厚生労働省は、第54回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の資料を公開しております。
資料として、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策及び令和4年度第2次補正予算案について(雇用環境・均等局関係)」が掲載されております。
資料より一部抜粋してご紹介させていただきます。
Ⅰ . 物価高騰・賃上げへの取組
○継続的な賃上げの促進
・業務改善助成金の拡充(事業場内最低賃金引上げのための助成)
・同一労働同一賃金の徹底に向けた労働局と労働基準監督署の連携等
Ⅲ . 新しい資本主義実現の加速
○人への投資の強化と労働移動の円滑化
・キャリアアップ助成金による非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の推進
・より高い賃金で新たに人を雇い入れる企業への支援の拡充
・働く人が自らの意思でリスキリングに取り組み、キャリアを形成していくことを支援する企業への助成率引上げなど、労働者のリスキリングへの支援強化
・デジタル推進人材の育成強化
・雇用調整助成金の特例措置等の段階的な縮減
・雇用保険財政の安定化
・介護等の職員の待遇改善に向けた見える化や業務効率化、負担軽減の推進等
○医療・介護分野のDXの推進
・マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた取組(オンライン資格確認の用途拡大等の推進)
○こども・子育て支援・女性活躍
・妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援(妊娠届出時・ 出生届出時を通じて計10万円相当)を一体として実施する事業の創設、継続的な実施
・令和5年度当初予算における出産育児一時金の大幅な増額
○その他
・個人型確定拠出年金(iDeCo)制度の改革 等
Ⅳ . 防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など国民の安全・安心の確保
○小学校等臨時休業等への対応
・小学校休業等対応助成金・支援金について、感染状況等を踏まえ適切に対応
以上の中で、同一労働同一賃金の徹底に向けた労働局と労働基準監督署の連携等に関しての施策のスキーム図、実施要件についての資料がございました。
新たに、監督官を増員して、都道府県労働局の雇用環境・均等部と労基署が連携して、パート・有期雇用労働法に基づく是正指導の実効性の強化等が図られるようですね。
中小企業では、まだまだ、同一労働同一賃金の対応ができていない会社はたくさんあると思います。対象企業の選定がどのように行われるのか不明ですが、今後の動向に注目していきたいと思います。
資料等は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金について、「労使協定方式に関するQ&A(第6集)」 、「賃金比較ツール(令和4年度適用版)」を更新し、「賃金比較ツール(令和5年度適用版)」を公開しました。
今回、新たに以下のQ&Aが追加されました。
問1-3 令和2年10月21日付け「労使協定方式に関するQ&A【第3集】」の問1-1において、今年度適用の一般賃金の額が前年度適用の一般賃金の額より下がった場合であっても、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは派遣法や労働契約法上の観点から問題となり得ることとなっているが、今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者についても同様の対応をする必要があるのか。
答 令和2年10月21日付け「労使協定方式に関するQ&A【第3集】」の問1-1は、前年度の賃金の額と比較をした上で、現在雇用している協定対象派遣労働者の賃金の額を現行の金額から引き下げる場合についての回答を記載しているものである。
したがって、今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者については、協定賃金が当該年度に適用されている一般賃金の額と同等以上の額となっていれば、派遣法や労働契約法上、直ちに問題となるものではないが、既存の協定対象派遣労働者について前年度から賃金額を引き下げることは、待遇改善を目的とした派遣法の趣旨や労働条件の不利益変更との関係で問題となり得るものあること。
問4-8 いわゆる「選択制DC制度」を導入している場合、その掛金については「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」の掛金として取り扱ってもよいか。
答 いわゆる「選択制DC制度」は、従業員が一定額を企業型確定拠出年金の事業主掛金として充当するか、賃金として受け取るかについて、自らの意思で選択できる制度である。企業型確定拠出年金の事業主掛金として充当する場合は、事業主から拠出されることとなるため、「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」の掛金として取り扱って差し支えないが、一方で、当該掛金部分は賃金とはみなされないため、実際に賃金として支給される額を用いて一般基本給・賞与等と比較する必要があることに留意されたい。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金について、派遣元事業主及び派遣先が自主的に点検できるよう、「派遣労働者の待遇改善に係る自主点検表」を作成し公表しております。
令和4年10月6日に、以下の自主点検表が更新されました。(派遣先用の更新はありません。)
・派遣先均等・均衡方式(自主点検表)(PDF形式)
・派遣先均等・均衡方式(自主点検表)Word版(Word形式)
・労使協定方式(自主点検表)(PDF形式)
・労使協定方式(自主点検表)Word版(Word形式)
※本点検表は、今後も必要な改訂・改善等を図っていく予定です。
※本点検表は、原則回収を求めるものではありません。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金について、「労使協定方式に関するQ&A(第6集)」を公表しております。
今回、以下のような内容で構成されております。
1.労使協定の締結
問1-1~問1-2
2.基本給・賞与・手当等
問2-1~問2-5
4.退職金
問4-1~問4-7
6.賃金の改善(法第 30 条の4第1項第2号ロ)
問6-1~問6-2
一例として、以下のようなQ&Aが掲載されております。
問2-3:賞与について、「協定対象派遣労働者に支給される見込み額の平均額」で待遇を確保したいと考えているが、新卒1年目の者については、最初の3か月は試用期間であるため、その分、賞与の額が低くなっている。
そのような者について、最初の3か月も試用期間ではないと仮定して、賞与額の見込み額を計算することは可能か。
答:協定対象派遣労働者の賞与が実態より高く算出され、待遇引き下げの可能性が生じるため、法の趣旨に反するものであり、認められない。なお、その他の賃金の取扱いも同様の考え方である。
問4-3:派遣元A社では、労使協定方式により退職金に関しては退職金前払いの方法(一般労働者の賃金水準に6%上乗せ)を検討している。退職金前払いの方式を採用する場合、支給対象者を全ての協定対象派遣労働者ではなく、下記の者を除く協定対象派遣労働者とすることは可能か。
1.学生のアルバイト
2.当初から3か月の短期間の雇用を希望している者
3.産休代替等により雇用する者(派遣先の労働者が産前産後・育児休業を取得する場合における当該労働者の業務について、派遣する者)
答:1~3の者を一般退職金の支給の対象から除くことは認められない。
なお、選択肢2(一般基本給・賞与等の6%を上乗せ)も含め、協定対象派遣労働者の退職金の算定については、個々の派遣労働者による比較は必ずしも要せず、「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」等で、一般退職金と同等以上であれば差し支えない(また、1~3の者 について、合算の方法により一般賃金と同等以上とすることも可能である)。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000980439.pdf
厚生労働省は、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和5年度適用)」を公表しました。
労働者派遣法により、派遣元事業主は、派遣労働者の公正な待遇を確保するため、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇を確保しなければならないとされております。
労使協定方式においては、派遣労働者の賃金の決定方法を労使協定により定めることとされており、その際、「派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること」等の要件を満たすことが必要とされております。
以下、資料より一部抜粋してご紹介します。
【一般賃金の取扱い】
※( )は令和4年度
1. 基本給・賞与・手当等
②能力・経験調整指数
0年 100.0
1年 116.2(114.3)
2年 125.6(123.9)
3年 129.1(128.8)
5年 138.1(134.5)
10年 151.2(151.1)
20年 191.4(188.6)
2. 通勤手当
一般通勤手当:71円(71円)
3. 退職金
一般退職金の割合:5%(6%)
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000980724.pdf
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、
1 「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、
2 「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されました。
このうち、2「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。
労使協定のイメージが令和4年2月2日公表版が厚生労働省のホームページに掲載されております。
詳細は、以下をご確認ください。
派遣労働者の同一労働同一賃金について、「労使協定方式に関するQ&A(第5集)」が公開されております。(令和3年 12 月 24 日公表)
今回、以下のQ&Aが追加されております。
1.労使協定の締結
問1-1 局長通達の適用日が4月1日からとなっている場合、以下の事例において、4月25日支払い(3月16日起算、4月15日締め)に係る賃金を有効期間が適用日の前日(3月31日)までの労使協定及び既に締結されている雇用契約に則った支払いは可能か。
問1-2 令和元年8月19日付け「労使協定方式に関するQ&A」の問1-8において、労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合において、派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上である場合には、派遣元事業主は同等以上の額であることを確認した旨の書面(以下、「確認書」という。)を労使協定に添付することとなっているが、一般賃金の額の変更に伴 い、協定対象派遣労働者の賃金額を算出し直す必要がある場合においても、算出し直した賃 金額が、一般賃金の額と同等以上であるときは、労使協定を締結し直すことなく、確認書による対応のみで問題無いか。
2.基本給・賞与・手当等
問2-1 「職種別の賃金×地域指数が最低賃金額を下回っている場合、地域別最低賃金額を「基準値 (0 年)」とした上で、当該額に能力・経験調整指数を乗じたものと同等以上としなければならない」とされているが、当該額に能力・経験調整指数を乗じた金額に1円未満の端数が生 じた場合、端数は四捨五入でよいか。
問2-2 賃金構造基本統計調査において、令和3年度では基準値が表記されていた職種のうち、令和4年度においては「サンプルサイズに満たない」として基準値が表記されていないものが複数あるが、この場合、次回の労使協定でどの賃金水準を参考にすればよいか。
3.退職金
問3-1 65歳を定年退職の年齢としており、退職金は当該定年退職時点で支給するが、その退職金の額は60歳時点で定める仕組みの退職金制度となっている。労使協定により、派遣労働者にもこの退職金制度を適用し、局長通達第3の3(1)「退職手当制度で比較する場合」を選択 する場合、60歳から65歳までの期間においても一般退職金と同等以上と考えてよいか。
4.公正な評価(法第30条の4第1項第3号)
問4-1 法第30条の4第1項第3号において、派遣労働者の賃金を決定するにあたっては、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価することとなっているが、それは全ての賃金の決定が対象となるのか。
詳細は、以下をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000872372.pdf
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、中小企業向けに「同一労働同一賃金」を分かりやすく解説したガイドブック「同一労働同一賃金まるわかりBOOK」を公開しております。
厚生労働省のガイドラインや2020年10月に出された最高裁判所の判決も踏まえながら、企業がとるべき具体的な対応策を各待遇・手当ごとに整理して、分かりやすく解説しています。
目次は以下の通りです。
①同一労働同一賃金の概要
・同一労働同一賃金とは
・同一労働同一賃金の基本的な考え方
・「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」、「その他の事情」とは?
・同一労働同一賃金の適用範囲
・同一労働同一賃金ガイドラインの内容
・待遇差の説明義務
・同一労働同一賃金の施行に向けた対応手順
②ガイドラインと裁判例を踏まえた各待遇の対応
(省略)
③公的な支援策
・助成金制度
・支援ツール
・相談窓口
詳細は、以下をご確認ください。