さないケース も生じているのではないか。これらの疾患へのメリット制適用が紛争の対象になりやすいのでは。
・メリット制が外れたからといって、民事訴訟を考えれば、事業主が過重労働を避けるための行動を取らなくなるとは考えづらい。紛争防止の観点から算定除外としてもいいのではないか。
【特定の労働者群への給付の取扱いについて】
・言語面や体力面で脆弱性があるが、それに適した災害防止努力を取るべきなのであり、メリット制の算定対象から除く理由はない。
・雇用政策との整合性を取ってメリット制で何らかの対応は取れるのではないか。
・雇い控えの問題は、労災保険が対象とするところでなく、雇用政策の問題である。
(御議論を踏まえた新たな論点)
①メリット増減率が+40%の状態が続く事業に対して、どう対応していくのか。
②いわゆる「労災かくし」につながっているとの意見があるが、どう評価するべきか。
③特定の疾病や労働者群の取扱いについて御議論があったが、他に検討すべきものはあるか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和6年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめ公表ております。
(出典:厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」)
・令和6年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)
1,257人(前年比151人・約14%増)、全体の約4割が建設業と製造業で発生。
・熱中症による死亡者数は31人(前年と同数)、建設業(10人)や製造業(5人)で多く発生。
死亡災害の多くの事例では、重篤化した状態で発見されるケース、医療機関に搬送しないケースなど、初期対応の放置、対応の遅れが見られた。
詳細は、以下よりご確認ください。
令和7年6月1日から職場における熱中症対策を強化するため、改正労働安全衛生規則が施行されます。
熱中症の重篤化を防止するため「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者に義務付けられることになります。
対象となるのは「WBGT値28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えての実施」が見込まれる作業です。
また、5月1日から9月30日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施されております。
厚生労働省の「職場における熱中症ポータルサイト」は、以下よりご確認ください。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第57号)が、令和7年4月15日に公布され、 同年6月1日から施行されます。
その改正の趣旨、 内容等について記載された「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日付け基発0520第6号)」が公表されました。
以下、一部抜粋してご紹介します。
第1 改正の趣旨
熱中症による死亡災害の原因の多くは、初期症状の放置、対応の遅れによることから、熱中症の重症化を防止し、死亡災害に至らせないよう、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐために事業者が講ずべき措置等について、新たな規定を設けるものである。
第2 改正省令の概要
1 事業者が熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき体制整備と関係作業者への周知
事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者が当該作業に従事する他の者に熱中症が生じた疑いがあることを発見した場合にその旨を報告させる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない こととしたこと。
2 事業者が熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき措置の実施手順の作成と関係作業者への周知
事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体冷却、必要に応じての医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその手順を周知させなければならないとしたこと。
第3 細部事項
1 改正省令関係
(1)共通事項
オ 熱中症の症状の重篤化を防止するためには、熱中症が生じた疑いのある者について、早期の作業離脱や身体冷却、必要に応じ、医師の診察等を受けさせるための医療機関への搬送を迅速かつ的確に行うことが重要である。
このため、これらの措置が迅速かつ円滑に実施されるよう、
①熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者を発見した者がその旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ整備しておくこと、
②熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者への対応に関し、 事業場の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先並びに必要な措置の内容及び手順を事業場ごとにあらかじめ作成しておくこと、
③ 当該体制や手順等について作業者へ周知することを事業者に義務付けるものであること。
カ 改正により新設される労働安全衛生規則(昭和47年労働省令 第32号。以下「安衛則」という。)第612条の2は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。第4の2(1)において「安衛法」 という。)第22条に基づくものであり、個々の事業者に対し、措置義務が課されるものであること。
(2)報告体制の整備(第612条の2第1項(新設)関係)
ア 「報告をさせる体制の整備」には、熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる作業場の責任者等報告を受ける者の連絡先及び当該者への連絡方法を定め、かつ明示することにより、作業者が熱中症を生ずるおそれのある作業を行っている間、随時報告を受けることができる状態を保つことが含まれるものであ ること。
イ 「報告をさせる体制の整備」は「熱中症を生ずるおそれのある作業」が行われることが想定される作業日の作業開始前までに行っておく必要があるが、夏季の屋外作業のように、一定期間、暑熱環境下で作業を行うことが明らかな場合は、十分な余裕をもって体制を整え、当該作業に従事することが見込まれる 者に周知しておくよう努めること。
ウ 「周知」は、報告先等が作業者に確実に伝わることが必要である。その方法には、事業場の見やすい箇所への掲示、メールの送付、文書の配布のほか、朝礼における伝達等口頭によることがあり、原則いずれでも差し支えないが、伝達内容が複雑である場合など口頭だけでは確実に伝わることが担保されない場 合や、朝礼に参加しない者がいる場合なども想定されるため、必要に応じて、複数の手段を組み合わせて行うこと。
(3)手順等の作成(第612条の2第2項(新設)関係)
ア 手順等の作成の時期等については、(2)イと同様であるこ と。
イ 手順等の「周知」の方法については、(1)カ及び(2)ウと 同様であること。
2 関係条文の解釈
3 関係通達の改正について
(1)令和3年4月20日付け基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」を別紙1のとおり改正し、令和7年 6月1日から適用すること。
第4 施行期日
改正省令は、令和7年6月1日から施行することとしたこと。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001490909.pdf
厚生労働省は、令和7年5月16日に新着通知として「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(令和7年5月14日基発0514第1号)」を公表しております。
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律が本年3月14日に第217回国会に 提出され、5月8日に可決成立し、5月14日に公布されました。これに伴い、本通知が出されました。
施行期日は、その内容に応じて、公布 日、令和8年1月1日、令和8年4月1日、令和8年10月1日、令和9年1月 1日、令和9年4月1日、改正法の公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日又は改正法の公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。
本通知は、以下の項目で構成されております。
第1 改正法の内容
Ⅰ 個人事業者等に対する安全衛生対策
1 個人事業者の定義及び注文者等が講ずべき措置
2 個人事業者等が講ずべき措置
3 申告及び災害状況の調査
Ⅱ 心理的な負担の程度を把握するための検査等に関する特例の終了
Ⅲ 化学物質による健康障害防止等の仕組みの整備
1 作業環境測定の対象拡大
2 作業環境測定士試験及び登録
3 危険性及び有害性情報の通知制度の履行確保
4 営業秘密である成分に係る代替化学名等の通知
Ⅳ 機械等による労働災害防止対策
1 特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化
2 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し
3 型式検定対象機械等、技能講習対象業務等の見直し
Ⅴ 高年齢者の労働災害防止のための措置
Ⅵ 公示手段の適正化
Ⅶ 附則
1 施行期日
2 準備行為及び経過措置
3 検討規定
4 関係法律の整備
第2 公布日施行分(第3条第3項関係)の改正趣旨等
Ⅰ 改正趣旨及び内容
Ⅱ 細部事項
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250516K0010.pdf
5月8日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が衆院本会議で可決、成立しました。
改正の概要は、以下の通りです。
1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進 【労働安全衛生法】
既存の労働災害防止対策に個人事業者等も取り込み、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため、
① 注文者等が講ずべき措置(個人事業者等を含む作業従事者の混在作業による災害防止対策の強化など)を定め、併せてILO第155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の履行に必要な整備を行う。
② 個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。
2.職場の メンタルヘルス対策の 推進 【労働安全衛生法】
ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。
その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。
3.化学物質による健康障害防止対策等の推進 【労働安全衛生法、作業環境測定法】
① 化学物質の譲渡等実施者による危険性・有害性情報の通知義務違反に罰則を設ける。
② 化学物質の成分名が営業秘密である場合に、一定の有害性の低い物質に限り、代替化学名等の通知を認める。
なお、代替を認める対象は成分名に限ることとし、人体に及ぼす作用や応急の措置等は対象としない。 ③ 個人ばく露測定について、作業環境測定の一つとして位置付け、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図る。
4.機械等による労働災害の防止の促進等 【労働安全衛生法】
① ボイラー、クレーン等に係る製造許可の一部(設計審査)や製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲を拡大する。
② 登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、不正への対処や欠格要件を強化し、検査基準への遵守義務を課す。
5.高齢者の労働災害防止の推進 【労働安全衛生法】
・高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施を事業者の努力義務とし、国が当該措置に関する指針を公表することとする。 等
施行日は、令和8年4月1日ですが、1①の一部は公布日、4②は令和8年1月1日、3③は令和8年10月1日、1②の一部は令和9年1月1日、 1①及び②の一部は令和9年4月1日、2は公布後3年以内に政令で定める日、3①は公布後5年以内に政令で定める日とされております。
上記の中でも、 ストレスチェックについて、労働者数50人未満の事業場についても実施することが義務化される点の影響が大きいと思われます。 今後、厚労省からも施行に向けた情報が出てくると思いますので、改めてご案内させていただきます。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では7月1日から1週間、「全国安全週間」を実施します。
今年で98回目となる全国安全週間は、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的としています。
令和7年度は、「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」のスローガンの下、全国安全週間が実施するされます。7月1日(火)から7日(月)までを「全国安全週間」、6月1日(日)から30日(月)までを準備期間として、各職場における巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、さまざまな取組が実施されます。
〇主唱者(厚生労働省、中央労働災害防止協会)、協賛者の実施事項
全国安全週間及び準備期間中に次の事項を実施する。
(1)安全広報資料等を作成し、配布する。
(2)様々な広報媒体を通じて広報する。
(3)安全パトロール等を実施する。
(4)安全講習会や、事業者間で意見交換し、好事例を情報交換するワークショップ等を開催する。 (5)安全衛生に係る表彰を行う。
(6)「国民安全の日」(7月1日)の行事に協力する。
(7)事業場の実施事項について指導援助する。
(8)その他「全国安全週間」にふさわしい行事等を行う。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「職場における熱中症予防情報」のWEBサイトで、熱中症予防に関する様々な情報提供を行っております。
この中から、以下の資料をご紹介します。
・リーフレット「職場における熱中症対策の強化について」
令和7年6月1日改正労働安全衛生規則が施行されることに伴い、職場における熱中症による死亡災害の傾向と早急に求められる対策、熱中症対策の基本的な考え方と現場における対応が掲載されております。
さらに、熱中症のおそれのある者に対する処置の例(フロー図①②)も掲載されております。
・パンフレット「職場における熱中症対策の強化について」
前述したリーフレットをさらに詳しく解説した資料です。以下の事項が追加されております。
・夏季の気温と職場における熱中症の災害発生状況
・熱中症死亡災害の分析結果
・職場における熱中症予防基本対策要綱に基づく取り組み
・いつもと違うと思ったら、熱中症を疑え(これも初期症状)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和7年3月12日に開催された「第175回労働政策審議会安全衛生分科会」の資料を公開しております。
今回は、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱(職場における熱中症対策関係)について諮問が行われました。
〇改正の概要
以下1、2の事項を事業者に義務付けること。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
①「熱中症の自覚症状がある作業者」
②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して 周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
※熱中症を生ずるおそれのある作業
WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働者に発症した腰痛が業務上のものとして労災認定できるかを判断するために、「業務上腰痛の認定基準」(以下「認定基準」)を定めています。
認定基準の概要を説明し、腰痛の労災認定の考え方についてわかりやすくまとめたリーフレットを作成し公開しております。
リーフレットでは、腰痛の労災認定基準について、「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」に分けてそれぞれ具体例を挙げて解説されています。
また、労災補償の対象となる治療の範囲、業務上腰痛の認定事例についても記載されています。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001400106.pdf
厚生労働省は、第379回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会の資料を公開しております。
資料1として、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案」及び「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」(労働者派遣法の一部改正関係)についてが掲載されております。
資料より一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
〇労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び 職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案について
■労働者派遣法の一部改正関係(派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなして適用する特例)
1.カスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントに対する雇用管理上の措置義務
・現在、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等に関して事業主に課されている雇用管理上の義務の規定については、派遣先もまた派遣労働者を雇用する事業主とみなして適用している。(派遣元も、派遣労働者を雇用する事業主としての義務を負っている。
・今回、新たに事業主に措置が求められるカスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の措置義務に関しても、同様の扱いとする。
2.治療と仕事の両立支援のための努力義務
・現在、労働者に対する健康教育及び健康相談等に関して事業主に課されている努力義務の規定や、事業主に女性労働者が保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することを求める規定については、派遣先もまた派遣労働者を雇用する事業主とみなして適用している。(派遣元も、派遣労働者を雇用する事業主としての義務を負っている。)
・今回、新たに設けられる治療と仕事の両立支援のための必要な措置を講じる努力義務に関しても、同様の扱いとする。
〇労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案について
■労働者派遣法の一部改正関係(派遣先も派遣労働者を雇用する事業者とみな して適用する特例)
1.高年齢労働者に対する労働災害防止のための努力義務
・現在、事業者が「中高年齢者その他労働災害の防止上特に配慮を必要とする者」に対する「心身の条件に応じて適正な配置等を行うことの努力義務」の規定については、派遣先もまた派遣労働者を雇用する事業者とみなして適用している。(派遣元も、派遣労働者を雇用する事業者としての義務を負っている。) ・今回、新たに設けられる「高年齢者」に対する「特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることの努力義務」に関しても、同様の扱いとする。
2.混在作業による労働災害防止のための措置義務
・現在、製造業等の元方事業者に対する「労働者、請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合」に「作業間の連絡調整を行うこと等の義務」の規定については、派遣先を派遣労働者を雇用する事業者とみなして適用している。
・今回、新たに設けられる、製造業等以外の業種も含め、仕事を行う場所を管理する事業者に対する、労働者、請負人の労働者、個人事業者等が一の場所において作業を行う場合に作業間の連絡調整を行うこと等の義務に関しても、同様の扱いとする。
3.化学物質による健康障害防止対策等の推進のための措置義務
・現在、事業者が「有害な業務を行う屋内作業場等」において「作業環境測定を行い、結果を記録する義務」の規定については、派遣先を派遣労働者を雇用する事業者とみなして適用している。
・今回、新たに設けられる、事業者が「個人ばく露測定を行う義務等」に関しても、同様の扱いとする。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の労働政策審議会は、諮問された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案要綱」について、厚生労働大臣に対して「厚生労働省案は妥当と認める」との答申を行いました。
厚生労働省は、法律案を作成し、今通常国会に提出する予定です。
〇法律案要綱の概要(第一の二と五のみご紹介し、その他は、項目のみ記載します。下線は筆者加筆)
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案要綱
第一 労働安全衛生法の一部改正
一 個人事業者等に対する安全衛生対策
1 個人事業者の定義
2 個人事業者等による措置
3 注文者等による措置
4 労働基準監督署等への申告
5 災害状況の調査
二 小規模事業場に対する心理的な負担の程度を把握するための検査等の適用
五十人未満の労働者を使用する事業場に対する心理的な負担の程度を把握するための検査等の適用を当分の間努力義務とする特例を廃止とすること。
三 科学物質による健康障害防止対策
1 危険性及び有害情報の通知制度の履行確保
2 危険性及び有害性情報の通知制度における営業秘密の保持
3 作業環境測定の対象拡大
四 機械等による労働災害防止対策
1 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し
2 特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化
3 型式検定対象機械等、技能講習対象業務等の見直し
五 高年齢者の労働災害防止対策
1 事業者は、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるように努めなければならないものとする。
2 厚生労働大臣は、1の措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を公表するものとすること。
3 厚生労働大臣は、2の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等をお粉ことができるものとすること。
第二 作業環境測定法の一改正
一 作業環境測定士等による個人ばく露測定の実施
二 その他所要の改正を行うこと
第三 施行期日等
一 施行期日
この法律は、令和八年四月一日から施行すること。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行すること。
1 第一の一の3の(一) 公布の日
2 第一の四の2 令和八年一月一日
3 第一の三の3並びに第二の一及び二の一部 令和八年十月一日
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、第171回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)を公開しております。
資料の中から、今後の労働安全衛生対策について(報告)(案)より一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
今回は、後半部分として、5 高年齢労働者の労働災害防止の推進、6 一般健康診断の検査項目等の検討 、7 治療と仕事の両立支援対策の推進についてご紹介します。
5 高年齢労働者の労働災害防止の推進
高年齢労働者の労働災害防止対策を推進するため、以下の対応を行うことが適当である。
ア 高年齢労働者の労働災害を防止するため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業の管理その他の必要な措置を講じることを事業者の努力義務とすることが適当である。
イ 厚生労働大臣が、アの措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を公表できるようにすることが適当である。
また、厚生労働大臣は、当該指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助を行うことができるようにすることが適当である。
6 一般健康診断の検査項目等の検討
(1)女性特有の健康課題への対応
月経随伴症状や更年期障害等の女性特有の健康課題について、(中略)厚生労働省が示している標準的な問診票である一般健康診断問診票に女性特有の健康課題に係る質問を追加することが適当である。
また、女性特有の健康課題があると回答した労働者に対して、健診機関が必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すことが適当である。
その際、質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととするが、女性特有の健康課題を抱える個々の労働者と事業者をつなぐ観点から、労働者が女性特有の健康課題で職場において困っている場合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること(既に、専門医の 診断を受けている場合も同様に可能であること)など、望ましい対応を健診機関向けマニ ュアルに示すことが適当である。
男性の更年期障害については、更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくことが適当である。
(2)一般健診の法定健診項目について
歯科に関する項目を法定健診項目に追加することに関しては、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことを踏まえると、困難である。
一方で、労働者の口腔の健康の保持・増進は重要である。(中略)今後、好事例を展開する等普及啓発を強化することにより、歯科受診に繋げる方策を検討することが適当である。また、職場の健康診断実施強化月間、全国労働衛生週間の周知等の機会を捉えて、周知を強化することが適当である。
7 治療と仕事の両立支援対策の推進
治療と仕事の両立支援対策を推進し、働きながら治療を続ける 方の就業環境を整備するため、以下の対応を行うことが適当である。
ア 治療と仕事の両立支援のための必要な措置を講じることを事業者の努力義務とすることが適当である。
イ 厚生労働大臣が、アの措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を公表できるようにすることが適当である。
ウ 上記のほか、国は、以下について取り組むべきである。
・「治療と仕事の両立支援カード」について、企業に理解を求めるとともに、医療機関での活用が促進されるような支援策を講じ、関係者の連携した取組を積極的に推進する
・「 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の普及に当たり、事業者に対しては、治療と仕事の両立支援の取組が経営課題として位置づけられるよう、人材確保や生産性向上、企業の成長にもつながることへの理解を図るとともに、労使一体となった取組について具体的な事例を示す
・産業保健や人事労務管理の体制が脆弱な中小企業に対しては、治療と仕事の両立支援の専門家が配置されている産業保健総合支援センターによる企業支援(専門的研修、 相談対応・訪問支援、個別調整支援等)をさらに充実する
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、第171回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)を公開しております。
資料の中から、今後の労働安全衛生対策について(報告)(案)より一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
今回は、前半部分として、1 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、2 職場のメンタルヘルス対策の推進についてご紹介します。
1 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
(1)個人事業者等の定義
「事業を行う者で、労働 者を使用しないもの」を同法に位置づけることが適当である。
(2)個人事業者等自身による措置
・個人事業者等についても自身の災害や労働災害を防止するために必要な責務を規定することが適当である。
・個人事業者等には、事業者が講じる措置に応じて必要な事項を遵守することを罰則付きで義務付けるとともに、事業者は必要な 措置が確実に伝わるように分かりやすく周知することが適当である。
・機械等の安全確保について、事業者には、構造規格又は安全装置を具備しない機械 等の使用禁止、定期自主検査の実施といった規制が課されているが、個人事業者等に も同様に、使用を禁止するとともに、定期自主検査の実施を義務付けることが適当で ある。
・安全衛生教育について、事業者が労働者を危険又は有害な業務につかせる際には特 別教育を実施することが義務付けられているが、個人事業者等にも同様に、特別教育 の修了を義務付けることが適当である。また、法令により修了が義務付けられている ものの他にも、危険又は有害な業務に現に就いている者に対しては、その従事する業 務に関する安全衛生教育を行うことが事業者の努力義務となっているところ、個人事 業者等にも同様の教育を受ける努力義務を課すことが適当である。
(4)個人事業者等による労働基準監督署等への申告
・個人事業者等が請け負った作業等に関し、労働安全衛生関係法令に違反する事実が ある場合については、個人事業者等は労働基準監督署等に対して申告し、是正のため 適当な措置をとるように求めることができる仕組みを整備することが適当である。
・事業者等は、個人事業者等がアの申告をしたことを理由として不利益な取扱いを行 ってはならないこととすることが適当である。
(5)個人事業者等の業務上災害の報告制度
・個人事業者等の業務上災害については、現在、網羅的に把握する仕組みがないこと から、労働者死傷病報告の仕組みを参考にして、個人事業者等の業務上災害の報告制 度を創設することが適当である。
・個人事業者等が業務に伴って休業4日以上の災害に被災した場合には、
▶個人事業者等から見て直近上位の注文者等(当該者が存在しない場合には、災害発 生場所(事業場等)を管理する事業者。以下「報告主体」という。)が労働基準監督 署に業務上災害について遅滞なく報告することを義務付けることが適当である。
▶上記の場合において、個人事業者等が災害発生の事実を伝達・報告することが可能 な場合には、報告主体に業務上災害について遅滞なく報告することを義務付け、報告主体はその内容を踏まえ、必要事項を補足した上で労働基準監督署に遅滞なく報告することを義務付けることが適当である。
ただし、個人事業者等が中小事業の事業主や役員である場合には、上記にかかわら ず、所属企業が労働基準監督署に遅滞なく報告する仕組みとすることが適当である。 併せて、休業4日未満の災害など、これらの義務の対象とならない業務上災害につ いても、業務上災害の報告の実効性を高める観点から、労働基準監督署に対して情報 提供することができるような仕組みとすることが適当である。
▶ 報告事項については、労働者死傷病報告の報告対象を参考とすることとし、加え て、報告者に関する情報や、被災した個人事業者等の労災保険の特別加入の有無等に ついても報告事項とすることが適当である。
▶業務上災害の報告の適正化のため、報告主体は、個人事業者が法令上の義務となる 業務上災害の報告を行ったことを理由として、不利益取扱いを行ってはならないこと とすることが適当である。
▶個人事業者等の過重労働による脳・心臓疾患及び精神障害事案については、上記と は区別して、個人事業者等自身等が労働基準監督署に報告することができる仕組みを 整備することが適当である。
2 職場のメンタルヘルス対策の推進
(1)ストレスチェックの実施及び高ストレス者に対する面接指導の実施
・労働者数50人未満の事業場においてはストレスチェックの実施が当分の間努力義務となっているところ、事業場規模にかかわらずストレスチェックの実施を義務とすることが適当である。
・その際、労働者のプライバシー保護の観点から、原則として、外部委託を推奨する ことが適当である。また、労働基準監督署へのストレスチェック実施結果の報告義務 は、一般定期健康診断と同様、50人未満の事業場には負担軽減の観点から課さないこ とが適当である。 これらの見直しに当たっては、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保することが適当である。
(2)集団分析の実施及び職場環境の改善
・ストレスチェック実施後の集団分析・職場環境改善は労働安全衛生規則に基づき事 業者の努力義務とされているが、(中略)事業場規模にかかわらずこれを義務とすることは時期尚早であり、義務化については引き続きの検討課題とすることが適当である。
・集団分析の実施方法については、現行の努力義務の規定を、労働者のプライバシー 保護等の観点から、個人を特定できない方法で実施する努力義務規定とすることが適 当である。
次回は、後半部分として、5 高年齢労働者の労働災害防止の推進、6 一般健康診断の検査項目等の検討、7 治療と仕事の両立支援対策の推進についてご紹介します。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、第170回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)を公開しております。
資料の中から、「資料3 高年齢労働者の労働災害防止対策について(その3)」について、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
〇高年齢労働者の労働災害防止対策の論点
(論点)
●高年齢労働者の就業者数及びその割合の増加により、高年齢労働者の労働災害が増加している。
●労働安全衛生法第62条では、措置として「中高齢者」に対する「適正な配置」のみが求められているが、高年齢労働者については、職場環境・作業の改善の取組等を促していくため、措置内容の範囲を広げることが適当ではないか。
●このため、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)において求められているような対応を企業の努力義務とした上で、現在のガイドラインについて法律上の根拠を与えることでその適切かつ有効な実施を図ることが適当ではないか。
※労働安全衛生法 第62条(中高齢者等についての配慮)
事業者は、中高齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなければならない。
※エイジフレンドリーガイドラインにおいて求められているような対応
例えば、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業管理その他の措置
急増する高齢者の労災防止のため、高齢者の労災対策を企業の努力義務として課す方針で労働安全衛生法の改正を目指しているようです。
詳細は、以下よりご確認ください。
令和6年11月から、特定受託業務に従事する方(特定フリーランス事業)の方について新たに特別加入制度の対象となりました。
厚生労働省は、本件に関するリーフレットを公開しております。
労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度です。労働者以外の方でも、一定の要件を満たす場合に任意加入でき、補償を受けることができます。これを「特別加入制度」といいます。
労災保険給付では、ケガ等の治療に必要な給付や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されます。
対象業務である「特定フリーランス事業」とは、「フリーランス(特定受託事業者)が企業等(業務委託事業者)から業務委託を受けて行う事業(特定受託事業)」または「フリーランスが消費者(業務委託事業 者以外の者)から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業」(他に特別加入可能な事業または作業を除く)が対象となります。
(出典:厚生労働省リーフレット「フリーランスの皆様へ」)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第8回)」の資料を公開しております。
今回、資料1として、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会中間とりまとめ(案)」が掲載されております。
資料の中から一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
Ⅱ 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討
2 女性特有の健康課題に関する項目について
(2)検討結果
① 一般健康診断問診票への女性特有の健康課題に関する質問の追加
・一般健康診断の機会を活用し、女性労働者本人 への気づきを促し、必要な場合には、産婦人科医等専門医(以下「専門医」 という。)への早期受診、また、女性特有の健康課題に対する配慮について 申し出を行いやすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害等)に係る 質問を追加することが適当である。
・健康診断を実施する機関(以下「健診機関」という。)で健康診断を担当する医師(産業医が健康診断を実施する場合も含む。以下、「健診担当医」と いう。)は、この質問に「①はい」と回答した労働者に対して、必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すことが適当である。
② 事業者への情報提供
・質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととする。
・労働者が、女性特有の健康課題で職場において困っている場合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること(既に、専門医の診断を受けている場合も同様に可能であること)を健診機関向けガイドラインにおいて明示する。
・また、女性特有の健康課題で職場において困っている労働者を対象に、自らが事業者に女性特有の健康課題に関する相談を行うことは現時点であっ ても可能であるとともに、その場合には、専門医による診断書等を示すこ とが望ましいことを事業者向けガイドラインにも明示する。なお、これらの取扱いについては、あらかじめ、衛生委員会等にて労使間で十分に話し合うことが考えられる。
③ 男性の更年期障害について
・男性の更年期障害についても一般健康診断に含めるべきではないか、問診項目で特に男女を区別してきく必要はないのではないかという意見もあったが、業務起因性等に係る知見が乏しい項目を労働安全衛生法のスキーム に追加することは極めて抑制的であるべきとの意見や、現時点では、男性の更年期障害という疾患概念自体に曖昧さがあることに加え、労働者個人の精神的な状態が前面に出やすく、鑑別の課題もあり、健康診断における問診でのスクリーニングが困難であるとの意見があった。
・男性の更年期障害については、自分の抱えている不調が更年期の症状であるという理解促進を促すことについて、問診とは別に検討を進めて欲しい との意見があった。今後、厚生労働省は、更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくこととする。
3 歯科に関する項目について
(2)検討結果
② 今後の方向性等
・労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であることから、事業者が行う健康保持増進措置において、口腔保健指導をより一層推進していくことは重要であるものの、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことを踏まえると、問診を含め、労働安全衛生法に基づく一般健康診断に歯科健診を追加することは困難である。
・一方で、歯周病と全身疾患との関連が示唆されていることから、口腔内の健康を保つことの意義があると考えられる。現在、事業場における労働者の健康保持増進のための指針に「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」が盛り込まれているが、現状では十分に実施されているとは言えないことから、今後、好事例を展開する等普及啓発を強化することにより、歯科受診に繋げる方策を検討することとしてはどうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
政府は、令和6年10月11日、過労死等防止対策推進法に基づき、「令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和6年版 過労死等防止対策白書)を閣議決定しました。
◆「令和6年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1. 本年8月2日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」という。)の変更経緯やその内容について報告。
2. 大綱に基づく調査分析として、医療従事者(医師・看護師)の精神障害の労災認定事案の分析結果、DX(デジタル・トランスフォーメーション)等先端技術担当者及び芸術・芸能従事者(スタッフ)の働き方の実態等について報告。
3. 長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和5年度の取組を中心とした労働行政機関等の施策の状況について詳細に報告。
4. 本年4月1日から時間外労働の上限規制が適用された業種等に係る企業等における長時間労働削減等の働き方改革事例やメンタルヘルス対策、ハラスメント防止対策など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会の第7回資料を公開しております。
資料の中から、「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 中間とりまとめ案」について、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
Ⅱ ストレスチェック制度等メンタルヘルス対策の強化に向けた検討
2 50人未満の事業場におけるストレスチェック
(2)今後の方向性
・ストレスチェックの実施については、平成26年の制度創設当時、労働者のプライバシー保護等の懸念により、50人未満の事業場において当分の間努力義務とされているが、現時点において、ストレスチェックを実施する場合の労働者のプライバシー保護については、外部機関の活用等により、対応可能な環境は一定程度整備されていると考えられることから、ストレス チェックの実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大することが適当である。
・ただし、50人未満の事業場においては、産業医がおらず適切な情報管理等が困難な場合もあるので、原則として、ストレスチェックの実施は労働者のプライバシー保護の観点から外部委託することが推奨される。
・また、50人未満の事業場には、現在の50人以上の事業場における実施内容を一律に求めることは困難なことから、50人未満の事業場に即した現実的で実効性のある実施内容を求めていく必要がある。
・衛生委員会等の設置義務がない50人未満の事業場においては、労働者が安心してストレスチェックを受検できるように、関係労働者の意見を聴く機会を活用することが適当である。
・ストレスチェックの実施結果の監督署への報告義務は、一般健診と同様に、50人未満の事業場については、負担軽減の観点から課さないことが適当である。
・このほか、50人未満の事業場に即した、労働者のプライバシーが保護され、現実的で実効性のある実施体制・実施方法についてマニュアルを作成し、周知を徹底することを前提とする。
・地産保においては、50人未満の事業場に対して、登録産業医・保健師等による産業保健支援サービスを無料で提供しており、高ストレス者の面接指導について、登録産業医により対応している。ストレスチェックの義務対象を50人未満の事業場に拡大する場合、面接指導の対象者が大幅に増えることが予想される。円滑な施行に資するよう、登録産業医等の充実など、地産保で高ストレス者の面接指導に対応するための体制強化を図ることが不可欠である。
・また、面接指導以外の相談を選択する高ストレス者等への対応についても、地産保の体制強化や「こころの耳」の相談窓口の充実を図っていく必要がある。
・これらの支援体制の整備、支援を含めた制度の周知、その上での50人未満の事業場における実施体制の整備に要する期間を確保するため、十分な準備期間の設定を行うことが適当である。
3 集団分析・職場環境改善
(2)今後の方向性
・ストレスチェックの集団分析結果を活用した職場環境改善を義務化することの是非については、現時点では、何を、どの水準まで実施したことをもって、履行されたと判断することは難 しく、事業場規模に関わらず義務化することは時期尚早であり、義務化については引き続きの検討課題としつつ、まずは適切な取組の普及を図るべ きである。
・なお、集団分析だけ義務化することは可能かという点については、現時点では、集団分析だけ義務化するという判断はできない。
・また、集団分析については、労働者のプライバシー保護等の観点から、個人を特定できない方法での実施を努力義務とすることが適当である。
・また、ストレスチェック制度が、メンタルヘルス不調の未然防止だけではなく、労働者のストレス状況の改善及び働きやすい職場環境の実現を通じて生産性向上にもつながるものであることに留意し、事業経営の一環として、積極的に制度活用を進めるよう、事業者に働きかけていくべきである。
ストレス チェックの実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大する方針が示されました。
詳細は、以下よりご確認ください。
過労死等の労災支給決定件数は近年増加傾向にあり、また、本年4月1日から工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師等についても時間外労働の上限規制が適用されたこと等を踏まえ、その遵守徹底とともに、労使を始め、取引先等の関係者に対して広く周知・啓発を行うこと等を通じ、引き続き、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた機運の醸成を行う必要があります。
このため、厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。
●実施期間
令和6年11月1日(金)から11月30日(土)までの1か月間
●主な実施事項
(1)労使の主体的な取組を促します
(2)労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換を実施します
(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施します
(4)過重労働相談受付集中期間に、「過重労働解消相談ダイヤル」等を実施します
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施します
(6)過重労働解消のためのセミナーを開催します
上記の内、(3)についてその内容を記載します。
ア 監督の対象とする事業場等
以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。
i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報か
ら時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
ii 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなどの問
題があると考えられる事業場等
イ 重点的に確認する事項
i 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内
であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
ii 賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導し
ます。
iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。
iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよ
う指導します。
ウ 厳正な対応
監督指導の結果、 重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検し、公表します。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施されています。
以下のような取組が行われます。
【取組概要】
1 国民への周知・啓発
・「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施
47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムを開催し、過労死遺族の方の体験談やメ
ンタルヘルスの専門家等による講演などを行います(無料でどなたでも参加できます。)。
また、インターネット視聴用の講演などの動画配信も行います。
・ポスターの掲示などによる国民に向けた周知・啓発の実施
ポスターの掲示やパンフレット・リーフレットの配布、インターネット広告な
ど多様な媒体を活用した周知・啓発を行います。
2 過重労働解消キャンペーン
過労死等につながる過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解
消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話・SNS相談などを行います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第7回資料を公開しております。
労働者の健康確保に必要な健診項目についての資料等が掲載されております。
資料の中で、労働者の健康確保に必要な健診項目として学会等から寄せられた要望が掲載されております。本日は、こちらをご紹介します。
以下の要望が上げられております。
◆新規健診項目について
・C型肝炎検査を含むウイルス肝炎検査の追加
⼀般社団法⼈⽇本肝臓学会、公益社団法⼈⽇本⼈間ドック・予防医療学会
・血清クレアチニン値の追加
一般社団法人日本腎臓学会
・⻭科健診の追加
公益社団法⼈⽇本⻭科医師会
・眼底検査の追加
公益社団法人日本眼科医会
◆既存健診項目について
・胸部X線検査の維持
⼀般社団法⼈⽇本呼吸器学会、特定⾮営利活動法⼈⽇本肺癌学会
・心電図検査の維持
⼀般社団法⼈⽇本循環器学会、⼀般社団法⼈⽇本循環器協会、⼀般社団法⼈⽇本不整脈⼼電学会、⼀般社団法⼈⽇本⼼不全学会、⼀般社団法⼈⽇本循環器病予防学会、⼀般社団法⼈⽇本⼼臓病学
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、8月21日に開催された「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第6回)」の資料を公表しております。
今回も前回に引き続き、一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について議論が行われました。
資料の中から、「一般健康診断問診票」改訂案について」ご紹介させていただきます。
第5回検討会までの意見等を踏まえ、「一般健康診断問診票」における女性特有の健康課題に関する質問の目的、具体的プロセスについて、どのように考えるか(以下に事務局案を提示)
(1) 目的(案)
ア 労働者:月経困難症、月経前症候群、更年期障害等への気づきと、必要に応じての早期受診を促す。
イ 事業者:女性特有の健康課題を抱える職場環境整備への気づきを促す。
(2) 具体的プロセス(案)
(出典:労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第6回)」資料1)
①健診機関(健診担当医・健診を実施する産業医を含む。)は、委託契約等に基づき健診を実施する。
②健診機関は、上記①に基づき、労働者に問診票を配布する。
③労働者は、配布された問診票に回答し、その回答結果を健診機関に提出する。
④健診担当医は、必要に応じて、労働者個人に女性特有の健康課題に関する情報提供、婦人科等の医師の受診勧奨等を行う。
⑤労働者は、健診担当医からの受診勧奨等を踏まえ、婦人科等の医師を受診する。
⑥婦人科等の医師は、上記⑤により受診した労働者に対して、診断の結果、就業上の助言等を行う。
⑦健診機関は、上記①に基づき、事業者に女性特有の健康課題に関する質問の結果を提供する。
⇒ 以下の論点に ついて、議論が必要ではないか。
⑧事業者は、必要に応じて、産業医等(産業保健総合支援センターの活用を含む)に相談する。
※<論点>(上記⑦に係る論点)
上記(1)の目的(案)を達成するため、健診担当医(健診を実施する産業医を含む)から事業者に情報提供される内容(集計結果、労働者個人の情報・要望、情報なし等)、方法(事業者が決定、労働者が決定、両者で協議 して事業者ごとの決定等)について、どのようにあるべきなのか。加えて、この情報提供が行われる場合には、労働者個人のプライバシーの保護や健診担当医の負担増の可能性について、どのように配慮すべきであるのか。
その他
<論点>
男性更年期障害については、医学的知見や産業保健の課題等を踏まえ、どのように考えるのか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。
本件に関するリーフレットを作成し公表しております。
以下の内容が掲載されております。
1.健康診断及び事後措置の実施の徹底
健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置の実施は、全て労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
特に小規模事業場での実施率が低くなっています。事業場の規模にかかわらず、労働者の健康管理を適切に講ずるため、事後措置の実施まで徹底してください。
2.医療保険者との連携
医療保険者から健康診断の結果を求められた際の提供にご協力ください。
詳細は、以下よりご確認ください。
労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)。
厚生労働省は、本件に関するリーフレットを作成し、公表しております。
〇主な改正内容
これまで自由記載であった①、②、③、⑤について該当するコードから選択できるようになり、 ④については留意事項別に記入できるように記入欄が5分割されました。
①事業の種類 日本標準産業分類から該当する細分類項目を選択してください。
②被災者の職種 日本標準職業分類から該当する小分類項目を選択してください。
③傷病名及び傷病部位 該当する傷病名及び傷病部位を選択してください。
④災害発生状況及び原因 5つの記入欄にそれぞれ記入してください。
⑤国籍・地域及び在留資格 該当する国籍・地域及び在留資格を選択してください。
※電子申請義務化に伴う略図の取扱いについて
従前の手書きでの作成とは異なり、イラスト等の 「略図」のデータを添付してください。「略図」 を手書き等で作成後、携帯電話等で写真を撮って そのデータを添付していただいても構いません。
リーフレットの裏面では、電子申請に便利な入力支援サービスのご案内が掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、昨年11月から今年6月にかけて4回にわたり「過労死等防止対策推進協議会」を開催し、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直し案をまとめました。
令和6年8月2日、大綱の変更が、閣議決定されその内容を公表しております。
【過労死等防止のための対策に関する大綱」の変更案のポイント】
1.大綱策定10年を振り返り、更なる取組を推進
令和7年に大綱策定から10年の節目を迎えるため、この間の調査研究や取組の成果を振り返り、それらも踏まえ今後の対策を更に検討し推進
2.上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導、フリーランス等対策を強化
令和6年4月から全面適用された時間外労働の上限規制の遵守を徹底、過労死等を繰り返し発生させた企業に改善計画を策定させるなど再発防止の指導を強化
フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行後の履行確保、個人事業者等の安全衛生対策・健康管理の強化、労災保険の特別加入制度の対象拡大等の取組を推進
3.業種やハラスメントに着目した調査・分析 を充実
芸術・芸能分野を重点業種等に追加
事業主に義務付けられているハラスメント防止措置の状況についても過労死等事案から収集・分析を実施
※重点業種等:自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界
4.国以外も含めた関係者による取組を推進
業種別のカスタマーハラスメント対策の取組を支援
事業主は、管理職や上司、若年労働者に対し、労働関係法令の研修等を実施
労働組合は、職場で労働関係法令が適切に運用されているか定期的に確認
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」結果を公表しております。
労働安全衛生調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料として、労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として実施されています。
(出典:厚生労働省 令和5年 労働安全衛生調査 事業所調査結果の概要)
【調査結果のポイント】
◆メンタルヘルス対策に関する状況(事業所調査)
・過去1年間にメンタルヘルス不調により、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は、10.4%(令和4年調査10.6%)、退職した労働者がいた事業所の割合は、6.4%(同5.9%)。
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、63.8%(同63.4%)
(事業所規模別)
労働者数50人以上:91.3%(同91.1%)
労働者数30~49人:71.8%(同73.1%)
労働者数10~29人:56.6%(同55.7%)
◆仕事や職業生活に関する強いストレス(個人調査)
現在の仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者のうち、その内容は、仕事の失敗、責任の発生等:39.7%(同35.9%)と最も多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、職場における熱中症の予防対策を推進するため、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。5~9月をキャンペーン期間とし、7月は重点取組期間に位置づけられています。キャンペーン期間中は、労働災害防止団体等と連携して事業場への周知・啓発やセミナーの実施、教育用ツールの提供などが行われます。
また、熱中症を予防するための情報がまとめられた「熱中症予防のための情報・資料サイト」を公開しております。
本サイトでは、以下のような情報が掲載されております。
・熱中症を防ぎましょう
熱中症を防ぐためのそれぞれの場所に応じた適切な対策が紹介されております。
・熱中症が疑われる人を見かけたら
熱中症の応急処置が紹介されております。
・障害のある方へ
障害のある方に向けて、それぞれの障害に応じた熱中症対策をわかりやすくまとめたリーフレットが掲載されております。
・普及啓発用資材(リーフレット・ガイドライン等)
熱中症の予防についての各種リーフレットが掲載されております。(外国語版のリーフレットも一部掲載されております。)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、2024年6月21日に開催された「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(第4回)の資料を公開しております。
今回、論点案の資料が掲載されております。今後の一般健康診断検査項⽬等の改正の方向性を把握するのに役立つと思いますので、資料より一部抜粋してご紹介します。
〇論点案
○⼥性の健康に関する事項
・更年期、月経困難症に係る問診について
・他、⼥性の就業率向上に着⽬した検査項⽬について
○現⾏の健診項⽬等について
○その他労働者の健康確保に必要な健診項目について
※他の法令に基づく健診・検診の項目については検討対象外
今回は、上記の論点の中で、「女性の健康に関する事項に関する論点について」別に資料が作成されています。(下線は筆者が加筆)
1.骨粗鬆症に関する課題
・健診として実施すべきとの意⾒もあったが、業務との関連等について、更なる議論が必要。
・一方、健康局が中心になり、骨粗鬆症の検診を新たに考えるというこ とで、研究班が⽴ち上がっている。
⇒健康局における骨粗鬆症検診の検討状況を確認後、あらためて 本検討会にてご議論いただくのはいかがか。
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題①
・健診項⽬への追加について、要否両論があった。
・業務起因性・業務増悪性については夜勤やセデンタリーワークは可能性があるとされた。
・⽉経困難症や更年期への職場での対応については、⼥性の就労状況の変化に伴い、⼥性活躍の観点から社会的な要請が強くなってきている。
・健診項目に追加する場合、どのように組み込み、事後措置をどのように実施するか議論が必要。
※筆者注
セデンタリーワークとは、デスクワークが中心で、座っている時間が長い仕事のことを言います。
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題②
⼀般定期健康診断において、⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康課題について検討する際には以下の論点があるのではないか。
一般定期健康診断において、対象とすべき健康事象の範囲は何か。
1.対象となる健康事象の健診を⾏う意義について
業務起因・業務増悪があるのか。
健診を⾏う場合、
2.健診方法について
健診⽅法として問診が適切か。
3.事業者が⾏うべきことについて
事業者が健診後に⾏うべきことは何か。
4.健診費用について
費⽤増⼤が⾒込まれるか。
5.健康情報の把握について
労働者の知られたくない権利をどう考えるか。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表しております。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
〇ポイント
・過労死等に関する請求件数
4,598件(前年度比1,112件の増加)
・支給決定件数
1,097件(前年度比193件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 135件(前年度比14件の増加)
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。
うち死亡件数は前年度比29件増の247件。
(2)支給決定件数は214件で前年度比20件の増加。
うち死亡件数は前年度比2件増の56件。
(3)業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「運輸業、郵便業」244件、「卸売業、小売業」135件、「建設業」123件の順で多い。
支給決定件数は「運輸業、郵便業」75件、「卸売業、小売業」29件、「宿泊業、飲食サービス業」25件の順に多い。
(4)職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「輸送・機械運転従事者」200件、「専門的・技術的職業従事者」156件、「サービス職業従事者」135件の順で多い。
支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」67件、「サービス職業従事者」29件、「専門的・技術的職業従事者」22件の順に多い。
(5)年齢別の傾向
請求件数は「50~59歳」404件、「60歳以上」363件、「40~49歳」203件の順で多い。
支給決定件数は「50~59歳」96件、「60歳以上」53件、「40~49歳」52件の順に多い。
(6)時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多い。
また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」53件が最も多い。
2 精神障害に関する事案の労災補償状況
(出典:厚生労働省「別添資料2 精神障害に関する事案の労災補償状況」)
(1)請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。
(2)支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。
(3)業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「医療、福祉」888件、「製造業」499件、「卸売業、小売業」491件の順で多い。
支給決定件数は「医療、福祉」219件、「製造業」121件、「卸売業、小売業」103件の順に多い。
(4)職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「専門的・技術的職業従事者」990件、「事務従事者」782件、「サービス職業従事者」579件の順で多い。
支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」259件、「事務従事者」154件、「サービス職業従事者」126件の順に多い。
(5)年齢別の傾向
請求件数は「40~49歳」953件、「30~39歳」848件、「50~59歳」795件の順で多い。
支給決定件数は「40~49歳」239件、「20~29歳」206件、「30~39歳」203件の順に多い。P22 表2-4
(6)時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
支給決定件数は「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件。
(7)出来事別の傾向
支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」157件、「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」111件、「セクシュアルハラスメントを受けた」103件の順に多い。
詳細は、以下よりご確認ください。
精神障害に関する事案の労災補償の請求が増加しています。
出来事別の傾向として、パワーハラスメントを受けたり、セクシュアルハラスメントを受けたが依然多い状況が続いています。
ハラスメント防止対策には、社員研修が効果的であると言われておりますし、実際に、こうしたハラスメントが原因で、労災認定がおり、事業主の民事的責任を問われた場合、ハラスメント防止対策を行っていたかどうかがその結果に大きく影響します。
ハラスメント対策をされていない会社については、自社でできることから始めることをお勧め致します。
労働安全衛生法に基づく省令改正により、2025年4月から作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。
〇法令改正等の主な内容
1. 危険箇所等において事業者が行う退避や立入禁止等の措置の対象範囲を、作業場で何らかの作業に従事する全ての者に拡大
2. 危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する周知の義務化
厚生労働省は、本改正に関して解説したリーフレットを作成し公開しております。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001811421.pdf
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 の第3回資料(令和6年5月10日開催)を公表しております。
資料4「論点案について」の中から一般健康診断の検査項目等の論点案について、抜粋してご紹介します。
○女性の健康に関する事項
・更年期、月経困難症に係る問診について
・他、女性の就業率向上に着目した検査項目について
○現行の健診項目等について
○その他労働者の健康確保に必要な健診項目について
※他の法令に基づく健診・検診の項目については検討対象
一般健康診断の検査項目についてどのような見直しが行われるのか今後の動向に注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では7月1日から1週間、「全国安全週間」を実施します。
令和6年度の「全国安全週間」スローガンは、「危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全」です。
全国安全週間は、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的としています。
厚生労働省では、7月1日(月)から7日(日)までを「全国安全週間」、6月1日(土)から30日(日)までを準備期間として、各職場における巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、さまざまな取組を実施します。
詳細は、以下よりご確認ください。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、「ストレスチェック制度について」に「ストレスチェック実施後の案内リーフレット」を追加しました。
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」に記載されている具体例・様式例を参考に、ストレスチェック個人結果を返却する際等に併せて配布するなど事業者が活用できるリーフレットです。
以下2種類のリーフレットが掲載されております。
●セルフケアのポイント
・セルフケアとは
・セルフケアの基本
・セルフケアの目標
・うつ病のサイン~自分で気づく変化
●相談窓口のご案内
・高ストレスと判定された方へ
・ストレスチェックを受検したすべての方へ
PNG画像データをWordやPPTに貼り付けて、社内窓口等追記の上、活用できるようになっております。
詳細は、以下よりご確認ください。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」と「地域産業保健センター(地さんぽ)」の案内動画を公開しております。
この度、案内動画が新しいものに更新されました。
〇産業保健総合支援センター(さんぽセンター)
全国47都道府県の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)では、経験豊富な専門スタッフが、産業医、衛生管理者、産業看護職、人事労務担当者等の産業保健関係者の皆様へ、メンタルヘルス対策をはじめとする産業保健に関する相談、研修、情報提供等の支援を原則として無料で行っています。
詳細は、以下よりご確認ください。
〇地域産業保健センター(地さんぽ)
おおむね監督署管轄区域に設置されている、地域産業保健センター(地さんぽ)では、労働者数50人未満の小規模事業者やそこで働く方を対象として、労働安全衛生法で定められた保健指導などの産業保健サービスを無料で提供しています。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和6年度の労災保険率について(令和6年度から変更されます)の案内を掲載しております。
令和6年度の労災保険率、特別加入保険料率及び労務費率は以下のとおり変更されます。
・労災保険料率表(令和6年度~)
https://www.mhlw.go.jp/content/rousaihokenritu_r05.pdf
・特別加入保険料率表(令和6年4月1日~)
https://www.mhlw.go.jp/content/tokubetsukanyuuhokenryouritsu_R0504.pdf
労務費率表(令和6年度~)
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年12月26日に開催された「第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公開しております。
資料の中から、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」をご紹介させていただきます。
以下の改正について記載されております。
1. 労災保険率(船舶所有者の事業に係るものを除く。)を別添1のとおり改正すること。
2. 船舶所有者の事業に係る労災保険率を、1000分の42とすること。
3. 第二種特別加入保険料率を別添2のとおり改正すること。
4. 労務費率(請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり請負金額に乗ずる率をいう。)別添3のとおり改正すること。
施行期日は、令和6年4月1日です。
上記の内、労災保険料率等の改定について、以下3つの改定案について概要をご紹介します。
(1)労災保険率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
◆激変緩和措置について
令和6年度労災保険率の改定に当たっては、次のとおりの激 変緩和措置を講じる。
①労災保険率の引上幅の上限は、1/1,000とする。
※ 労災保険率が10/1,000未満の場合は最小設定単位である0.5/1,000とする。
②労災保険率の算定結果(激変緩和措置前)が、現行の労災保険率より高い場合であっても、業務災害の発生度合いが下がっている場合は据え置きとする。
③従来の②の対象とならない場合であっても、業務災害が下がっているにもかかわらず賃金が大きく減少することによって労災保険率の算定結果(激変緩和措置前)が現行料率より高くなった場合は新型コロナウイルス感染症による影響を考慮して据え置きとする。
◆激変緩和措置を講じる業種
令和6年度労災保険率改定で、激変緩和措置を講じるのは18業種(うち、②により13業種、③により4業種の労災保険率が据え置き)。
(2)特別加入保険料率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
(3)労務比率の改定案
(出典:第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年11月20日に開催された「第109回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料を公開しております。
今回、 特別加入制度の対象範囲の拡大についての資料が掲載されておりますので、一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
◆論点1(加入対象業務と保険料率の設定)について
新たな対象業務とそれに係る保険料率は、以下のようにしてはどうか。
(1)新たな対象業務(以下「特定受託業務」という。)として、以下を追加する。 ・フリーランス法に規定する特定受託事業者が、業務委託事業者から業務委託を受けて行う業務(特定受託事業者が、業務委託事業者以外の者から同種の業務について物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供の委託を受けて行う業務を含む。)
(2)特定受託業務には、既存の特別加入の業務は含まないこととする。
(3)労災保険料率については、特定受託業務に類似する既存の事業の料率はおおむね3/1000となっていること、制度を簡明なものとすることによる利便性の確保等を勘案し、一律3/1000とする。なお、施行後、特定受託業務に係る災害発生状況を踏まえ、必要に応じて一 部の業務を切り出して別の保険料率を設定すること等も検討する。
◆論点2(特別加入団体の在り方)について
特定受託業務に係る特別加入団体の要件は以下のようにしてはどうか。
1.特別加入団体の要件については、既存の特別加入団体の要件に加えて、以下の要件を追加する。
① 特別加入団体になろうとする者(その母体となる団体を含む。)が、特定の業種に関わらないフリーランス全般の支援のための活動の実績を有していること。
② 全国を単位として特別加入事業を実施すること。その際には、都道府県ごとに加入希望者が訪問可能な事務所を設けること。
③ 加入者等に対し、加入、脱退、災害発生時の労災給付請求等の各種支援を行うこと。
④ 加入者に、適切に災害防止のための教育を行い、その結果を厚生労働省に報告すること。
◆論点3(災害防止措置の内容)について
災害防止措置の内容は、以下のようにしてはどうか。
1.フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通する災害防止教育についてパッケージ化し、加入者教育を実施する。
なお、上記のようなパッケージのカリキュラムの内容や教材については、当面の間、厚生労働省が関与して作成し、それを活用して特別加入団体が加入者に向けて災害防止教育を実施することとする。
その他、詳細は以下よりご確認ください。
厚生労働省は、令和5年10月13日に「令和5年版 過労死等防止対策白書」を公表しております。
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。8回目となる今回の白書の主な内容は以下のとおりです。
「令和5年版 過労死等防止対策白書」の主な内容
1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月30日閣議決定)」に基づく調査分析として、睡眠の不足感が大きいと疲労の持ちこし頻度が高くなり、うつ傾向・不安を悪化させ、主観的幸福感も低くなる傾向があること、芸術・芸能分野における働き方の実態、メディア業界や教職員の労災事案の分析結果等について報告。
2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和4年度の取組を中心とした労働行政機関等の施策の状況について詳細に報告。
3.企業や自治体における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策、産業医の視点による過重労働防止の課題など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
白書の中から一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
1.労働時間等の状況
・一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、令和4年の一般労働者の総実労働時間は 4年連続で2,000時間を下回って1,948時間となり、またパートタイム労働者の総実労働時間は4年連続で1,000時間を下回って955時間となった。
・主要産業別にみると、「運輸業,郵便業」、「建設業」、「製造業」及び「情報通信業」の労働時間が全産業平均よりも長くなっている。
・「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において数値目標の対象とされている、月末1週間の就業時間が40時間以上である雇用者のうち、その就業時間が60時間以上である雇用者の割合をみると、平成15年をピークとして、長期的には緩やかな減少傾向を示しており、令和4年は8.9%と3年連続で10%を下回った。なお、大綱において、令和7年までに、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としている。
・月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合を業種別にみると、令和4年は、「運 輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「建設業」の順にその割合が高く、「複合サービス事業」、「医療,福祉」、「電気・ガス・熱供給・水道業」の順にその割合が低い(ただし「鉱業,採石業,砂利採取業」を除く。)。
・年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合をみると、平成31年から令和2年にかけ て大きく増加し、令和4年は調査産業全体で43.1%と前年より3.1ポイントの減少となった。 また、企業規模別にみると、おおむね規模が大きいほど年次有給休暇の計画的付与制度があ る企業の割合が高い傾向で推移している。
・勤務間インターバル制度について、制度を導入している企業(就業規則又は労使協定等で定めているもの)の割合は、令和4年で5.8%と前年の4.6%から1.2 ポイントの増加となった。一方、「制度を知らない」 と回答した企業は全体で 17.1%であった。
制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の産業別割合をみると、「建設業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「運輸業,郵便業」の順に高く、「金融業,保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「学術研究,専門・技術サ ービス業」の順に低い。
2.職場におけるメンタルヘルス対策の状況
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和4年は 63.4%となっている。 また、事業所の規模別にみると、50人以上の事業所はおおむね90%を超える割合となってい る一方、10人~29人の事業所は 55.7%となっている。
・メンタルヘルス対策の取組内容をみると、「ストレスチェックの実施」(63.1%)が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)となっている。
・職場のハラスメントの問題については、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじ め・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で11年連続最多となるなど、社会問題として顕在化 している。
具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を令和4 年度に延べ316,815件受け付けており、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する 相談件数は、69,932件(22.1%)を占めている。
3.自殺の状況
・我が国の自殺者数は、平成10年以降14年間連続して3万人を超えていたが、平成22年以降は減少傾向にある。しかしながら、令和4年は21,881人と前年より874人の増加となった。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を原因・動機の詳細別にみると、令和4年は、「職場の人間関係」(26.5%)、「仕事疲れ」(24.4%)、「職場環境の変化」(19.8%)、「仕事の失敗」(11.8%)の順となっている。なお、「職場の人間関係」のうち219人(全体の7.4%)は「職場の人間関係(上司とのトラブル)」、また、「仕事疲れ」のうち144人(全体の4.9%)は「仕事疲れ(長時間労働)」である。
・勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を年齢層別にみると、令和4年は、「40 ~49歳」(27.5%)、「50~59歳」(25.1%)、「30~39歳」(18.2%)、「20~29 歳」(17.4%)の順となっている。
第2章 過労死等の現状
1.過労死等に係る労災補償の状況
(1)脳・心臓疾患の労災補償状況
・業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症したとする労災請求件数は、平成 14 年度に800件を超えて以降、700件台から900件台前半の間で推移しており、令和4年度は 803件で、前年度より50件の増加となった。労災支給決定(認定)件数は、平成14年度に300件を超えて、平成19年度に392件に至ったが、近年は減少傾向にあったところ、令和4年度は194件で、前年度より22件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「運輸業,郵便業」172件(21.4%)、「卸売業,小売業」116件(14.4%)、「サービス業(他に分類されないもの)」111 件(13.8%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「運輸業,郵便業」56 件(28.9%)、「建設業」30件(15.5%)、「卸売業,小売業」26件(13.4%)の順に多くなっており、前年度に引き続き、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多となっている。
・時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数をみると、まず評価期間が1か月の場合、 「100 時間以上~120 時間未満」25 件(12.9%)、「80 時間以上~100 時間未満」15 件(7.7%)、「120 時間以上~140 時間未満」9件(4.6%)の順に多くなっている。
次に評価期間が2~6か月における1か月平均の場合、「60時間以上~80時間未満」45 件(23.2%)、「80時間以上~100時間未満」34 件(17.5%)、「100時間以上~120時間未満」18 件(9.3%)の順に多 くなっている。
(2)精神障害の労災補償状況
・業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、増加傾向にあり、令和4年度は2,683件で、前年度より337件の増加となっている。労災支給決定(認定)件数は、平成24年度以降500件前後で推移していたところ、令和2年度に600件を超え、令和4年度は710件となり、前年度より81件の増加となっている。
・業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「医療,福祉」624件(23.3%)、「製造業」392件(14.6%)、「卸売業,小売業」383件(14.3%)の順で多く、労災支給決定(認定)件 数は「医療,福祉」164件(23.1%)、「製造業」104件(14.6%)、「卸売業,小売業」100件(14.1%)の順に多くなっており、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「医療,福祉」が最多となっている。
・時間外労働時間別(1か月平均)の労災支給決定(認定)件数では、「その他」を除くと「20時間未満」が87件(12.3%)で最も多く、次に「100時間以上~120時間未満」が45件(6.3%) であった。
・出来事別の労災支給決定(認定)件数では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパ ワーハラスメントを受けた」147 件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89 件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78 件の順に多くなっている。
その他、第3章では、過労死等をめぐる調査・分析結果として、今回、(3)メディア業界の労災支給決定(認定)事案の分析、(4)教育・学習支援業の労災支給決定(認定)事案の分析が掲載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。
本件についての概要が掲載されております。
実施期間 令和5年11月1日(水)から11月30日(木)までの1か月間
◆主な実施事項
(1)労使の主体的な取組を促す
(2)労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換を実施
(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施
(4)過重労働相談受付集中期間に、「過重労働解消相談ダイヤル」を実施
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施
(6)過重労働解消のためのセミナーを開催
上記の中から「(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施」についての内容をご紹介します。
ア 監督の対象とする事業場等
以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。
i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
ii 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等
イ 重点的に確認する事項
i 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
ii 賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。
iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。
iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導します。
ウ 厳正な対応
監督指導の結果、 重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検し、公表します。
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
厚生労働省は、第108回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会の資料を公開しております。
今回、「特別加入制度の対象範囲の拡大について」の資料をご紹介します。
フリーランスについては、フリーランス法案の国会審議における附帯決議や、その後の閣議決定において、特別加入の対象拡大に向けて取り組むことが求められています。
検討課題として以下のような内容があげられております。
〇加入対象業務と保険料率の設定
1. フリーランス法における特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託業務」という。)を労災保険の特別加入の対象とすることについてどう考えるか。
・「フリーランス実態調査結果」によれば、フリーランスとして営業や講師、調査・研究等に従事する者が一定数見込まれ、当該者は労働者と同様の業務を行っていること、また当該業務に係る労働者との危険性に差がないことが想定される。
・また、特定受託業務について、業務の内容は広範にわたるものの、その業務の内容はフリーランス法の規定に基づき、特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託を受けて行う物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供に限られ、また当該業務委託に係る業務の内容等については、フリーランス法に基づき書面等により明示されることが義務付けられることとなる。
2. 仮に、特定受託業務を新たに特別加入の対象とする場合、ITフリーランスなど既に特別加入の対象となっている業務との関係をどのように考えるか。
・今回の業務の追加により、既存の特別加入に係る業務と特定受託業務のいずれにも該当する場合も想定されるが、その場合、同一の業務について異なる料率が設定され、災害率や就業形態ごとに料率を設定する趣旨に反することも想定されるほか、いずれに加入するかを就業者が選択できることとすると、料率の低い業務に特別加入者が流れてしまうことも考えられる。
3. 併せて、特定受託業務の保険料率をどのように設定するか。
・フリーランスは広範な業務が想定されるが、「フリーランス実態調査結果」によれば、既存の特別加入に含まれる可能性が高いと思われる事業又は作業を除くと、営業、講師・インストラクター、その他(専門業務関連)、デザイン制作・コンテンツ制作、調査・研究・コンサルティング、その他(生活関連サービス)、データ入力・文書入力等、ライティング・記事等執筆業務が主に想定される。
・今回の特定受託業務に該当することが想定される業務に類似する既存の事業の種類は、その多くが「94その他の各種事業」に該当し、その料率は3/1000となっている。
〇災害防止措置の内容
これまで特別加入の対象となってきた業務とは異なり、業務の態様が多岐にわたる様々なフリーランスを特別加入の対象とする場合、特別加入団体が実施すべき災害防止措置の内容をどのように考えるか。
・これまでの既存業種の特別加入とは異なり、作業の態様が様々なフリーランスの特別加入者への災害防止措置の内容をどのようなものとするかが課題となる。
・フリーランスの個々の業態・業種に着目して、災害防止教育のカリキュラムを設定することは難しいことから、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通的な災害防止教育の内容をパッケージ化して、加入者教育を実施すること等が考えられる。
今後の動向に注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、事業者の皆様に改めて徹底していただくことを促すため、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、集中的・重点的に啓発を行っています。
1.健康診断及び事後措置の実施の徹底
健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置の実施は、全て労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
特に小規模事業場での実施率が低くなっています。事業場の規模にかかわらず、労働者の健康管理を適切に講ずるため、事後措置の実施まで徹底してください。
2.医療保険者との連携
医療保険者から健康診断の結果を求められた際の提供にご協力ください。
制度間の健診の重複を避け、これらの取組が着実に進められるよう、保険者から労働者の健 康診断結果を求められた場合は、その写しを提供することが事業者に義務づけられていますので、健康診断結果の提供への協力をよろしくお願いします。
※法律に基づく提供の場合は、第三者提供に係る本人同意は不要です。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、「心理的負荷による精神障害の認定基準案」に関して、パブリックコメントによる意見募集を行っております。
心理的負荷による精神障害の認定基準案の概要は以下の通りです。
第2 内容
1 業務による心理的負荷の評価
(1)業務による心理的負荷評価表について、社会情勢の変化を反映して項目を追加しつつ細分化された項目を一定程度統合する、総合評価の視点及び強度ごとの具体例を拡充する等の観点から、別紙のとおり改める。
(2)複数の出来事の評価に当たっての考慮要素等について、報告書に沿って、明確化・具体化を図る。
2 精神障害の悪化の業務起因性
既存の精神障害が悪化した場合について、報告書に沿って、「特別な出来事がなくとも、悪化の前に業務による強い心理的負荷が認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の 症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認める」ことを示す。
3 医学意見の収集方法
報告書に沿って、次のとおり医学意見の収集方法の効率化を図る。
(1)業務による心理的負荷が「強」に該当することが明らかな事案であって、業務以外の心理的負荷や個体側要因が顕著なものでない事案については、専門医意見を求めることなく主治医意見により判断できることとする。
(2)出来事の心理的負荷の強度が明らかではない事案や精神障害の受診歴 のない自殺事案等について、専門部会意見による判断を求めることなく専門医意見により判断できることとする。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」は、精神障害の労災認定の基準に関する報告書を取りまとめ公表しております。
この報告書は、近年の社会情勢の変化等を踏まえ、認定基準全般について検討を行い、取りまとめたものです。
この報告書を受け、速やかに精神障害の労災認定基準が改正される予定です。
〇報告書のポイント
◆業務による心理的負荷評価表の見直し
・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
◆精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
◆医学意見の収集方法を効率化
・専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるよう変更
詳細は、以下よりご確認ください。