厚生労働省が令和7年1月24日に、労働政策審議会に諮問した「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会雇用環境・均等分科会と安全衛生分科会で審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に対して、「厚生労働省案は、妥当と認める」との答申が行われました。今後は、厚生労働省により、この答申を踏まえて法律案が作成され、今通常国会に提出される予定です。
〇法律案要綱の概要(下線は筆者加筆)
第一 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正
一 職場における労働者の就業環境を害する言動に関する規範意識を醸成するための国による啓発活動
二 治療と就業の両立支援対策
1 事業主は、疾病、負傷その他の理由により治療を受ける労働者について、就業によって疾病、負傷の症状が増悪すること等を防止し、治療と就業を両立することを支援するため、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること
2 厚生労働大臣は、1の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を定め、これを公表するものとすること。
三 職場における顧客等の言動に起因する問題に関して事業主が講ずべき措置等
1 事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(以下四の5において「顧客等」という。)の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないものとすること。
2 事業主は、労働者が1の相談を行ったこと又は当該事業主による1の相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
3 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる1の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならないものとすること。
4 厚生労働大臣は、1から3までの事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとすること。
四 職場における顧客等の言動に起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務
2 事業主は、顧客等言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる1の措置に協力するように努めなければならないものとすること。
3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、顧客等言動問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければ ならないものとすること。
第二 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部改正
一 求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して事業主が講ずべき措置等
1 事業主は、求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下この一及び二において「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下この一において「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、当該求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないものとすること。
2 事業主は、労働者が当該事業主による求職者等からの1の相談への対応に協力した際に事実を述べ たことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとするこ と。
3 厚生労働大臣は、1及び2の事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとすること。
二 求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務
2 事業主は、求職活動等における性的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が求職者等に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる1の措置に協力するように努めなければならないものとすること。
3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、求職活動等における性的言動問題に対する関心と理解を深め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならないものとすること。
三 男女雇用機会均等推進者
事業主が選任する職場における男女の均等な機会及び待遇の確保が図られるようにするために講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者の業務として、事業主の講ずる一の1及び二の2の措置等を加えるものとすること。
第三 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の一部改正
一 基本原則
女性の職業生活における活躍の推進に当たり配慮すべき事項として、女性の健康上の特性を加えるものとすること。
二 基本方針
女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針において定める事項として、職場において行われる就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な措置に関する事項を加えるものとすること。
三 基準に適合する認定一般事業主の認定の基準
基準に適合する認定一般事業主の認定の基準として、事業主が講じている第二の一の1の措置に関する情報を公表していることを加えるものとすること。
四 女性の職業選択に資する情報の公表の義務の適用拡大等
1 一般事業主(国及び地方公共団体以外の事業主であって、常時雇用する労働者の数が百人を超えるものに限る。)が、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関して定期的に公表すべき情報に、その雇用する労働者の男女の賃金の差異及びその雇用する管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合を加えるものとすること。
五 期限の延長
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の有効期限を十年間延長し、令和十八年三月三十一日までとすること。
第四 施行期日等
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、次に掲げる事項は、次に定める日から施行することとすること。
1 第一の一並びに第三の一、二及び五 公布の日
2 第一の二及び第三の四 令和八年四月一日
詳細は、以下よりご確認ください。
経団連は、ハラスメント防止対策 に関するアンケート調査結果を公表しております。
この調査は、経団連会員企業1621社(2024年8月7日時点)に対して、2024年8月7日~9月6日にかけて行われたものです。(回答企業数/回答率:222社/13.7%)
〇顧客・取引先等からのハラスメント(カスタマーハラスメント)への防止対策の状況
・カスタマーハラスメントについて、4割超(43.2%)の企業が積極的に対策を推進している
・「対策が必要と認識」している企業は3割弱(27.5%)
〇カスタマーハラスメント防止対策の取組み
・「⑦従業員を対象とした相談窓 口の設置」(73.3%)が最も多く、これに「③社内向けの対応マニュアルの策定」(61.7%)、「⑯ 顧問弁護士や警察等との連携」(60.0%)、「⑤カスハラ発生時の社内体制の構築」(58.3%)が 続いている
〇カスタマーハラスメントへの対応にあたり、苦慮していること
・カスハラと一般的なクレームの線引きや判断基準の策定・運用することが困難
・顧客という関係性があるため、強く指摘ができない。また情報収集も顧客側にはしづらく、判断が曖昧になる
・カスハラに対し毅然とした対応を行う基準を策定した場合、従業員に誤った伝わり方をすれば、「自身の行為の正当化」や「カスハラ撲滅ムードへ悪質な便乗」の発生リスクがある
・カスハラを受けた従業員のケア(実際にカスハラを受けた社員が退職したケースもある)
・SNS等で拡散されてしまうリスクがある など
〇カスタマーハラスメント防止対策に関する政府への要望
・カスハラに関する法制面の整備
・カスハラの定義および判断基準の明確化、浸透
・厚生労働省のマニュアル等ガイドラインは認識しているが、BtoCの事例を主としている。 BtoB型カスハラの事例や判断基準も必要
・SNS等への根拠のない情報流布に対し、発信元を公表することの義務化 など
〇就活等ハラスメントの防止対策の状況
・就活等ハラスメントについて、約6割(59.9%)が積極的に取組みを推進している
・「対策が必要と認識」している企業は約2割(20.7%)
〇就職活動中の者(学生や経験者採用応募者等)を対象に実施している取組み
・「②リクルーターや採用担当者等を対象とする面談時等のルールの策定」(73.6%) が最も多く、これに「⑦リクルーターや採用担当者等向けの研修の実施」(69.1%)、「③ハラスメ ント行為者に対する処罰の明確化」(45.5%)が続いている
〇インターンシップ中の者を対象に実施している取組み
・「②イン ターンシップ受入れ部署の担当者等を対象とするルールの策定」(60.2%)が最も多く、これに 「⑦インターンシップ受入れ部署の担当者等向けの研修の実施」(58.2%)、「③ハラスメント行為者に対する処罰の明確化」(42.9%)が続いている
〇自爆営業防止に関する取組みの状況
・自爆営業防止について、約2割(19.8%)の企業が積極的に取組みを推進
・「取組みが必要と認識」している企業は約1割(13.1%)
詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/005.pdf
東京都は、令和6年12月19日、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)第11条第1項及び第2項の規定に基づき、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)を策定しました。
指針(ガイドライン)では、カスタマー・ハラスメントの内容に関する事項、顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項、都の施策に関する事項、事業者の取組に関する事項その他カスタマー・ハラスメントを防止するために必要な事項について定めています。
ガイドラインは、以下の内容で構成されております。
① カスタマー・ハラスメントの内容に関する事項
・カスタマー・ハラスメントの禁止
・カスタマー・ハラスメントに関連する用語の定義
・カスタマー・ハラスメントの代表的な行為類型
・顧客等への配慮
②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
・顧客等、就業者、事業者の責務
③ 都の施策に関する事項
・都の責務
・施策の推進
・施策の推進プロセス
④事業者の取組に関する事項
⑤その他 カスタマー・ハラスメントを防止するために必要な事項
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 第14条により、「事業者は、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置として、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラ スメント防止のための手引の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」とされております。
事業者の取組に関する事項としては、以下の13個の措置が記載されております。
1.カスタマー・ハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
カスタマー・ハラスメント対策に関する基本方針や基本姿勢を明確にした上で就業者及び外部に周知する。
2.カスタマー・ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
自社の就業者がカスタマー・ハラスメントを行わないとの方針を明確にした上で就業者に周知する。
3.相談窓口の設置
カスタマー・ハラスメントを受けた就業者が相談できる窓口をあらかじめ決めた上で、就業者へ広く周知する。
4.適切な相談対応の実施
相談窓口担当者が、就業者から受けた相談内容や状況に応じて、適切に対応できるようにする。
5.相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
カスタマー・ハラスメントの相談をする就業者のプライバシーを保護する措置を講じて就業者に周知する。
6.相談を理由とした不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め周知
カスタマー・ハラスメントの相談をもって不利益を受けない旨を明確にした上で就業者に周知する。
7.現場での初期対応の方法や手順の作成
カスタマー・ハラスメントが発生した際を想定し、現場での初期対応の方法、手順を作成しておく。
8.内部手続(報告・相談、指示・助言)の方法や手順の作成
本社・本部との連携が必要な場合、内部手続(報告・相談、指示・助言)の方法、手順を作成しておく。
9.事実関係の正確な確認と事案への対応
カスタマー・ハラスメントと思われる事案が発生した場合、事実関係の正確な確認と事案への対応を行う。
10.就業者の安全の確保
カスタマー・ハラスメントを受けた就業者の安全を確保する。
11.就業者の精神面及び身体面への配慮
カスタマー・ハラスメントを受けた就業者の精神面及び身体面のケアなどに取り組む。
12.就業者への教育・研修等
顧客等からの迷惑行為や悪質なクレーム等への具体的な対応について、就業者への教育や研修等を実施する。
13.カスタマー・ハラスメントの再発防止に向けた取組
カスタマー・ハラスメントの再発防止のため、定期的な取組の見直しや改善を行い、継続的に取組を行う。
ガイドラインに、上記措置内容に関して、対応例や対応のポイントが解説されています。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省の労働政策審議会は、昨年9月から、同審議会の雇用環境・均等分科会において、7回にわたり議論を重ねてきた結果、昨年12月26日に、厚生労働大臣に対し、女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について建議を行いました。
その内容について、以前のブログで、「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(案)をご紹介した際に、ハラスメント関連のものには触れましたので、今回は、女性の職業生活における活躍の更なる推進に関して、ご紹介したいと思います。(下線は筆者加筆)
前回の記事は、こちらからご確認ください。
1.女性の職業生活における活躍の更なる推進
⑴.女性活躍推進法の延長
女性活躍推進法については、未だその役割を終えたといえる状況にはなく、引き続き女性の職業生活における活躍を推進するための取組を継続するため、期限を10年間延長した上で、以下に述べる見直しを行うことで実効性の向上を図り、更なる取組の推進を図ることが適当である。
⑵.中小企業における取組の推進
常時雇用する労働者の数が100人以下の企業については、一般事業主行動計画の策定の努力義務を引き続き維持した上で、自主的な取組を促進するため、取組の好事例やメリットの周知を図るほか、企業に対するコンサルティング、支援ツールの提供等、支援策の充実を図ることが適当である。
⑶.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実
① 男女間賃金差異の情報公表の拡大
・男女間賃金差異については、(中略)支援策の充実や事例の共有等を通じて、企業によるこれらの一連の取組を促すとともに、「説明欄」の活用例の充実を図ることなどによりその更なる活用を促していくことが適当である。
・常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の企業においても、男女間賃金差異の情報公表を義務とすることが適当である。
② 女性管理職比率の情報公表の義務化等
・女性管理職比率は、(中略)、①と同様企業に対する必要な支援を行うとともに、その公表を義務とし、女性管理職比率の向上に向けた取組を促していくことが適当である。その際、義務の対象範囲については、一般事業主行動計画の策定が義務付けられている常時雇用する労働者の数が101人以上の企業とすることが適当である。
・女性管理職比率の情報公表に当たって、女性管理職の状況の的確な把握を可能とするため、女性管理職比率について新たに「説明欄」を設けた上で、追加的な情報公表を行うことが可能である旨を示すほか、男女それぞれの労働者数を分母とし、男女それぞれの管理職数を分子とする男女別管理職登用比率を、参考値として記載することが望ましい旨を示すことが適当である。
・女性管理職比率の情報公表を義務とするに当たっては、不適正な計上を防ぐための一層の対策が求められることから、上記の「説明欄」に、厚生労働省 が示している「管理職」の定義に沿うものである旨及び実際に計上している各企業の役職名を明記することが望ましい旨を示すことが適当である。その際、「説明欄」への記載が煩瑣なものとならないような記載方法を示すことが適当である。
③ 情報公表必須項目数
①及び②の見直しを行う場合、常時雇用する労働者の数が301人以上の企業については男女間賃金差異及び女性管理職比率を含め少なくとも4項目の情報公表が義務付けられることとなり、常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の企業については男女間賃金差異及び女性管理職比率を含め少なくとも3項目の情報公表が義務付けられることとなる。
これを踏まえると、いずれの企業規模の企業においても、情報公表しなければならない項目の総数が現在よりも増加することとなることから、現在任意の項目から選択して公表しなければならないとされている情報公表項目の数については、維持することが適当である。
④ 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
女性の職業選択に資することを目的とする情報公表の実効性を高めるとともに、企業の取組を促進する観点から、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業については、情報公表を行うに当たって、「女性の活躍推進企業データベース」を利用することが最も適切であることを示すことが適当である。
⑷.職場における女性の健康支援の推進
・男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康支援の取組を促すことが必要である一方、健康に関してはプライバシー保護が特に求められることも踏まえる必要があることから、以下の考え方に沿って事業主行動計画策定指針を改正することとし、企業が一般事業主行動計画を策定する際に女性の健康支援に資する取組を盛り込むことを促すことが適当である。
ⅰ.状況把握・課題分析や数値目標の設定の対象としてはなじまないことから、これらの対象としては位置づけないこと。
ⅱ.女性の職業生活における活躍の推進に資するものであることから、事業主行動計画策定指針に新たに「女性の健康課題に係る取組例」を示すこととし、職場におけるヘルスリテラシー向上のための取組、休暇制度の充実、女性の健康課題を相談しやすい体制づくり等の取組の具体例を示すこと。その際、性別を問わず使い易い特別休暇制度の整備等、女性だけでなく労働者全体を対象として取り組むことも有効である旨を明記すること。
ⅲ.情報公表の対象としては、現在16項目ある情報公表項目の1つとして位置づけるのではなく、「その他」として事業主が任意に公表することができることとされている、「女性労働者の職業生活に関する機会の提供に資する社内制度の概要」又は「労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する社内制度の概要」として取り扱うこととすること。
⑸.えるぼし認定制度の見直し
① えるぼし認定基準の見直し
現行のえるぼし認定1段階目の要件として、5つの基準のうち該当しない事項について2年以上連続して実績が改善していることを求めることが掲げられているが、この要件が満たせずに1段階目の認定を諦めている企業があると考えられることから、認定制度は実績を評価するものであるということに留意しつつ、当該要件を見直すことが適当である。
② えるぼしプラス(仮称)の創設
⑷.と相まって、職場における女性の健康支援に積極的に取り組む企業のインセンティブとなるよう、くるみん認定制度における不妊治療に関するプラス認定も参考にしつつ、えるぼし認定制度において、女性の健康支援に関するプラス認定の仕組みを設けることが適当である。
その他、詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント基本情報として、「裁判例を見てみよう」というコーナーがございます。
実際に裁判で扱われたハラスメントについて、主にパワハラに関してはその事例の特徴ごとに、「身体的な攻撃」型、「精神的な攻撃」型などのパワハラの6類型に分類しています。その他にも、会社の責任が問われた裁判例、パワハラと認められなかった裁判例やセクハラに関する事例など全部で15の切り口から裁判例を分類して掲載しています。
以下の項目について、チェックを入れて検索できるようになっています。
一例として、「精神的な攻撃」型の裁判例とパワハラをした人だけでなく会社の責任が認められた裁判例にチェックを入れて検索すると、以下のように検索結果が表示されます。
個別の裁判例は、以下のような構成で解説されております。
・結論
・事案の概要
・判決のポイント
・コメント
掲載されている裁判例は、どれも、重要なものばかりです。
コンパクトにまとまっており判例集を読むよりは、わかりやすいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、12月16日に開催された「第78回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」の資料を公開しております。
資料の中から、「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について (案)」を一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
資料は、全部で8ページございますが、この中から、ハラスメント関連もののみご紹介します。
2.職場におけるハラスメント防止対策の強化
⑵.カスタマーハラスメント対策の強化
① 雇用管理上の措置義務の創設
・カスタマーハラスメント対策について、事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当である。
・現行法に規定されている4種類のハラスメントの例に倣い、対象となる行為の具体例やそれに対して事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容は、指針において明確化することが適当である。
② カスタマーハラスメントの定義
・「雇用の分野における女性活躍推進 に関する検討会報告書」(令和6年8月8日)において示されている考え方を踏まえ、以下の3つの要素をいずれも満たすものとし、それぞれについて以下に掲げる事項を指針等で示すことが適当である。
ⅰ.顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
ⅱ.社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
ⅲ.労働者の就業環境が害されること。
③ 上記のほか指針等において示すべき事項
指針等においては、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労 働省告示第5号。以下「パワーハラスメント防止指針」という。)等の内容を踏まえつつ、カスタマーハラスメントの行為者が顧客や取引先等の第三者であるということを考慮した上で、以下のような事項を示すことが適当である。
ⅰ.総論
ⅱ.講ずべき措置の具体的な内容
④ 他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定
・セクシュアルハラスメントに係る雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第11条第3項の規定に倣い、カスタマーハラスメントについても、事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない旨を法律で規定することが適当である。
・事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号。以下「セク シュアルハラスメント防止指針」という。)に倣い、カスタマーハラスメントについても、事業主が、他の事業主から雇用管理上の措置への協力を求められたことを理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくないものであることを、指針等に明記することが適当である。 ○
・協力を求められた事業主は、必要に応じて事実関係の確認等を行うことになるが、その際に協力した労働者に対して不利益取扱いを行わないことを定めて労働者に周知することや、事実関係の確認等の結果、当該事業主の労働者が実際にカスタマーハラスメントを行っていた場合には、就業規則等に基づき適正な措置を講ずることが望ましい旨を、指針等に明記することが適当である。
⑶.就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
① 雇用管理上の措置義務の創設
・就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するセクシュアルハラスメントの防止を、職場における雇用管理の延長として捉えた上で、事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当である。
・事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容については、セクシュアルハラスメント防止指針の内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、指針において明確化することが適当である。
▶事業主の方針等の明確化に際して、いわゆるOB・OG訪問等の機会を含めその雇用する労働者が求職者と接触するあらゆる機会について、実情に応じて、面談等を行う際のルールをあらかじめ定めておくことや、求職者の相談に応じられる窓口を求職者に周知すること
▶セクシュアルハラスメントが発生した場合には、被害者である求職者への配慮として、事案の内容や状況に応じて、被害者の心情に十分に配慮しつつ、行為者の謝罪を行うことや、相談対応等を行うことが考えられること
・就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するパワーハラスメントに類する行為等については、どこまでが相当な行為であるかという点についての社会的な共通認識が必ずしも十分に形成されていない現状に鑑み、パワーハラスメント防止指針等において記載の明確化等を図りつつ、周知を強化することを通じて、そ の防止に向けた取組を推進するとともに、社会的認識の深化を促していくことが適当である。
② 求職者に対する情報公表の促進
・措置の内容を公表していることをプラチナえるぼし認定の要件に位置づけることが適当である。
⑷.パワーハラスメント防止指針へのいわゆる「自爆営業」の明記
・「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合にはパワーハラスメントに該当することについて、パワーハラスメント防止指針に明記することが適当である。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都は、令和6年10月28日(月)、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議(第2回)を開催しました。会議の資料が公開されておりますので、その中から、「資料4 各団体共通マニュアル(素案)」から概要について昨日から2回に分けてご紹介しております。(下線は筆者加筆)
今回は、第4章をご紹介します。(第5章は第3回の会議資料として公開される予定ですので後日ご紹介します。)
〇第4章 カスタマー・ハラスメント発生後の対応
・顧客等の出入禁止
カスタマー・ハラスメントの発生後、同一人物が再び来訪し、繰り返し迷惑行為が行われる可能性があります。 退去命令に加え、施設管理権等に基づく施設への出入禁止の措置を取ることが可能とされます。
なお、条例第5条にあるように、顧客等の権利を不当に侵害しないことが大切です。恣意的で正当な理由のない退去命令や出入禁止の措置が取られないよう、会員企業に対する十分な啓発が重要です。
・就業者のケア
条例の事業者においては、顧客等による暴力行為等によって就業者の安全が脅かされる事態が発生した場合、あらかじめ定めた対応方針に従い、就業者への被害が継続しないようにすることが求められます。 各業界団体においては、会員企業に対して就業者のケアを実施するよう求めることが必要です。
【カスタマー・ハラスメントに遭遇した就業者のケア(例)】
◆現場における対応の引継ぎ
二次対応者へ対応を引き継ぐ、または連携することが必要
あらかじめ複数人によるバックアップ体制を整えておくことが推奨
◆職場における相談体制の整備
発生時の状況確認は、一次対応者に直接ヒアリングするのではなく、状況を把握する現場監督者(二次対応者)等に確認することで、フラッシュバックによる二次被害が生じないように配慮する必要がある。加えて、セク シュアル・ハラスメントに関連した事案であれば、同性による対応が必要である。
◆外部専門家の活用
メンタルヘルスの専門家によるカウンセリング機会の提供のほか、法的対応や助言を求める場合の弁護士による法的サポートなど、必要に応じて、外部専門家を活用することも有効
・企業間取引における事実確認
各業界団体においては、会員企業が取引先企業にカスタマー・ハラスメントを行った、あるいは取引先企業からカスタマー・ハラスメントを受けた可能性がある場合、協力して事実確認することを推奨してください。
【取引先企業への依頼の流れ(例)】※自社就業者が取引先企業からハラスメント被害を受けた場合
◆自社就業者から相談を受け、ハラスメントの状況等を確認
就業者の精神的なケアや安全確保を最優先とし、必要に応じて適切なサポートを提供する
◆事実関係を確認するため、取引先企業に協力を依頼
協力を依頼する際、自社の担当者は、先入観や偏見を排除し、双方の信頼関係に基づき、適切な情報提供と調査協力を求めることが重要
◆取引先企業と共同で、ハラスメント行為が疑われる就業者から事実関係を確認
必要に応じて第三者機関や法律専門家の助言を得ることも検討する。ハラスメント行為が確認された場合、取引先企業と連携して、適切な措置を取るための対応策を共同で検討する
・再発防止に向けた取組
業界団体においては、会員企業に対して、業界内で実際に発生した事案への対応事例などを共有し、企業ごとに就業者による対応方法の改善など、再発防止に資する取組を促すことが推奨されます。
また、カスタマー・ハラスメント防止対策を継続していく中で、取組の効果を高めていくためには、必要に応じて取組内容を見直すことも効果的です
【再発防止に向けた取組(例)】
◆事例発生時のメッセージ発信
カスタマー・ハラスメントの事例発生時に、就業者に対して何らかのメッセージを発信して情報共有する。
◆事例検証を通じた再発防止対策
実際に発生した事例を検証し、新たな防止対策の検討、経営者のトップメッセージ、顧客等からのクレーム対応マニュアル、研修の見直し・改善等に役立てる。就業者のプライバシーに配慮しつつ、同様の問題が発生しないよう、社内の主要会議で情報共有することも大切である。
過去に発生した事例における就業者の相談内容の変化、相談件数の推移、相談対応者の感想等を材料にして、定期的に取組を検証し、改善点があれば見直しを図る。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都は、令和6年10月28日(月)、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議(第2回)を開催しました。会議の資料が公開されておりますので、その中から、「資料4 各団体共通マニュアル(素案)」から概要について2回に分けてご紹介します。(下線は筆者加筆)
今回は、第3章までをご紹介します。(第4章は次回にご紹介いたします。)
※素案の位置づけ
「各団体共通マニュアル(素案)」は、条例及び指針に基づき、各業界団体においてマニュアルを作成していただく場合の共通事項や作成のポイントをまとめたものであり、検討会議での議論のためのたたき台です。今後、関係法令集や、相談窓口の紹介、マニュアルのひな形の追加等、必要な加筆修正を行っていきます。
〇防止ルールの体系
「各団体共通マニュアル」では、業界団体が定めるマニュアルの共通事項や策定上のポイント等を規定
〇各団体共通マニュアルの役割
各業界団体においては、「各団体共通マニュアル」を参考としつつ、業界特有の課題を踏まえた会員企業向けの「業界マニュアル」を定めることが推奨されます。業界ごとの特徴的な迷惑行為や対応方針を示すことで、会員企業に自主的なマニュアルづくりを促すことが重要です。
〇【業界マニュアルの章立て(例)】
第1章 総論
・カスタマー・ハラスメントとは何か
・業界特有の事情・背景
・業界で見られる迷惑行為
・会員企業が取り組むべき事項
第2章 未然防止の取組
・未然防止に向けた取組
・企業間取引における未然防止
第3章 カスタマー・ハラスメント発生時の対応
・カスタマー・ハラスメントへの対応方針
・共通の対応方針
・場面別の対応方針
・警察との連携
・カスタマー・ハラスメントの対応フロー
第4章 カスタマー・ハラスメント発生後の対応
・顧客等の出入禁止
・就業者のケア
・企業間取引における事実確認
・再発防止に向けた取組
第5章 その他
・各種相談窓口の紹介
・関係法令集の掲載
・カスタマー・ハラスメント対策チェックシート
(参考)マニュアルのひな形
〇第1章 総論
・業界特有の事情・背景
各業界団体においては、カスタマー・ハラスメントの防止に向け、業界特有の事情・背景などを分析し、会員企業に示すことが重要です。客観的な統計データや具体的なアンケート調査を基に行うことも有効です。
・業界で見られる迷惑行為
各業界団体においては、行為類型を参考にしつつ、業界で見られる迷惑行為を整理してください。どのような行為がカスタマー・ハラスメントに該当する可能性があるか、会員企業の理解が進むことが期待されます。
・会員企業が取り組むべき事項
各業界団体においては、ガイドライン(指針)を参考にし、会員企業が取り組むべき事項を提示してください。また、会員企業が参考にできる作成イメージや作業手順等を盛り込むことが推奨されます。
第2章 未然防止の取組
・未然防止に向けた取組
カスタマー・ハラスメントの未然防止には、迷惑行為や悪質クレーム等への対応について、就業者が理解を深める教育・研修等が重要です。可能な限り就業者全員が受講できるようにし、定期的な実施が推奨されます。
・企業間取引における未然防止
自社の就業者がカスタマー・ハラスメントを行った場合、具体的にどのように対処されるかをルールとして明確化し、自社の就業者に周知することを推奨してください。具体的には、カスタマー・ハラスメントに該当する言動と処分内容を対応させた懲戒処分規定を定め、その判断要素を明らかにする方法等が考えられます。また、社会全体でカスタマー・ハラスメントを防ぐ観点から、業務時間外でも、企業の信用を失墜させるような迷惑行為は厳に慎むよう周知することも推奨してください。
第3章 カスタマー・ハラスメント発生時の対応
・カスタマー・ハラスメントへの対応方針
「各団体共通マニュアル」では、カスタマー・ハラスメント発生時の共通の対応方針とともに、具体的な場面として「対面」「電話」「訪問」「インターネット」に分類し、場面別の対応方針を示します。これらは限定列挙ではなく、あくまで例示である点に留意してください。
・共通の対応方針
①要求内容を特定する
②事実関係を確認する
③対応内容を記録して情報共有する(録音・録画含む)
④複数人で対応する
⑤対応場所を選定する ※対面、訪問の場合
⑥顧客等に寄り添って対応する
・場面別の対応方針
①対面の事例(暴言)
(例)商品の売り切れを伝えた際に「お前は馬鹿だ。無能だ。商品をすぐに用意しろ。」と大声で怒鳴られた。
冷静沈着に対応する
②対面の事例(執拗な要求)
(例)商品の不具合を謝罪し、適切に交換対応したにも関わらず、文書で謝罪するよう何度も要求された。
対応時間を定め、超過した場合は退去要求する
③対面の事例(土下座の要求)
(例)サービスの不備を謝罪したにも関わらず「土下座して謝罪しろ。さもないと許さない。」と要求された。
毅然とした態度で要求を拒否する
④対面の事例(暴行)
(例)クレーム対応中に「その態度は何だ!」と顧客等が激高し、胸ぐらをつかまれ、頭を叩かれた。
警察に通報する
⑤電話の事例(高圧的な言動)
(例)「他社は金を払った。お前をクビにできるんだぞ。」と電話で怒鳴りながら金銭による賠償を請求された。
意思表示を明確にする
冷静沈着に対応する
⑥電話の事例(長時間の拘束)
(例)商品の交換はできないと繰り返し説明しても納得せず、電話で○○分以上もやり取りが続いている。
対応時間に関する業界ルールを定める
⑦電話の事例(繰り返し)
(例)同一人物から、提供する商品・サービスと全く関係のない話について、何度も繰り返し電話がある。
初期の段階で対応を拒否する
⑧訪問の事例(セクハラ)
(例)顧客等の自宅を訪問して自社のサービスを提供した際に、性的な言動を受けた。
毅然とした態度でセクハラであることを伝える
トラブル発生時には迅速に退去する
入念な事前準備を行う
⑩インターネットの事例(誹謗中傷)
(例)SNS上に自社の就業者の顔写真と氏名が掲載され、就業者を誹謗中傷する内容が書き込まれた。
書き込み内容を特定して削除対応を検討する
自社HP・SNS等を活用して対応方針を発信する
専門チームで対応する
・警察との連携
明らかな違法行為が確認された場合、犯罪行為として警察への通報が不可欠です。
各業界団体においては、会員企業が警察への通報を躊躇しないよう、「業界マニュアル」で警察との連携方針を検討してください。
・カスタマー・ハラスメントの対応フロー
各業界団体においては、警察や会社本部・弁護士との連携などを盛り込んだ対応フローの作成が推奨されます。その際、違法行為があった際は、110番通報を躊躇しないよう明確にしておくことが重要です。
長くなりましたので、「第4章 カスタマー・ハラスメント発生後の対応」につきましては、次回にご案内いたします。
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の資料を公開しております。
資料2-2「これまでの労働政策審議会雇用環境・均等分科会での主な御意見」からハラスメント防止対策関連の内容について一部抜粋してご紹介します。
2.職場におけるハラスメント防止対策の強化
⑴ 職場におけるハラスメントは許されるものではない旨の明確化
・ハラスメントは人権侵害であり、法制化されている4種類とは別に、あらゆるハラスメントを行ってはならないことを法律で明確化すべき。仕事の世界におけるあらゆるハラスメントを行ってはならないことについて周知啓発を進め、社会的な合意形成をしていくことが必要。
・ハラスメントの相談件数は高止まりしている。法制化されている4種類のハラスメント対策の強化についても審議が必要。また、指針やマニュアルの改正・更新も検討が必要。
・職場での取組も重要だが、社会全体でも進める必要がある。社会と職場の意識のギャップが大きくなることが懸念されるため、職場だけではなく、社会全体でも議論を喚起することが重要。職場と社会の間で認識のギャップが大きくなると、企業の中での対応も難しくなってくる。社会全体での議論・対策を併せて検討しながら、職場での法的措置も進めていくべき。
⑵ 顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等(カスタマーハラスメント)対策の強化
① 雇用管理上の措置義務の創設
・カスタマーハラスメントについて、対策を進めている企業は未だ一部にとどまる一方、 被害は広範にわたっている。また、対策を行っている企業では一定の効果が見られることを踏まえて、事業主の雇用管理上の措置義務とすることが必要。措置義務を設ける場合、具体的な内容を指針で明確化すべきという点に異論はない。
・措置義務となった場合に、カスタマーハラスメントについて、社内相談窓口でどのように対応したらよいか手探りになる。特に中小企業では、業種業態ごとに様々な実態があるところであり、窓口になった社員が必ずしも専門的知識を有しているとは限らないため、負担の大きさや、どこまで対応できるかということに不安を感じている。よりどころになるマニュアルや支援窓口を示していただけるとありがたい。
② カスタマーハラスメントの定義
・カスタマーハラスメントの定義については、今後労使でカスタマーハラスメント対策をしていく上で、よりどころになると考えている。定義を基本としながら、個別の企業の対策を促していくことが重要だが、併せて業界団体等による業種業態の特性を踏まえたガイドラインの作成、関係省庁が連携した消費者の意識・行動の変容に向けた取組、こ の3つをセットで取り組むべき。政府による業界団体への支援と消費者への働きかけを検討すべき。
③ 上記のほか指針等において示すべき事項
・消費者等からの正当なクレームは妨げられないこと、特に、高齢者や障害者の、消費者としての権利に配慮することは重要。例えば教育現場でも、学校に通う子の保護者に障害等の事情がある場合、配慮が必要との声が上がっている。特に公務、教育、保育、医療、介護等の業種においては、代替性の有無や行為者の権利も配慮すべき。
④ 他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定
・取引先の労働者に対するカスタマーハラスメントを考えた場合、取引先の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定がなければ、機能しない。努力義務ではなく義務とすべき。併せて、セクシュアルハラスメントに係る同様の努力義務も、義務に見直すべき。また、事業主は、取引先の事業主から必要な協力を求められたことを理由に、その取引先との契約を解除するなど不利益取扱いを行ってはならないことを、明記すべき。
⑤ カスタマーハラスメントの防止に向けた周知・啓発
・カスタマーハラスメントは、事業主の取組だけでは防止が難しい。社会全体で取り組む課題として、国が消費者教育等により必要な周知啓発を行い、社会的な合意形成に繋げていくことが不可欠。また、事業主はHP やポスター等を活用し、顧客や取引先、施設利用者等に対し、カスタマーハラスメントを許さない旨の業務方針を明確に示すととも に、消費者の権利に配慮し、誠意を持って対応しつつも、必要な場合は毅然とした態度で対応する等の基本姿勢を周知することも必要。
⑶ 就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
① 雇用管理上の措置義務の創設
・セクシュアルハラスメント防止指針によって、望ましい取組を定めているにもかかわらず、職場のハラスメントに関する実態調査では、3割以上の者が就活セクシュアルハラスメントを経験しているというデータが示されていることから、就活セクシュアルハラスメント対策を措置義務化すべき。また、就活パワーハラスメントについても措置義務とすべきである。さらに、学生のみならず求職者全体に対するハラスメント防止の観点 から、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに限らずあらゆるハラスメントを対象とすべき。
② 指針等において示すべき事項
・講ずべき措置は、セクシュアルハラスメント対策指針の措置を参考とするのが適当。事業者の方針等の明確化の対象は、OB、OG 訪問など、雇用する労働者が求職者と接するあらゆる機会を含めていくべき。行為者の謝罪は必要であるが、謝罪の方法については、 事案の内容や状況、特に被害者の心情に十分な配慮が必要であり、これは職場のセクシュアルハラスメントも同様である。
今後の審議会の動向にも継続して注目していきたいと思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
10月4日に開催された東京都議会本会議で、全国で初めてとなるカスタマー・ハラスメント防止条例案の採決が行われ、全会一致で可決・成立しました。
カスタマー・ハラスメント防止条例は、以下の内容で構成されております。
第1条 目的
第2条 定義
第3条 基本理念
第4条 カスタマー・ハラスメントの禁止
第5条 適用上の注意
第6条 都の責務
第7条 顧客等の責務
第8条 就業者の責務
第9条 事業者の責務
第10条 区市町村との連携
第11条 カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針の作成
第12条 財政上の措置
第13条 施策の推進
第14条 事業者による措置等
附 則
条例のポイントとして条例より一部抜粋してご紹介します。(下線は筆者加筆)
〇第2条 定義
・カスタマー・ハラスメント:顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものをいう。
・著しい迷惑行為:暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為をいう。
〇第3条 基本理念
・カスタマー・ハラスメントの防止に当たっては、顧客等と就業者とが対等の立場において相互に尊重することを旨としなければならない。
〇第4条 カスタマー・ハラスメントの禁止
・何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。
〇第5条 適用上の注意
・この条例の適用に当たっては、顧客等の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
〇第7条 顧客等の責務
・就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努めなければならない。
・都が実施するカスタマー・ハラスメント防止施策に協力するよう努めなければならない。
〇第8条 就業者の責務
・顧客等の権利を尊重し、カスタマー・ハラスメントに係る問題に対する関心と理解を深めるとともに、カスタマー・ハラスメントの防止に資する行動をとるよう努めなければならない。
・その業務に関して事業者が実施するカスタマー・ハラスメントの防止に関する取組に協力するよう努めなければならない。
〇第9条 事業者の責務
・カスタマー・ハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施するカスタマー・ハラスメント防止施策に協力するよう努めなければならない。
・その事業に関して就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、当該行為を行った顧客等に対し、その中止の申入れその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
・その事業に関して就業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
〇第11条 カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針の作成
・都は、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針を定めるものとする。
〇第14条 事業者による措置等
・事業者は、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置として、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
・就業者は、事業者が前項に規定するカスタマー・ハラスメント防止のための手引を作成したときは、当該手引を遵守するよう努めなければならない。
施行期日は、令和7年4月1日になります。
罰則のない、努力義務の規定ですが、条例で定めたことには大きな意義があると思います。
東京都の企業が対象ですが、努力義務とはいえ、他のハラスメントと同様に、相談窓口の設置、従業員への研修、カスハラ防止の手引きの作成等必要な措置を行うことを推奨します。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都は、令和6年7月26日(金)、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議(第1回)を開催しました。
資料の中から、「カスタマーハラスメント防止条例の指針(素案)」についてご紹介します。
分量が多いため、数回に分けてご紹介致します。今回は3回目(最終回)です。
まず、指針の項目について以下に記載します。
①カスタマーハラスメントの内容に関する事項
・カスタマーハラスメントの禁止規定
・カスタマーハラスメントに関連する用語の定義
・カスタマーハラスメントの代表的な行為の類型
・顧客等への配慮
②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
・顧客等、就業者、事業者の責務
③都の施策に関する事項
・都の責務
・施策の推進
・施策の推進プロセス
④事業者の取組に関する事項
・必要な体制の整備
・被害を受けた者への配慮
・被害防止のための手引(マニュアル)の作成
・その他の措置
⑤その他 カスタマーハラスメントを防止するために必要な事項
資料の中からそれぞれの項目について、条文とその論点について記載します。(下線は筆者が加筆)今回は、④事業者の取組に関する事項をご紹介します。
④事業者の取組に関する事項
事業者による措置①
「事業者は、指針に基づき、必要な体制の整備 、カスタマーハラスメントを受けた者への配慮 、カスタマーハラスメント防止のための手引(マニュアル)の作成その他の措置を講ずるよう努める 。」
「就業者は、事業者が手引を作成したときは、遵守するよう努める 。」
【論点 】必要な体制の整備
①相談窓口の設置
カスタマーハラスメントを受けた就業者が相談できる窓口をあらかじめ決めた上で、就業者へ 広く周知する。
(対応例)
・就業者の相談に対応するための制度を設ける。
・就業者の相談に対応する担当者をあらかじめ定める。
・就業者の相談に対応する窓口を外部機関に委託する。
②適切な相談対応の実施
相談窓口担当者が 、就業者から受けた相談内容や状況に応じて、適切に対応できるようにする。
(対応例)
・相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとする。
・相談窓口の担当者が相談を受けた場合 、あらかじめ作成した留意点等を記載したマニュアルに基づき対応する。
・相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行う。
【論点 】被害を受けた者への配慮
①事実関係の正確な確認と事案への対応
カスタマーハラスメントと思われる事案が発生した場合 、事実関係の正確な確認と事案への対応を行う。
(対応例)
・カスタマーハラスメントに該当するか否かについて、顧客等や就業者からの情報を基に、確かな証拠・証言に基づいて、その事実を確認する。
・事実に基づき、商品の瑕疵やサービスの過失等がある場合は顧客等に謝罪し、商品の交換・返金等、適切な対応を行う。瑕疵や過失がない場合は要求に応じない 。
②就業者の安全の確保
カスタマーハラスメントを受けた就業者の安全を確保する。
(対応例)
・顧客等が、暴力行為やセクハラ行為等を行ってくる場合、現場責任者が顧客対応を代わり、就業者を顧客等から引き離す。
・個別の事案に応じて責任ある立場の者から行為者へ帰ってもらう旨を伝える 。
また、状況に応じて、顧客等に対して、出入り禁止を通告する。
・状況に応じて、弁護士や警察と連携を取りながら顧客等へ対応する 。
③就業者の精神面及び身体面へ の配慮
カスタマーハラスメントを受けた就業者の精神面及び身体面のケアなどに取り組む。
(対応例)
・被害を受けた就業者にメンタルヘルス不調の兆候がある場合、産業医や産業カウンセラー 、
臨床心理士等の専門家に相談対応を依頼するほか、専門の医療機関への受診を促す 。
・定期的にストレスチェックを行い、就業者の状況を確認する。
【論点 】被害防止のための 手引(マニュアル)の作成
①現場での初期対応の方法や手順の作成
カスタマーハラスメントが発生した際を想定し、現場での初期対応の方法、手順を作成して おく 。
(対応例)
・就業者がカスタマーハラスメントを受けた場合の顧客等への対応例をあらかじめ決めておく こと。
②内部手続(報告・相談、指示・助言)の方法や手順の作成
本社・本部との連携が必要な場合、内部手続(報告・相談 、指示・助言)の方法、手順を作成しておく 。
(対応例)
・顧客等からの犯罪行為により、法的な手続や、警察や弁護士等との連携が必要な場合等は、現場対応だけでは判断ができないため、本社・本部と連携するための、報告が必要な事項 、報告 する場合の手続を事前に決めておく。
【論点 】その他の措置
①カスタマーハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
カスタマーハラスメント対策に関する基本方針や基本姿勢を明確にした上で就業者に周知する。
(対応例)
・組織のトップが、カスタマーハラスメント対策への取組の基本方針・基本姿勢を明確に示す。
・組織として就業者を守るという基本方針・基本姿勢 、カスタマーハラスメントへの対応の在り方を就業者に周知・啓発し、教育する。
②カスタマーハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
自社の就業者がカスタマーハラスメントを行わないとの方針を明確にした上で就業者に周知 する 。
(対応例)
・立場の弱い取引先等に無理な要求をしない、させないこと、他の事業者の就業者に対してもハラスメントを起こさないとのメッセージを社内で周知する。
・カスタマーハラスメントを行った自社の就業者に対しては、厳正に対処する旨を就業規則等に定め 、社内で周知する 。
③相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
カスタマーハラスメントの相談をする就業者のプライバシーを保護する措置を講じて就業者に周知する。
(対応例)
・相談者やカスタマーハラスメントの行為者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめ事業者内のマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、そのマニュアルに基づき対応する。
・相談者 やカスタマーハラスメントの行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行う。
・相談窓口においては相談者やカスタマーハラスメントの行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等の広報又は 啓発のための資料等に掲載し、配付等する。
④相談を理由とした不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め周知
カスタマーハラスメントの相談をもって不利益を受けない旨を明確にした上で就業者に周知 する。
(対応例)
・就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に、就業者がカスタマーハラスメントの相談等を理由として、解雇等の不利益な取扱いをされない 旨を規定し、就業者に周知・啓発 すること。
・社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報啓発のための資料等に、就業者がカスタマーハラスメントの相談等を理由として、解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、就業者に配付すること。
⑤就業者 への教育・研修等
顧客等からの迷惑行為や悪質なクレーム等への具体的な対応について、就業者への教育や研修等を実施する。
(対応例)
・就業者への研修等の一例として以下のようなものが考えられる。
(出典:東京都「カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第1回資料」)
・就業者以外にも、経営層や相談対応者(上司、現場監督者)への教育・研修を行う。
⑥カスタマーハラスメントの再発防止に向けた取組
カスタマーハラスメントの再発防止のため、定期的な取組の見直しや改善を行い、継続的に取組を行う。
(対応例)
・カスタマーハラスメントに該当する事案が発生した際に、就業者に対して何らかのメッセージ・情報を発信することで情報を共有する。
・実際の事例を活用し、新たな防止策の検討、経営者からのトップメッセージ 、顧客等からの クレーム対応マニュアル 、研修の見直し・改善等に役立てる。
以上になります。
指針(素案)を確認いただき、いかがだったでしょうか。
カスハラも行為者が社内か顧客等かの違いだけで、受ける行為の内容は、パワハラやセクハラが主なので、パワハラやセクハラ防止対策とほとんど変わらないと言えば当たり前なのですが、行為者が顧客等という点で難しい部分も多くあると思います。
顧客等、就業者および事業者の責務に関する事項については、「努める」ではなく、「〇〇しなければならない」という「義務」にしてもよいように感じました。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都は、令和6年7月26日(金)、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議(第1回)を開催しました。
資料の中から、「カスタマーハラスメント防止条例の指針(素案)」についてご紹介します。
分量が多いため、数回に分けてご紹介致します。今回は2回目です。
まず、指針の項目について以下に記載します。
①カスタマーハラスメントの内容に関する事項
・カスタマーハラスメントの禁止規定
・カスタマーハラスメントに関連する用語の定義
・カスタマーハラスメントの代表的な行為の類型
・顧客等への配慮
②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
・顧客等、就業者、事業者の責務
③都の施策に関する事項
・都の責務
・施策の推進
・施策の推進プロセス
④事業者の取組に関する事項
・必要な体制の整備
・被害を受けた者への配慮
・被害防止のための手引(マニュアル)の作成
・その他の措置
⑤その他 カスタマーハラスメントを防止するために必要な事項
資料の中からそれぞれの項目について、条文とその論点について記載します。(下線は筆者が加筆)今回は、②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項をご紹介します。
②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
〇顧客等の責務
「顧客等は、 カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解とを深めるとともに 、就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努める 。」
「顧客等は、都が実施するカスタマーハラスメントの防止に関する施策に協力するよう努める」
【論点 】顧客等が果たすべき責務
・行為を行う可能性がある顧客等が、カスタマーハラスメントが起こる社会的背景や、どのような行為がカスタマーハラスメントに該当するかなど、条例を通じて関心と理解とを深める必要 がある。また、就業環境の悪化や事業活動への悪影響など、カスタマーハラスメントがもたらす 不利益に対する理解を深める必要がある 。
・顧客等は、就業者と顧客等が対等の立場であることを前提に、就業者に対する意見や要望の 伝え方等を工夫するなど 、自らの言動に注意を払うことが望ましい。特に、就業者が提供する 商品やサービスに瑕疵・過失があった場合であっても、怒りの感情を抑え、落ち着いてその内容を伝える など、冷静な姿勢でその改善を要求することが重要である 。
〇就業者の責務
「就業者は 、カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解とを深めるとともに、カスタマーハラスメントの防止に資する行動をとるよう努める。」
「就業者は、事業者が実施するカスタマーハラスメントの防止に関する取組に協力するよう努める」
【論点 】就業者が果たすべき責務
・行為を受ける可能性がある就業者が、カスタマーハラスメントが起こる社会的背景や、どのような行為がカスタマーハラスメントに該当するかなど、条例を通じて関心と理解とを深める必要 がある。また、行為を受けた際にどのように対応すべきか、誰に相談すべきかなど、カスタマーハラスメントが発生した際の対処等について理解を深める必要がある。
・就業者は、就業者と顧客等が対等の立場であることを前提に、 顧客等に対する意見の伝え方等を工夫するなど、カスタマーハラスメントを未然に防ぐための積極的な行動をとることが望ましい。特に、顧客等からの商品やサービスに関する正当な理由に基づく要求や改善の要望に対して、初期の段階でカスタマーハラスメントに至らないよう、適切な言動 を行うことが重要である。
・また、事業者がカスタマーハラスメント防止に向けた取組を効果的に実践するためには、就業者一人ひとりが、その取組の目的や重要性を十分理解するとともに、取組に積極的に協力する必要がある。
〇事業者の責務
「事業者は、カスタマーハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施する施策に協力するよう努める 。」
「事業者は、カスタマーハラスメントを受けた就業者の安全を確保するとともに 、行為を行った顧客等に対し、中止の申入れその他の必要で適切な措置を講ずるよう努める。」
「事業者は、就業者が顧客等としてカスタマーハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努める。」
【論点 】 事業者 が果たすべき責務
・「主体的かつ積極的」の考え方として、就業者が顧客等からカスタマーハラスメントを受けた場合、就業者の意欲の低下等を起因とした職場環境の悪化、職場全体の生産性の低下等につながり得ることで、事業者の事業活動の継続に大きな影響が生じる 。事業者においては、カスタマーハラスメント防止に当たって
、事業者ごとの状況に合わせた効果的な対策を講じるとともに、就業者がカスタマーハラスメントによる被害を受けないよう、積極的な取組が求められる。
・「 都が実施する施策に協力」の考え方として、事業者は、現代の社会経済活動において重要な役割を果たす存在として、その社会的影響力は大きい。事業者においては、カスタマーハラスメントの防止に関する都の施策を実効性あるものにするため、これに協力することが求められる 。
・「就業者の安全を確保」の考え方として、労働契約法第5条の規定により、事業者には、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務がある
。事業者においては、顧客等による暴力行為等によって就業者の安全が脅かされる事態が発生した場合、あらかじめ定めた対応方針に従い、現場責任者等が対応を替わった上で、顧客等から就業者を引き離す、あるいは、弁護士や管轄の警察と連携を取りながら対応するなど、就業者への被害がこれ以上継続しないようにすることが求められる 。
・「中止の申入れその他の必要で適切な措置を講ずる」 の考え方として、事業者においては、カスタマーハラスメントが発生した場合、行為者である顧客等に対して、就業者への行為を止めるよう要請するとともに、あらかじめ定めた対応方針に従い、現場責任者等からの退去要請や出入り禁止の通告等の対処を行うことが求められる。
・「就業者が顧客等としてカスタマーハラスメントを行わない」 の考え方として、就業者は、カスタマーハラスメントを受ける立場である一方、例えば、取引先との関係では顧客等であるなど、カスタマーハラスメントを行う立場にもなり得る 。事業者においては 、事業に従事する者 が、カスタマーハラスメントを行わないよう 、
カスタマーハラスメント防止に関する啓発や教育等を行っていくことが求められる。
次回は、④事業者の取組に関する事項をご紹介します。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都は、令和6年7月26日(金)、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議(第1回)を開催しました。
資料の中から、「カスタマーハラスメント防止条例の指針(素案)」についてご紹介します。
分量が多いため、数回に分けてご紹介致します。
まず、指針の項目について以下に記載します。
①カスタマーハラスメントの内容に関する事項
・カスタマーハラスメントの禁止規定
・カスタマーハラスメントに関連する用語の定義
・カスタマーハラスメントの代表的な行為の類型
・顧客等への配慮
②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
・顧客等、就業者、事業者の責務
③都の施策に関する事項
・都の責務
・施策の推進
・施策の推進プロセス
④事業者の取組に関する事項
・必要な体制の整備
・被害を受けた者への配慮
・被害防止のための手引(マニュアル)の作成
・その他の措置
⑤その他 カスタマーハラスメントを防止するために必要な事項
資料の中からそれぞれの項目について、条文とその論点について記載します。(下線は筆者が加筆)今回は、①カスタマーハラスメントの内容に関する事項をご紹介します。
①カスタマーハラスメントの内容に関する事項
〇カスタマーハラスメントの禁止規定
「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない。」
【論点】禁止の趣旨・目的
・条例に違反した場合の罰則規定はない
・条例の規定に関わらず、刑法や特別刑法に反する行為は、これらの法律により処罰の対象となる。また、財産的・ 精神的損害が発生した場合、民法の不法行為責任に基づく損害賠償請求権が発生する可能性がある。
・「何人も」とは、カスタマーハラスメントの行為主体となり得る全ての人を指し、都民であるか否かを問わない。 企業間取引での法人の意思を背景とした従業員等によるカスタマーハラスメントも禁止される。
・「あらゆる場において」とは、店舗や事業所の窓口等における行為だけでなく、電話やインターネット等を通じた行為の禁止も意味する。
〇「カスタマーハラスメント」の定義
「カスタマーハラスメント ①顧客等から就業者に対する、②著しい迷惑行為であり、③就業環境を害するもの」
「著しい迷惑行為 暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言など不当な行為」
【論点】カスタマーハラスメントの要素
・①から③までの要素を全て満たすものをカスタマーハラスメントという。
・要素を全て満たさない場合でも、「著しい迷惑行為」そのものは、刑法や特別刑法に基づき処罰される可能性や、民法に基づき損害賠償を請求される可能性がある点に留意する必要がある。
【論点】「著しい迷惑行為」の考え方
・「著しい迷惑行為」とは、就業者の業務に関して顧客等から就業者に対して行われる、暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為をいう。
※「正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為」について
・客観的に合理的で社会通念上相当であると認められる理由がなく、要求内容の妥当性に照らして不相当であるものや、大きな声を上げて秩序を乱すなど、行為の手段・態様が不相当であるものを意味する。
・相当性の判断に当たっては、当該行為の目的、当該行為を受けた就業者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該行為が行われた経緯や状況、就業者の業種・業態、業務の内容・性質、当該行為の態様・頻度・ 継続性、就業者の属性や心身の状況、行為者との関係性など、様々な要素を総合的に考慮することが適当である。
・上記を踏まえると、正当な理由に基づき、社会通念上相当であると認められる手段・態様により、顧客等 から就業者に対して意見(不満・苦情・要望等)を伝える行為自体は妨げられるものではない。
・「就業者の業務に関して」行われる著しい迷惑行為とは、下記の①又は②に該当する行為を意味する。
①就業者の労働時間内に受けた顧客等からの著しい迷惑行為
「労働時間」とは、労働基準法第32条で規定される労働時間のことで、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を意味し、通勤時間は含まない。
②就業者の業務遂行に影響を与える顧客等からの著しい迷惑行為
「業務遂行に影響を与える」とは、当該行為を受けた就業者の円滑な業務遂行の妨げとなることを意味する。
【論点】「就業環境を害する」の考え方
・「就業環境を害する」とは、顧客等による著しい迷惑行為により、就業者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったため、就業者が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じることをいう。この判断に当たっては、平均的な就業者が同様の状況で当該行為を受けた場合、社会一般の就業者が業務 を遂行する上で看過できない程度の支障が生じたと感じる行為であるかどうかを基準とすることが適当である。
・顧客等の要求内容に妥当性がないと考えられる場合でも、就業者が要求を拒否した際にすぐに顧客等が要求を取り下げた場合、就業環境が害されたとは言えない可能性がある。
〇「事業者」の定義
「事業者 都内で事業(非営利目的の活動を含む。)を行う法人その他の団体(国の機関を含む。) 又は事業を行う場合における個人」
〇「就業者」の定義
「就業者 都内で業務に従事する者(都外で事業者の行う事業に関連する業務に従事する者を含 む。)」
【論点】「就業者」の考え方
・「就業者」とは、労働基準法第9条や労働組合法第3条で規定されるような労働者だけでなく、有償・無償を問わず業務を行う全ての者を指す。
・「就業者」には、企業や国の機関及び地方公共団体で働く者のほか、企業経営者、個人事業主、フリーランス、 ボランティア活動に従事する者、企業等で就業体験を行う学生(いわゆる「インターンシップ生」)、PTA活動に従事する保護者、議員なども含まれる。
【論点】インターネット上で業務を行う者
・SNSや動画配信サイト等を活用して業務を行う者が 「就業者」に当たるか否かは一見して不明確であるが、「都内で業務に従事する者(都の区域外で事業者の行う事業に関連する業務に従事する者を含む。)」であれば、「就業者」になり得る。
・インターネット上には多種多様な発信主体がおり、「就業者」と判断し難い者もいるが、イン ターネット上であっても、著しい迷惑行為は本来行われるべきではなく、刑法における名誉棄損(230条)や侮辱(231条)に該当する可能性や民法(709条)の不法行為責任に基づき損害賠償を請求される可能性があることから、当然に当該行為又は類似の行為は慎むべきである。
〇「顧客等」の定義
「顧客等 顧客(就業者から商品又はサービスの提供を受ける者)又は就業者の業務に密接に関係する者」
【論点】「顧客」の考え方
・「顧客」とは、就業者から商品又はサービスの提供を受ける者であり、今後、商品やサービスの提供を受けることが予期される者(例:店頭で商品の購入を検討している人、飲食店で入店を待つ列に並ぶ人など)も含む。
・「商品」とは、顧客が消費生活を営む上において使用する物をいう。
・「サービス」とは、顧客が消費生活を営む上において使用又は利用するもののうち、商品以外のものをいう。こ の「サービス」には、エステティック、クリーニング等、一般的に役務提供又はサービスといわれているもののほか、戸籍などの手続、年金、子育て支援、福祉、ゴミ処理や公共施設の運営など、官公庁が国民や住民に提供する行政サービスも含む。
【論点】「就業者の業務に密接に関係する者」の考え方
・「就業者の業務に密接に関係する者」とは、顧客(就業者から商品又はサービスの提供を受ける者)ではないが、①就業者の遂行する業務の目的に相当な関係を有する者、又は②本来は関わりが想定されていないものの、就業者の円滑な業務の遂行に当たって対応が必要な者を意味する。
・「密接に関係する者」であるか否かは、具体的状況に則して判断されることとなる。
・「就業者の遂行する業務の目的に相当な関係を有する者」とは、当該就業者が、その業務を遂行するに当たって、必要不可欠な利害関係者(ステークホルダー)をいう。
・企業経営者にとっての株主、学校教諭にとっての保護者、議員にとっての有権者などが想定される。
・「本来は関わりが想定されていないものの、就業者の円滑な業務の遂行に当たって対応が必要な者」とは、業務上、不測の事態が発生した場合には、業務を遂行するために対応することが必要不可欠な者をいう。
・配達員と配達先の隣人、マラソン大会のボランティアと沿道住民、著名人とSNS等にコメントを書き込む人などが想定される
カスタマーハラスメントの代表的な行為の類型
【論点】カスタマーハラスメント行為の該当性
・顧客等から就業者に対する行為がカスタマーハラスメントに該当するか否かの判断は、以下の代表的な行為類型に基づき個別に判断されることとなる。
・ただし、就業者の業務内容によって顧客等との接し方が異なること、実際に発生した個別事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、行為類型は限定列挙ではないことなどに十分留意する必要がある。
〇A顧客等の要求内容が妥当性を欠く
・顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされているかを確認する。
・就業者が提供した商品やサービスに瑕疵・過失がない場合、あるいは全く関係のない主張や要求であれば、正当な理由がないと考えられる。
・なお、妥当性を欠く主張や要求は、就業者が拒否するなどの対応が可能であることから、カスタマーハラス メントに該当するか否かは、後述のB、Cに該当する顧客等の行為があるかで判断する。
(出典:東京都「カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第1回資料」)
〇B顧客等の要求内容の妥当性に関わらず、要求を実現するための手段・態様が違法又は社会通念上不相当である
・顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされていた場合でも、その要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲かを確認する必要がある。
・例えば、殴る、蹴るなどの違法な暴力行為は直ちにカスタマーハラスメントに該当し、その言動が威圧的である場合などは、社会通念上不相当としてカスタマーハラスメントに該当する可能性がある。
(出典:東京都「カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第1回資料」)
〇C顧客等の要求内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当である
・顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされ、違法又は社会通念上不相当な行為がない場合であっても、顧客等の要求内容の妥当性に照らして、その手段・態様が不相当となることがあり得る。
・例えば、商品やサービスの瑕疵を根拠に、顧客等から就業者に対して金銭による賠償や謝罪等を丁寧な口調で要求した場合であっても、その金額が社会通念上著しく高額であったり、正当な理由がない過度な謝罪を要求するものであれば、カスタマーハラスメントに該当する可能性がある。
・また、顧客等の要求内容が、就業者にとっては不可能な行為であったり、どのように対応すれば良いか分からない曖昧な行為であったりする場合も、カスタマーハラスメントに該当する可能性がある。
(出典:東京都「カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第1回資料」)
顧客等への配慮
「顧客等の権利を不当に侵害しないように留意する。」
【論点】顧客等による正当なクレーム
・本来、正当なクレームは業務改善やサービス向上につながるものであり、不当に制限されてはならない。また、就業者が応対する顧客等の中には、障害のある人など、合理的配慮が必要な人も存在する。
次回は、②顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項をご紹介します。
詳細は、以下よりご確認ください。
東京都では、「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)」を定めることを検討しています。
この度、「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」をまとめ、意見募集を行っております。
※令和6年7月19日(金曜日)から同年8月19日(月曜日)まで
東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称) の基本的な考え方より一部抜粋してご紹介します。
◆条例の基本的な考え方
・「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない」として、 カスタマーハラスメントの禁止を規定
・「カスタマーハラスメント」の防止に関する基本理念を定め、各主体(都、顧客等、 就業者、事業者)の責務を規定
・「カスタマーハラスメント」の防止に関する指針を定め、都が実施する施策の推進、事業者による措置等を規定
◆目的
・カスタマーハラスメントの防止に関し基本理念を定め、東京都、顧客等、就業者及び事業者の責務を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定める。
◆基本理念
・カスタマーハラスメントの防止に当たっては、顧客等と就業者とが対等の立場に立って、相互に尊重する。
◆カスタマーハラスメントの禁止
・何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない。
➡条例に違反した場合の罰則規定はありません。
◆顧客等への配慮
顧客等の権利を不当に侵害しないように留意する
➡本来、正当なクレームは業務改善やサービス向上につながるものであり、不当に制限されてはなりません。
また、就業者が応対する顧客等の中には、障害のある人など、合理的配慮が必要な人も存在します。顧客等と就業者が対等の立場に立って、相互に尊重する基本理念の下、顧客等の権利について十分に配慮する 必要があるため、この規定を設けます。
◆各主体の責務
【顧客等】
・顧客等は、カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解とを深めるとともに、就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努める。
【就業者】
・就業者は、カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解とを深めるとともに、カスタマーハラスメントの防止に資する行動をとるよう努める。
【事業者】
・事業者は、カスタマーハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施する施策に協力するよう努める。
・事業者は、カスタマーハラスメントを受けた就業者の安全を確保するとともに、行為を行った顧客等に対し、中止の申入れその他の必要で適切な措置を講ずるよう努める。
・事業者は、就業者が顧客等としてカスタマーハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努める。
◆指針の作成
・都は、カスタマーハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)を定める。
・都は、指針において、「カスタマーハラスメントの内容」、「顧客等、就業者及び事業者の責務」、「都の施策」、「事業者の取組」、「その他」事項を規定する。
◆事業者による措置
・事業者は、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマーハラスメントを受けた者への配慮、カスタマーハラスメント防止のための手引(マニュアル)の作成その他の措置を講ずるよう努める。
⑴ 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⑵ カスタマーハラスメントを受けた就業者への配慮のための取組
⑶ カスタマーハラスメントを防止するための取組
⑷ 取引先と接するに当たっての対応
詳細は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、第9回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会の資料を公開しております。
少し前に6月21日に開催された第9回のものになりますが、ハラスメントに関する今後の対応の方向性に関する論点案が掲載されておりますので、一部抜粋してご紹介します。(一部筆者が加筆しております。)
(5)今後の対応の方向性
① 総論
・4種類のハラスメントに関しては、事業主に雇用管理上の措置義務等を課し、国、事業主、労働者それぞれに対して、労働者の就業環境を害する言動に対する関心と理解を深めるための責務規定を設けているが、このような現行の法制に関してどう考えるか。
※4種類のハラスメントとは、「セクシュアルハラスメント」「妊娠・出 産等に関するハラスメント」「育児休業等に関するハラスメント」「パワ ーハラスメント」のことです。
・「ハラスメントかどうかの判断が難しい」とする企業割合は、低下しているものの約 6 割存在していることについてどう考えるか。また、 労働局への相談は高止まりしているところ。こうした状況を踏まえ、企業のハラスメント防止対策の取組に資するために必要な国の支援策についてどう考えるか。
・企業におけるハラスメント防止対策に取り組む意義は、労働者の心身の安全を確保し、経営上の損失を防ぐことのみならず、職場内コミュニ ケーションの円滑化に資する等のメリットも考えられるのではないか。 企業の一層の取組を促すために、それぞれのハラスメント対策を講ずることにどのような意義、メリットがあるかを企業に伝えることが効果的ではないか。
② カスタマーハラスメント
(対策強化の必要性)
・カスタマーハラスメント防止対策を強化する意義をどのように考えるか。労働者を守るという観点に加え、個別企業における働きやすい環境の整備が、労働者の確保・定着に資することや、業種、業界のイメージアップにつながることなど、広く取組を促進するための意義を整理するべきではないか。その際、対策を講じることが、消費者にとっても メリットがあるという整理ができないか。より幅広い取組を促すためにも、例えば、対策に取り組むことは、従業員を守ることだけでなく、本来有益なはずの消費者の声が様々な軋轢をもたらすことを防ぎ、問題の把握と解消に資するという視点を持つことも重要ではないか。
・(中略)勤務日にほぼ毎日顧客と接している者のうち17.4%はカスタマーハラスメントを経験している状況にあることや、従業員規模1000人以上の企業においても特段の対応に取り組んでいない企業が37.2%となっていること、対策に積極的に取り組んでいる企業ではカスタマーハラスメントの被害が少ない状況にあることに鑑み、どのような方策を講じることが効果的か。
(労働者保護の観点からの対策の必要性)
・対策の強化の方向性として、カスタマーハラスメント対策を法制化する場合、どのような対応が考えられるか。
(中略)行為者が顧客や取引先等の第三者であるカスタマーハラスメントの場合、必要となる対応をどのように考えるか。すでに事業主に課されているパワーハラスメント等に係る措置義務の内容とどのように異なってくるのか。
・現在、カスタマーハラスメント対策においては取引先も対象としているが、顧客と取引先では、第三者からのハラスメントという点で共通するものの、対応策等については異なる部分もあると考えられ、その点についてどのように考えるか。
・労働者保護の観点から法制化する場合であっても、消費者法制により定められている消費者の権利との関係に留意が必要ではないか。また、各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合や、業種・ 業態などによりサービス提供等における対応方法、基準等が異なる状況をどのように考えるか。
(カスタマーハラスメントの定義)
・対策強化に当たって、社会全体で共有できるカスタマーハラスメントの定義が必要ではないか。そのためにも、事例を収集し、分析することが必要ではないか。
・定義を考えるに当たっては、以下の論点を整理することが必要ではないか。
①「顧客等からのクレーム・言動」とあるが、クレーム・言動の行為主体をどのように考えるか。
顧客というときに一般個人をイメージしがちだが、職場のハラスメントに関する実態調査では、約5分の1は取引先等の他社の従業員・役員からの迷惑行為であるということも踏まえ、どのように考えるか。
②「当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの」とあるが、どのように考えるか。
③ 「労働者の就業環境が害されるもの」とあるが、どのように考えるか。
(総合的な対策の必要性)
・顧客等が商品やサービスの問題や欠陥を指摘したことに対して、従業員の不適切な対応など企業側の不手際がきっかけとなり、結果として、 カスタマーハラスメントに至るケースもみられる。
このような場合、カスタマーハラスメントを未然に防止するために 企業側が対応できることとして、どのようなことが考えられるか。
・カスタマーハラスメントの態様は業界により異なることや、独自で対応できない中小企業もあることから、業界が一体となって取り組むことが効果的である。こうしたことから、業界団体などを通じた取組を強化することが考えられるが、その取組の在り方をどのように考えるか。
③ 就活等セクハラ
(対策強化の必要性)
・就活等セクハラの行為者は企業内の労働者であることから、企業は行為者に対して就業規則等に基づき懲戒処分等の対応は可能であるが、被害者への配慮の措置に関しては、インターンシップを行っている者や就職活動中の学生等は職場外の第三者であり、雇用労働者に対するものとは異なるものとなるのではないか。
このように、就活等セクハラを法制化しても、事業主の措置義務の内容は、自社の従業員に対するものとは異なるのではないか。
・就活生へのハラスメントについて、例えばパワーハラスメント等についてどのように考えるか。
④ILO第190号条約
・ILO第190号条約では、仕事の世界における暴力及びハラスメントを定義し、禁止する法令を制定することを加盟国に求めているが、この点について、我が国においては、事業主に対してパワーハラスメント 等の防止措置を義務付けているものの、ハラスメント自体は禁止していないことをどのように考えるか。
⑤その他ハラスメント
・自爆営業についてどのように考えるか。自爆営業とは「使用者が、労働者に対し、当該労働者の自由な意思に反して当該使用者の商品・サービスを購入させること」とされているが、こうした自爆営業とパワーハラスメントの関係をどのように考えるか。
詳細は、以下よりご確認ください。
カスハラについては、早急に法制化が必要だと考えます。報道等でカスハラという言葉が広まると、顧客等がクレームをつけると何でもカスハラだと言われるのではないかと萎縮してしまい、不良品や不適切なサービスの提供などについての正当なクレームを行う方が減る恐れがあること、理解不足によりクレームは何でもカスハラだと誤った認識を持つ従業員等が出てトラブルが増加する可能性があることなどが考えられ、その結果として顧客側の不利益はもちろんのこと、企業側にとっても品質やサービスの低下につながる恐れがあるからです。
法制化したからと言って上記のようなことが無くなるわけではありませんが、少なくとも、法律を根拠に正当な権利主張ができるようになるため、企業側にとっても、顧客側にとっても双方のメリットになると思います。
厚生労働省は、令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」に関する報告書を公表しております。
今回の調査は、全国の企業と労働者等を対象に、令和5年12月~令和6年1月に実施されたものです。
企業調査結果のまとめから一部抜粋してご紹介します。
【企業におけるハラスメントの発生状況】
・過去3 年間各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護 休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数について は、セクハラ以外では「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高かった(「件数の増減は分からない」を除く)。顧客等からの著しい迷惑行為のみ「件数が増加している」の割合の方が「件数は減少している」より高かった。
・相談件数の多かった業種としては、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントでは、「金融業、保険業」、「教育、学習支援業」、「宿泊業、飲食 サービス業」、「医療、福祉」や「生活関連サービス業、娯楽業」が多い傾向にあった。顧客等からの著しい迷惑行為では、「医療、福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」、「不動産業、物 品賃貸業」(それぞれ53.9%、46.4%、43.4%)が、就活等セクハラについては、「電気・ガス・熱 供給・水道業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」の順に相談があった企業の割合が多かった(それぞれ2.9%、2.1%、1.4%)
【企業におけるハラスメントに対する取組状況】
・パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい 迷惑行為、就活等セクハラに対して予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、約7割以上の企業が実施している。次いで「ハラスメ ントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」の割合が高く、約6割以上の企業が実施している。
【今後必要なハラスメントに対する取組】
・今後必要なハラスメント予防・解決のための取組としては、「企業の自主的な取組の促進・支援」(54.7%)が最も高く、次いで「ハラスメント(ハラスメントの行為者)に対する規制」(36.5%) が高かった。
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、日本で働くあなたへ。のページに、職場のハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いに関するリーフレット2種類の14カ国語版を掲載しました。
以下の3種類の情報が掲載されております。
①【簡易版】
職場におけるハラスメントは許されない行為です。被害を受けてしまったら相談しましょう。
②【詳細版】
ハラスメント対策ページです。
外国人労働者に向けた、職場のハラスメントについて簡単な説明を掲載します。
1. 職場におけるパワーハラスメントとは
2. 職場におけるセクシュアルハラスメントとは
3. 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは
4. 対応例
③妊娠・出産・育児休業の取得などを理由として解雇などの不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。
詳細は、以下よりご確認ください。
公益財団法人21世紀職業財団は、ハラスメントのない職場づくり支援事業を行っておりますが、ホームページに、ハラスメント社外相談窓口スーパーバイザーによるコラム「ハラスメント対応A to Z」を掲載しております。
今までに18回分掲載されており、2024年には、以下の2つのコラムが新たに掲載されております。
・第17回:指導に「聞く耳」をもたせるにはどうするか①
・第18回:指導に「聞く耳」をもたせるにはどうするか②
ハラスメントにならない指導のポイントとして、「指導のための“かきくけこ”」として、以下の内容が記載されており、第17回と18回では、この中の「傾聴」について記載されております。
か 「環境」を整える
き 「記録」に基づく
く 「具体的」に話す
け 「傾聴」する
こ 「これから」を明確にする
その他、第14回~第16回では、以下の内容が記載されております。
・第14回:指導の環境をどう整えるか・・・「か」
・第15回:指導の根拠をどう残すか・・・「き」
・第16回:指導で何を伝えるか・・・「く」
各回とも簡潔に要点がまとめれており、実務でも役立つ内容です。お時間ある時に読んでみてはいかがでしょうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント対策研修動画のページの、「職場のハラスメント対策」「カスタマーハラスメント対策」「就活ハラスメント対策」の研修動画を更新し公開しました。
動画は以下の内容で構成されております。
●職場のハラスメント対策
Ⅰ.職場におけるハラスメント対策(事業主向け)(46:27)
・企業にとってハラスメント対策に取り組む意義
・ハラスメント対策の法制化
・ハラスメント防止に関する事業主の措置義務
Ⅱ.職場におけるハラスメント対策(相談窓口担当者向け)(37:16)
・人事労務担当者・相談窓口担当者の役割
・人事労務担当者・相談窓口担当者の具体的な対応
●カスタマーハラスメント対策(34:22)
・カスタマーハラスメントの定義および該当行為
・企業が具体的に取組むべき対策
・企業のカスタマーハラスメント対策の取組について
●就活ハラスメント対策(34:37)
・就活ハラスメントとは
・就活ハラスメント対策の必要性
・企業の対策取組のポイント
以下は、令和4年度のものになりますが、社労士向けのものも掲載されております。
Ⅲ-1.職場におけるハラスメント対策・基礎知識編(社労士向け)(59:21)
・第1 ハラスメント関係法令の変遷等
・第2 ハラスメント防止等に向けて関係法令上留意すべき点
・第3 専門家にとってのハラスメント防止に関する事業主の措置義務における注意点
Ⅲ-2.職場におけるハラスメント対策・事例・判例紹介編(社労士向け)(1:11:50)
・第1. 事例にみる適切なハラスメント事実確認方法
・第2.事例にみるハラスメント該当性
・第3.事例にみるハラスメント行為者への処分のあり方
Ⅲ-3.職場におけるハラスメント対策・取組の意義・周辺知識編(社労士向け)(28:26)
1.企業にとってハラスメント対策に取り組む意義
2.初期対応の重要性
3.⼼理的問題およびメンタルヘルス対策の基礎について
4. ハラスメント関連の法令・国の取組の動向
ご興味のある方は視聴されてみてはいかがでしょうか。
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、カスタマーハラスメント防止対策企業事例を公開しております。
今回、7事例が紹介されており、業種は以下の通りとなっております。
・運送業
・IT・サービス業
・医療・福祉
・小売業(2社)
・運送事業
・飲食・サービス業
規模の大きな企業の事例ですが、自社のカスハラ対策を検討する際の参考となると思います。
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント関係資料ダウンロードページに以下の各リーフレットを掲載しました。
・職場のハラスメント対策リーフレット
・カスタマーハラスメント対策リーフレット
・就活ハラスメント対策リーフレット
本リーフレットは、職場におけるハラスメント防止の必要性及び関係法令の内容への理解を深めるとともに、雇用管理上の措置義務及び望ましい取組の周知を図ることを目的として作成されたものです。
・職場のハラスメント対策リーフレット(6頁)
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて簡潔に説明されています。また、ハラスメントを受けているのでは?と思った場合の対応と企業のハラスメント防止対策について記載されております。
・カスタマーハラスメント対策リーフレット(6頁)
「カスタマーハラスメントとは」、「カスタマーハラスメントの判断基準」、「カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組み」、「カスタマーハラスメントに発展させないために」、「カスタマーハラスメント対策に取り組みことによるメリット」が記載されております。
・就活ハラスメント対策リーフレット(6頁)
就活ハラスメントについて、企業の就活ハラスメント防止対策、就活ハラスメント対策事例等が記載されております。
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント関係資料ダウンロードページに「就活ハラスメント防止対策 企業事例集」のパンフレットを掲載しました。
「就活ハラスメント防止対策 企業事例集」では、就活ハラスメント防止に向け、採⽤担当者、リクルーター(OB・OG等)等を対象とした研修や就活ハラスメントに関する相談窓口の設置等に取り組む企業の先進事例がとりまとめられております。
以下の内容で構成されております。
・就活ハラスメント対策 企業取り組み状況 現状分析
・就活ハラスメント対策 好事例企業10社 紹介
・参考情報:① 4人に1人が経験する就活ハラスメントとは
・参考情報:② 問い合わせ先
詳細は、以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、学生の皆様と企業の皆様へ向けた就活ハラスメントに関する情報のページを公開しました。
本ページでは、就活ハラスメントについての学生の皆様、企業の皆様向けの情報を提供しています。
〇学生の皆様へ
就活ハラスメントで困っていませんか?
就活ハラスメントとは、応募する企業やその採用担当者が優越的な立場を利用して就職活動中やインターンシップ中の学生に行うセクハラやパワハラなどのこと。「就活ハラスメントかも・・・」と感じたら、どうすればいいのか? 対策のヒントが紹介されております。
〇企業の皆様へ
今すぐ始めるべき就活ハラスメント対策
就活ハラスメントとは、採用する企業やその採用担当者等が優越的な立場を利用して就職活動中の学生に行うハラスメントのことをいいます。決して許されない行為であることはもちろん、明るみに出れば会社も大きなダメージを受ける行為です。学生の安全と会社の将来を守るためにも、自社の採用活動に就活ハラスメントの防止対策を取り入れましょう!
詳細は、以下よりご確認ください。
妊娠、出産を理由とした解雇等の不利益取扱いは、日本人労働者と同様に、全ての外国人労働者について禁止されています。
また、事業主に義務づけられている職場におけるハラスメント防止の取組は、全ての外国人労働者について、日本人労働者と同様に対象としなければなりません。
厚生労働省では、妊娠、出産等による不利益取扱いの禁止と職場におけるハラスメントの防止について、法の内容を外国人労働者に分かりやすく周知するためのリーフレット2種類を、14の言語で新たに作成し公表しております。
また、妊産婦が主治医等の指導事項を事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」について、どのような指導事項が事業主に伝えられるのか外国人労働者にも分かりやすくするため、英語、中国語、ポルトガル語と日本語の併記版を新たに作成しました。
詳細は、以下よりご確認ください。
公益財団法人21世紀職業財団は、ホームページにて、ハラスメント防止関連の様々な情報提供を行っております。
この中で、スーパーバイザーコラム「ハラスメント対応A to Z」を紹介させていただきます。
本コラムは、21世紀職業財団の社外相談窓口スーパーバイザーの方が執筆されたものです。
本日(2/26時点)で、12回分が掲載されております。
内容については、紹介できませんが、タイトルのみ記載させていだきます。
第1回 指導のための「かきくけこ」
第2回 「傾聴」をビジネスに生かす
第3回 あなたにも役立つ「アンガーマネジメント」
第4回 自分の「アンガースイッチ」を知る
第5回 なぜ「アンガーマネジメント」が役に立つのか
第6回 感情の波に気づくコツ
第7回 「廊下で立ってなさい!」の効能
第8回 win-winコミュニケーションとは
第9回 傾向を掴んでコミュニケーションマスターを目指そう
第10回 日本語でもしっくりくる「わたしメッセージ」
第11回 謙遜とアサーションは共存する
第12回 言葉にする重要性
どの回もコンパクトにまとまっていて、大変興味深い内容でした。
ご自身の職場でのコミュニケーションを円滑にするためのヒントとなるものがあるかもしれません。お時間のある時にご一読をお勧め致します。
以下よりご確認ください。
ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、職場におけるハラスメント対策支援事業の案内ページに、ハラスメント対策研修動画オンデマンド配信で配信したアーカイブ動画を公開しました。
令和4年4月から、労働施策総合推進法に基づくパワーハラスメント防止措置が中小企業にも義務化されました。
企業がハラスメントの予防・解決のための取り組みを実効的に進めていけるよう、企業の人事労務担当者や社会保険労務士向けに、ハラスメントに関する相談対応等の実務について解説する動画をオンデマンド配信しています。
以下の動画が公開されております。
〇人事労務担当者向け
・基礎知識編
・ヒアリング編
・対応検討編
〇社労士向け
・基礎知識編
・事例・判例紹介編
・取組の意義・周辺知識編
詳細は、以下よりご確認ください。
昨日(11/13)、公益財団法人21世紀職業財団が主催している「ハラスメント防止コンサルタント試験」を受験してきました。
この試験は、過去問が全く公表されておらず、WEBでも試験問題については、ほとんど情報がないため、どのような問題が出題されるのか全くわからず、資格試験の中では特殊な部類に入ります。(問題用紙と回答用紙が同じ冊子になっており、試験後に回収されてしまい持ち帰りはできません。マークシートではなく択一式も含め全て記述する形式です。)
来年受験される方のためにどのような形式で問題が出題されるか、私自身、全く情報がなく限られた時間で効率的に勉強するのに苦労したため、自分自身の備忘録も兼ねて記載させていただきます。(養成講座は費用はかかりますが、択一式の試験対策としてはかなり役立つ内容なので、金銭的に余裕のある方は受講されることをお勧めします。)
(択一式)
正確な数は覚えておりませんが、60問の内、約8割(47~48問)くらいは、4つの選択肢の中で正しい選択肢の数か誤っている選択肢の数を答えさせる問題です。
これが何を意味するかはお分かりになりますね?正確に記憶していないと、正解できないということです。4つの選択肢の内1つの選択肢でも記憶があいまいな事項が記載された選択肢があるとその時点で他の3つの選択肢が完全にわかっていても、1つの選択肢のために、もうあとは運任せになってしまいます。この形式の設問が多いことがこの試験の合格率の低さを物語っていると思います。(合格率は、約20%です。)
出題される内容は、単純な知識を問うものから、判例の内容を問うもの(判例の問題は結構多く出題されていたと思います。)統計の問題など、まんべんなく色々な分野から出題されていたと思います。
90分間で60問回答しなければならないため、考えている時間はほぼありません。記憶があいまいなものについて、思い出しながら考えていると時間が足りなくなるので、ある程度割り切って、どんどん回答していく必要があります。
(記述式)
大きな設問が2つで回答時間は60分です。
今回は、1つ目が、事例形式の問題です。
セクハラ事件の設例が1ページ目にびっしり記載されており、2ページ目に、外部相談員が相談者と面談した際の会話の内容等が記載されております。
設問ですが、面談の内容の内、不適切な対応を文中から5つ抜き出し、それぞれについて、どのような点が問題で、どのような対応をすればよかったかを答えさせる問題でした。
2つ目の問題が、パワハラ防止ガイドラインに関する記述問題です。
この中に2つの設問があり、1つ目が「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動というパワハラの定義について、この判断要素と留意点について200字以内で回答させる問題です。2つ目が、「就業環境が害される」というパワハラの定義について、判断要素を100字以内で回答させる問題でした。
記述式は、試験時間が記述するボリュームに対して短いため、考えて記述する時間はありませんでした。もう、記憶している内容をそのまま記載する時間しかありません。
また、過去問が公開されていないため、初めて受験される方には正直、酷な内容で、記述式がどれくらいできるかに1発合格できるかどうかはかかっていると思います。
試験を受けた感想ですが、「難しい」の一言につきます。
択一式はある程度手ごたえはありますが、記述式は全て回答はしましたが、正直、自信がありません。記述式については、1問は設例形式の問題を予想しておりましたが、もう1問は試験時間から、単純なハラスメントの定義などを書かせる問題だと勝手に思っていたため、ガイドラインの細かい内容を聞かれることまで想定していなかったため、準備不足でした。
合格率は、20%くらいですが、あくまで個人的な推測ですが、受験回数が1回目の合格率はかなり低いのではないかと。1回目の受験で出題傾向を把握し、1年かけて勉強して2回目で合格という方が多いのではないかと思いました。
試験を受けれらえた方はお疲れ様でした。
来年受ける予定の方は、早めに勉強を始められることをお勧めします。
本日は、ハラスメント対策関連の書籍を紹介させていただきます。
公益財団法人21世紀職業財団が編集・発行している以下の5つの書籍です。
・改訂版 誰もがイキイキと働ける職場づくりのために
・改訂版 職場のハラスメント 相談の手引き 相談対応の基礎から応用まで
・改訂版 キャンパスにおけるハラスメント防止ハンドブック
・わかりやすいパワーハラスメント 新・裁判例集
・わかりやすいセクシュアルハラスメント 妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメント 新・裁判例集
上記5つの書籍ですが、ハラスメント防止コンサルタント養成講座のテキストとされているものです。
裁判例以外の3冊の書籍は、一般の方でも読んで理解ができるように簡潔にまとめられており、ハラスメントの背景から対処法、相談対応の心構え、事実確認の方法などをわかりやすく解説されております。
裁判例について解説された2冊の書籍は、裁判の中から重要と考えられる事例を「事案の概要」、「結果」、「判旨」に整理し、わかりやすく解説されております。
特に、判旨の部分の重要なポイントについて下線が引かれておりますので、この点を重点的に読んでいくと、裁判でどのような点が重要視されているのかを理解することができ、企業でのハラスメント対策に役立つと思います。
ご興味のある方は、以下よりご確認ください。
厚生労働省は、関係省庁と連携の上、顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)の防止対策の一環として、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」や、マニュアルの概要版であるリーフレット、周知・啓発ポスターを作成し公表しております。
(出典:厚生労働省ホームページ)
マニュアルやリーフレットには、学識経験者等の議論や顧客と接することが多い企業へのヒアリングを踏まえ、カスタマーハラスメントを想定した事前の準備、実際に起こった際の対応など、カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みが記載されております。
一例として、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルは以下の内容で構成されております。
1.カスタマーハラスメントの発生状況
2.カスタマーハラスメントとは
3.カスタマーハラスメント対策の必要性
4.企業が具体的に取り組むべきカスタマーハラスメント対策
5.企業の取組のきっかけ、メリット、運用について
詳細は、以下よりご確認ください。